千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『キバ』第42・43話感想

仮面ライダーキバ』の感想です。以下、ネタバレ注意。

[2008年11月30日]第42話「パワー・オブ・ラブ・王の怒り」
[2008年12月07日]第43話「結婚行進曲・別れの時」
(脚本:井上敏樹、監督:舞原賢三)

【前回】『キバ』第40・41話感想 - 千倍王鷹虎蝗合成獣
【次回】『キバ』第44・45話感想 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

■恋は盲目

花屋「いらっしゃいませ!」
太牙「この店で一番豪華な花をくれ。今日は特別な日なんだ。」
深央「何が特別なんですか?」
太牙「深央さん…!」
深央「(笑って)少しでも早く太牙さんに会いたくて、迎えに来ちゃいました。それより、特別な日って、どういうことですか?」
太牙「それは…!その…。」
深央「もしかして、正式なプロポーズをしてくれるとか?」
太牙「…うん。」
深央「(笑って)だったら…お受けします!」
太牙「…本当に?本当に!?この店の花を全部くれ!いや、これじゃ足りない…もっとだ!取り寄せてくれ!」
(第42話「パワー・オブ・ラブ・王の怒り」より)

太牙「え?なるべく早く式を挙げたい?」
深央「ええ。いいでしょ太牙さん?二人だけの式を。」
太牙「(深央を抱きしめて)…嬉しいよ、深央。…僕はずっと一人だった。だけど、今は幸せだ。こうして君を抱きしめることができるのだから。いずれ、渡もきっと僕のそばに来てくれる。そこからが僕の本当の人生なんだ…!」
深央「私も…新しい人生を始めたい…!」
(第43話「結婚行進曲・別れの時」より)

f:id:sebaOOO:20180804120811j:plain

f:id:sebaOOO:20180804120823j:plain

深央「私も…新しい人生を始めたい…!(意味深)」

 「新しい人生を始める」べく太牙を殺そうとする深央!その後、以下のように台詞が続くのだが、

深央「…ごめんなさい、太牙さん。…ごめんなさい!」
ビショップ「逃がしませんよ。」
太牙「よせ…!深央は何もしていない。何も無かったんだ!」
ビショップ「…何故庇うのです?この女は貴方に好意を寄せているふりをして、命を奪う機会を狙っていたんです!」
太牙「違う!深央は何もしていない。何もしていないんだ!」
(第43話「結婚行進曲・別れの時」より)

 「恋は盲目」とはよく言ったものだね…!

※関連記事です。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

 この、太牙と深央の結婚式のシーンは、井上敏樹が書いた脚本と、舞原賢三が撮った映像では内容が異なる、というのは有名な話である。…と、私は勝手に思っているのだが、皆様如何でしょうか?

――台本だと、43話で深央が太牙を刺したあとに薄笑いを浮かべたり、セリフが……さようなら、太牙さん。これで私は渡さんと結ばれるになっていたり、言ってしまえば悪女ぶりがかなり強調されてますよね。
芳賀 そうなんです。ところが、あの回は舞原監督からセリフも含めて訂正の加わったホンみたいなものがキャストに配られて、それをもとにみんなで「どういう方向性に持っていくか?」話し合った結果、ああいう形に落ち着きました。
芳賀優里亜仮面ライダーキバ 公式読本 KIVA LUNATIC ARCHIVES』より)

 第43話『結婚行進曲/別れの時』では、もうひとりのクイーン・深央の最期を演出しましたが、この回では、井上(敏樹)さんの脚本を少しだけ直させてもらったんです。嫌な女のまま死んでも、お客さんが悲しんでくれないんじゃないかって思ったんですよ。逃げ道がなくて、やってしまった」。そういう風にしたかったんです。
(舞原賢三『仮面ライダーキバキャラクターヴィジュアルガイド3(Celebrate)』より)

■「ありがとう」でも「好きでした」でもなく「嬉しい」

 死ぬ直前、渡との結婚式を想像するじゃないですか。あそこで、前に渡に選んでもらった指輪をはめてほしいって言ったのは芳賀優里亜本人なんですよ。シナリオには、特に指定がなかったんです。(舞原賢三『仮面ライダーキバキャラクターヴィジュアルガイド3(Celebrate)』より)

