千倍王鷹虎蝗合成獣

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『キバ』第38・39話感想

仮面ライダーキバ』の感想です。以下、ネタバレ注意。

[2008年10月26日]第38話「魔王・母と子の再会」
[2008年11月09日]第39話「シャウト・狙われた兄弟」
(脚本:井上敏樹、監督:田﨑竜太)

【前回】『キバ』第36・37話感想 - 千倍王鷹虎蝗合成獣
【次回】『キバ』第40・41話感想 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

 このブログでは、劇中(テレビ本編、劇場版、Vシネマなど)の台詞や小説の文章は緑色、スタッフインタビューは紫色にしているのだけれど、今回の感想記事でピンク色の記述が出て来たら、それはカットシーだと思ってください。それではどうぞ。

■はたらく中間管理職ビショップ

太牙「何故黙っていた貴様!…知っていたんじゃないのか?キバの正体が、紅渡だということを。」
ビショップ「キバが誰であれ倒すべき敵。ただそれだけではありませんか?」
太牙「しかしわからない。何故人間であるはずの紅渡がキバに?…まさか。」
ビショップ「お会いになられますか?貴方のお母様、真夜様に。」
太牙「知ってるのか?あの女の居場所を!」
ビショップ「キング、貴方はこれから茨の道を、進まなければなりませんだがそれを乗り越えることで貴方は!…最高のキングとして成長する。…私はそう信じています。」
(第38話「魔王・母と子の再会」より)

深央「渡さんがキバだなんて…そんな…!」
ビショップ「何を悩んでるんです!紅渡は多くの同胞を倒してきた敵。クイーンとして倒せばいいのですよ!」
深央「できません…そんな…!」
ビショップ「よく考えてみなさい!貴女の真の姿を見られたのです!いくら紅渡を想ったところで彼が貴女を愛するはずがない!もう終わったんですよ何もかも!貴女にはクイーンとして生きるしか道はありません。倒すんです紅渡を!…その時貴女は最高のクイーンとして、成長を遂げる。」
(すすり泣く深央。)
(第38話「魔王・母と子の再会」より)

 前回の感想記事で書き忘れたんだけど、第37話のラストで、渡と深央と太牙の三人が、お互いの正体(仮面ライダーキバ、クイーン(パールシェルファンガイア)、キング(仮面ライダーサガ))を知ってしまったんですね。それは第38話のアバンでも描写される(というか、流用される)のだけれども、上記シーンはその続き、Aパート冒頭でのビショップと太牙&深央のやり取りなのです。中間管理職は上司の「メンタルケア」もしなければならないということですね…!

■DV(ドメスティックバイオレンス)はダメ、絶対!

真夜「…誰?…太牙!?」
太牙「…久しぶりだね、母さん。」
真夜「…太牙!」
太牙「…あなたには二度と会いたくなかった。クイーンのくせに人間を愛した裏切り者。…だがどうしても聞きたいことがある。母さんは人間との間に、子供をもうけたんじゃないのか?」
真夜「あなたは私とキングの間に生まれた子よ。」
太牙「…そんなことはわかっている。だから僕はキングとなり、サガを受け継いだんだ。…キバを受け継いだのは誰だ?」
真夜「…………。」
太牙「…答えろ!!…キングとしての命令だ。」
真夜「…その言い方、そっくりだわ。あなたの父親に…。」

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↑2008年↓1986年

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過去キンさん「答えろ。キングとしての命令だ。紅音也は何処にいる?」
真夜「あら、焼きもち?」
過去キンさん「ふざけたことを。…ビショップから聞いてる。奴は我々ファンガイアと敵対する組織の戦士。イクサなるシステムで大勢の同胞を殺している。…その罪は重い。」
真夜「あの男は私の獲物よ?私に任せてくれない?あら、信用しないの?クイーンとしての私の言葉。」
過去キンさん「フッ…フッ…ハッハッハッハッ!」
(第38話「魔王・母と子の再会」より)

 ビショップに言われ、真夜に真実を聞きに行く太牙。太牙に首を掴まれた真夜の「…その言い方、そっくりだわ。あなたの父親に…。」という台詞から、時空が1986年のキャッスルドラン内に移る演出がベーネ。流石は『キバ』のパイロット監督、田崎竜太だぜ~!太牙も過去キンさんの負の側面が遺伝してしまったということか…!前回(第36・37話)の感想記事のコメント欄でも読者に色々書かれていたけれど、

 DV(ドメスティックバイオレンス)はダメ、絶対!

ということですね。『キバ』は<教育番組>だった…?

田崎竜太「まあ、井上脚本でドジっ子が出てきたら、気をつけなきゃいけないぞ、絶対そのままで終わるわけないから、ってことですね(笑)。」

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(橋上で、渡と太牙が出会う。)
渡 「あの…太牙くん。…っていうか変ですよね、太牙くんって呼ぶの。だってほら…兄さんなわけだし。」
太牙「かまわないさ。突然だったからね。お前も驚いているだろう。…渡、ファンガイアになれ。」
渡 「え!?」
太牙「そしても僕と一緒に人間を管理するんだ。あいつらは家畜と同じ。我々ファンガイアの餌だからな。」
渡 「餌…?」
太牙「(渡を抱きしめて)寂しかったんだ、今まで。でももう一人じゃない。一緒に生きよう、渡!」
(太牙を突放す渡。)
太牙「渡!?」
渡 「人間は餌なんかじゃない。僕は…僕は人間とファンガイアが仲良くなればいいと思っている。」
太牙「フッ…。はっはっはっは!…それは無理だよ渡。絶対無理だ。」
渡 「どうして!?」
太牙「まあいい。お前はまだ何もわかってないからな。とにかく、僕の話はよく考えてみてくれ。」
(第39話「シャウト・狙われた兄弟」より)

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(橋上で、渡と深央が出会う。)
渡 「…深央さん?」
深央「渡さん…。」
渡 「深央さん…どうしたの?」
深央「…私、嬉しい。渡さんも私と同じ、ファンガイア…!だから…嬉しい。…それでね、私、お願いがあるの。ねぇ渡さん、聞いてくれる?」
渡 「…何?」
深央「太牙を倒して。」
渡 「え…?」
深央「渡さんがキングになって。そうすれば、私たち一緒にいられる。お願い…!」
渡 「…何言ってるんだよ深央さん…!(渡、その場を去る。)」
深央「待って渡さん!渡!」
(第39話「シャウト・狙われた兄弟」より)

 第38話のラスト、渡は太牙と<異父兄弟>であったことを知る(同時に、深央も知ることになる)。で、その後の第39話での深央のアプローチの仕方が凄い(笑)。「渡さんがキングになって。そうすれば、私たち一緒にいられる。」は、ケンジャキがジョーカーになればバトルファイトは終わらない、くらい感心する発想である。…と同時に、「おそろしい子!」とも思うけどw“自分が悪女だと認識していない悪女”、という奴ですね。

 芳賀優里亜ちゃんも天才型ですが、僕は『仮面ライダー555』のときからよく知ってるので、今回の深央は、彼女がやったことのないキャラクターにしたい、と思ったんですよ。で、渡に「太牙を倒して」と頼む(39話『シャウト/狙われた兄弟』)ような、ちょっと悪女な面を出した。あれは、深央としては純粋な願いだけど、第三者から見ると怖い。 "自分が悪女だと認識していない悪女" というところに落ち着けたかった。まあ、井上脚本でドジっ子が出てきたら、気をつけなきゃいけないぞ、絶対そのままで終わるわけないから、ってことですね(笑)。
田崎竜太仮面ライダーキバキャラクターヴィジュアルガイド3(Celebrate)』より)

 一方、太牙は人間と怪人(ファンガイア)の共存は「絶対無理」だと譲らない。その理由とは…?

■渡「僕は、人間とファンガイアの、懸け橋になりたいんです。」

嶋「それで、これから君はどうしたいんだ?」
僕は、人間とファンガイアの、懸け橋になりたいんです。
嶋「ほ~懸け橋。君は、人類とファンガイアが共存できると信じてるのか?」
渡「はい。」
嶋「…君の気持ちはよくわかった。私も協力しよう。」
渡「…!ありがとうございます!」
( 中 略 )
(シャワーを浴びる嶋。その背中には、太牙に負わされた傷が。)
人間とファンガイアの共存など、在り得ない…!
(第39話「シャウト・狙われた兄弟」より)

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 素晴らしき青空の会の嶋と、太牙の過去はほとんど描かれない。第39話の十数秒ほどの映像から推測できるのは、嶋が太牙の育ての親であること、回想で太牙が制服を着ている=学校に通っている=人間として暮らしていた期間は長かったであろうこと。確実なのは、嶋と太牙は決裂したということ。山本匠馬は「太牙は嶋から<黴菌>のように見られていた」という体(てい)で演じていたというが、実際、井上敏樹はどのように考えていたのだろうか?この辺は、第42・43話で掘り下げるかもしれないし、触れないかもしれない(オイ)。

 第39話では、渡は素晴らしき青空の会の面々に「自分がキバである」ことを打ち明けるのだが、嶋が出した結論は、「キバ(渡)を抹殺する」というものであった。ラスト、渡を仲間(ファンガイア側)に引き込みたい太牙の計らいで、ビショップに力を注入された(魔皇力を引き出された?)渡が暴走して、第39話は終了する。

 第38・39話は、井上敏樹田崎竜太も気合いを入れて脚本を書いていた/映像を撮っていたように思われる。<橋>が強調された(暗喩(メタファー)が大好きな)田崎竜太らしい一時間ドラマでありました。

■一方、名護さん&ジンジンは、

名護さん「これを着なさい。」
ジンジン「なん…なんだこれは?」
名護さん「俺はお前のコーチになると決めた。お揃いのTシャツを着て、気持ちを一つにするんだ。」
ジンジン「七百五十三(ななひゃくごじゅうさん)?…どういう意味だ?」
名護さん「今のままでは駄目だ。ファンガイアの中にも手強い奴がいる。俺が一から鍛えてやる。ちなみにこの数字は、7(な)、5(ご)、3(さん)。常に、俺の名前を胸に抱き、正義を行いなさい。」
ジンジン「寝惚けたことを言うな。」
(ジンジン、名護さんの頭上からコーヒーをかける。)
ジンジン「どうだ?目が覚めたか?俺はお前とは違う。コーチなど必要無い!どんな敵でも倒してみせる。」
(第38話「魔王・母と子の再会」より)

(ジンジン、イクサに変身し、ウォートホッグファンガイアと戦闘。そこに名護さんが。)
名護さん「相手をよく見なさい!パンチだ!」
(ジンジン、キックする。)
名護さん「(カンペを出して)キックしなさい!」
(ジンジン、パンチする。)
名護さん「(カンペを投げて)カウンターだ!」
(ジンジン、膝蹴りする。)
名護さん「コーチの言うことを、聞きなさ~い!」
ジンジン「指図するな!」
(ジンジン、イクサカリバーガンモードで名護さんに威嚇射撃する。)
名護さん「(カンペを出して)今だ!ライジングになりなさい!ラ・イ・ジ・ン・グ!」
(ジンジン、ライジングイクサになり、ウォートホッグファンガイアを倒す。)
名護さん「よし!」
(ジンジン、変身解除する。)
名護さん「まぁまぁよくやった。65点っていったところだな。」
(ジンジン、名護さんを殴る。)
ジンジン「言っただろ。俺にコーチなど必要無いと。」
(第38話「魔王・母と子の再会」より)

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 名護さん&ジンジンによるギャグも<癒し>(清涼剤)になっているな…!

 753Tシャツ名護さんコーチが見られるのは第38話!「これを着て君も僕の弟子になりなさい!」(by名護さん)名護さんがコーヒーをかけられるシーンは本番では一発勝負のため、リハーサルではグラスには氷のみ入れられて(ジンジンは)練習したという。

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 ついにジンジンもイクサに変身!これで全員かな?(プラス、名護さん・次狼・音也・糸矢・ルーク・麻生ゆり&恵)襟立健吾については、次回(第40・41話)の感想記事で色々書こうと思います。

■オマケ:カットシーンについて

 よく「『キバ』はカットシーンが多いから、それも込み込みで見て評価して!」という人がいるけれど、テレビ番組とは「放送されたもの」が完成品なのであり、カットシーンを見ないと評価できない(全容を把握できない)という時点で、その作品は問題有りなのである。だがしかし、それにつけても『キバ』はカットシーンが多いので、『キバ』感想記事ではその回のカットシーンをピックアップしていこうと思う。

(その1)過去キンさんとビショップ

過去キンさん「…何か言いたいことでもあるのか?ビショップ。」
ビショップ 「よろしいのですかキング?クイーンは紅音也に対して普通ではない興味を抱いていると伝えたはずです。」
過去キンさん「クイーンが自分を信じろと言うなら、信じるしかあるまい。…俺には俺の仕事がある。」
(第38話「魔王・母と子の再会」未使用映像)

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 第36・37話(監督:中澤祥次郎)では<威風堂々>としていた過去キンさんだが、第38・39話(監督:田崎竜太)では落ち着いているというか、<余裕綽々>といった感じである。新納慎也曰く「最初の組と2組目で監督さんに言われたことが真逆だった」という。

――この現場は基本的に2話持ちで監督が変わるから、そこで回によってブレを出さないためにも、そういう自分の中での芯は重要になってきますよね。
新納 そうですね。監督さんによって、キングは本当に王様らしくドーンと構えて、できれば低い声で喋ってくれっておっしゃる方と、もっと中性的で冷酷にサラッと、声も『殺せ!』じゃなくて甘いトーンで『殺せ』っていうくらいで言ってくれっておっしゃる方と、両方いたりするんですよ。(中略)最初の組と2組目で監督さんに言われたことが真逆だったので、ちゃんと芯を持った上で、ちょっと左右に振れる余裕があるくらいじゃないとダメだなと。
新納慎也仮面ライダーキバ 公式読本 KIVA LUNATIC ARCHIVES』より)

 要するに、

中澤祥次郎「キングは本当に王様らしくドーンと構えて、できれば低い声で喋ってくれ」

田崎竜太「もっと中性的で冷酷にサラッと、声も『殺せ!』じゃなくて甘いトーンで『殺せ』っていうくらいで言ってくれ」

と言った、ということですね。余談だが、田崎竜太は『キバ』は第38・39話でOUT。『ディケイド』のパイロット監督を務めるからである。更に余談だが、中澤祥次郎も第36・37話がラストである。

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 過去篇のキングの仕事は異種族を<絶滅>させること「絶滅…それが邪魔な種族の運命。」とか言ってみてェ~!超カッコE。紋章によるハメ技がえげつない。『DFF』の(パラメキア)皇帝(マティウス)みたいな感じ。例えがわからなかったらスミマセン…!

(その2)キバットと宙ぶらりんな渡

キバットを箒で叩いて追いかけ回す渡。)
キバット「わ!な、なんだ!?イテッ!な…何すんだ渡!?」
渡「キバット、知ってたんだろ!」
キバット「え!?」
渡「僕の母さんがファンガイアで、僕も半分ファンガイアだって!」
キバット「えっ?あ、あぁ…!」
渡「なんで教えてくんなかったの!」
キバット「そうか、黙ってて、悪かったな渡…!でもお前、うすうす気付いていたんじゃないのか?キバに変身した時、凄まじい力を感じていたはずだ!」
渡「それは…そうだけど。…でも、これから僕はいったい、どうすればいいの?人間でもない、ファンガイアでもない、宙ぶらりんな存在じゃないか…!」
(第39話「シャウト・狙われた兄弟」未使用映像)

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 <宙ぶらりんな存在>だからこそ人間とファンガイアの<懸け橋>になれるんやで…!

(っちゅ~か、こんな大事なシーン、カットすんなよ~!(泣))

(その3)太牙と深央

太牙「昔渡と遊んだのも、こんな砂場だった。…ようやく謎が解けたよ。僕が昔から渡に何かを感じていたのは、弟だったからだ。…今でも渡のことが好きなのか?」
深央「…わかりません。こうなっては…。」
太牙「それならそれでいい。だがあいつをこのままにはできない。一緒に説得してくれ。」
深央「…説得?」
太牙「そうだ。ファンガイアとして生きるようにと。それ以外、渡が生き残る道は無い。」
(第39話「シャウト・狙われた兄弟」未使用映像)

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 時系列的には、このシーンの後に深央は渡に「太牙を倒して。」と言いに行くから恐(怖)ろしい…!太牙は、敵に塩を送ってしまったわけですね(少し違うか)。

[了]

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