f:id:sebaOOO:20180804121148j:plain

 舞原賢三が言うように、第43話のラスト、指輪のシーンを提案したのは芳賀優里亜だったという。

芳賀 このとき、舞原監督が「何かやりたいことはある?」って聞いてくださって、私は「どうしても渡に指輪をはめてほしい」と思って、それでああいう演出をしてくださったんです。22話のラストではめてもらって以来、ずっと指輪を付けたままだったんです。唯一の例外で外したのは太牙との結婚式の場面だけです。「もう会えない」とか悩みつつも絶対に外さなかったんですよね。それが死ぬ間際、駆け寄ってきてくれた渡に指輪を差し出して、はめてもらって二人の結婚式をイメージして「嬉しい」と言い残して散っていくんです。「ありがとう」でも「好きでした」でもなく「嬉しい」なんですよね。最初、台本を読んだときはなんで「嬉しい」なのかな?と思って。でも、結局最後の最後で初めて渡が深央と真剣に向き合ってくれたからだったんだなって。
芳賀優里亜仮面ライダーキバ 公式読本 KIVA LUNATIC ARCHIVES』より)

 第42・43話は監督(舞原賢三)と役者(芳賀優里亜)の情熱が詰まっていて、好きなエピソードの一つだなぁ、『キバ』の中で。まぁ、深央の死によって渡のメンタルがズダボロになり、過去に飛んで自殺を図ることになるのだが。第40・41話を見る気になかなかなれなかったのはそのためなのよな…!『キバ』も残すところあと五話(第44~48話)か~!このペースなら、『ビルド』の最終話(8/26)までには間に合いそうだな。

■「平成一期作品」をリスペクトした「平成二期作品」がツマラナイのは、

 以下の井上敏樹の発言は、

井上 監督の画作りって、俺にとってはすごく影響される一因なんだよ。こんなストーリーが、こんなにかっこ良くなるんだって思ったら、どうしたって影響を受けるもんだよ、やっぱり。それはテレビのいいところなんじゃない?お互いが影響を受けあって進化していくのが一番いい。ごろごろっと平面を転がってるだけ、みたいな作り方は、つまらないな。
井上敏樹『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』より)

【対決!『鎧武』VS『アギト』】で引用したもので、

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

 以下の「舞原賢三」の発言は、

 井上(敏樹)さんの脚本は、難しかったです。観念的なト書きもありましたし、「舞原に任せた」みたいな部分もあって、好きにはやれるんですが大変でした。井上さんって、こちらが脚本を直しても怒らないんです。「面白かったぜ」って、褒めてくださいます。「俺は、脚本を仕上げるところまでが仕事だから」って。ただし、直したものが面白くなっていないと怒られます(笑)あまり、いらっしゃらないタイプの脚本家さんですね。(中略)力量のある作家さんだと思います。その回のどの部分に力を注げばいいかが、ホンを見るとすぐわかるんですね。
(舞原賢三『仮面ライダー 平成 vol.2 仮面ライダーアギト』より)

【対決!『鎧武』VS『555』】で引用したものだが、

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

 「平成一期作品」をリスペクトした「平成二期作品」がツマラナイ理由の一つはそこにあると思っている。

 虚淵玄「僕の場合(『鎧武』)は脚本を遵守して作ってもらっていた」なんて言っていたしなw

■オマケ:カットシーンについて

 よく「『キバ』はカットシーンが多いから、それも込み込みで見て評価して!」という人がいるけれど、テレビ番組とは「放送されたもの」が完成品なのであり、カットシーンを見ないと評価できない(全容を把握できない)という時点で、その作品は問題有りなのである。だがしかし、それにつけても『キバ』はカットシーンが多いので、『キバ』感想記事ではその回のカットシーンをピックアップしていこうと思う。

(その1)渡と深央

(渡、走り込んでいると、深央が現れる。)
渡 「深央さん…。」
深央「渡さん、まだ体鍛えてるんですね。私を守るために。そして…(渡に駆け寄り、抱き締めて)太牙を倒すために。」
渡 「…違うよ。前にも言ったけど、兄さんとは戦わない。」
深央「どうして太牙に遠慮なんてするんですか?」
渡 「当たり前じゃないですか!僕にとって、たった一人の兄さんなんだよ!大事な人なんです。」
深央「私よりも…?」
渡 「そんなの…どっちも大事だよ。比べる事なんてできない。」
深央「嘘…。渡さんは全然変わってない。優し過ぎるんですよ。」
渡 「…とにかく、兄さんとは戦えない。」
(第42話「パワー・オブ・ラブ・王の怒り」未使用映像)

f:id:sebaOOO:20180804121554j:plain

 深央の「太牙を絶対殺すウーマン」っぷりが恐(怖)いよね…!

[了]

※はじめましての方はこちらをご一読ください。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp