千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

「さすがは虚淵玄です。」

 所謂「さすうろ!」についてのハナシ。

■<感動>と<反応>の差

 鉄鍋のジャン!』という漫画が好きでして。「料理は勝負だ!」が信条の主人公、秋山醤(ジャン)が他の料理人とトーナメントバトル(中華料理対決)するという内容で、週刊少年チャンピオンで1995~2000年に連載されていたんですね。で、その続編『鉄鍋のジャン!R頂上作戦』(2006~2008)のエピソードの一つ、「エビ料理対決」について本稿では先ず最初に言及します。何故かって?読めばわかる!

 対戦相手、「アリー・ストリゴイ」が作ったのは『碧緑香辣有頭蝦』(緑のエビチリ媚薬風味)。

 色と辛さの正体は、ハラペーニョと青とうがらしの泡辣椒、それにクロレラ複雑な香りの元は、桂皮・花椒(中国山椒)・黒胡椒・丁香・陳皮・朝天辣椒(四川トウガラシ)・八角(ダイウイキョウ)・草果(ショウガ科)・山奈(ショウガ科)・茴香(セリ科)・沙参(ツリガネニンジン)・甘草(マメ科)・白豆蒄(ショウガ科)・月桂樹(ローリエ)・トウガラシ、そしてニンニク・ショウガ・ネギ・豆板醤で作った香辣豆板油、すなわち「スパイス油」。スパイスはもともと薬や媚薬として使われていた。それぞれの独特な香りは脳を刺激し、口に入ったスパイスは胃腸を活性化させる、というのがメカニズムだ。「勝利の法則は決まった!」

 対し、ジャンが作ったのは『頂瓜原味球節蝦』(究極のエビチリ秋山流 背徳のエビミソ300倍風味)。

 味の奥行きの正体はエビミソなのだが、小さじ一杯のエビミソを取るのにクルマエビ50、60匹は使うため、今回のエビチリを作るためには300尾以上のクルマエビが必要であった。う~ん、少年漫画らしく、ハッタリが効いてていいですね(笑)。「300尾分のエビミソ…それがこのうまさの正体か!食べた事なかったよそんなの!」「300尾でうまさも300倍だあ!!」「ありえなーい!なんて贅沢なの!!」と審査員達は大絶賛。こらから引用するのは、そのシーンでのアリーとジャンのセリフである。

アリー(なんだよこいつら…………オレのエビチリよりも秋山のほうがもっと夢中になるってのか!?『碧緑香辣有頭蝦』(緑のエビチリ媚薬風味)は媚薬のスパイス油のエビチリ。これ以上に脳を支配しうまいと言わせるエビチリはないはずだ。)
ジャン「当然の結果だな。『感動』『反応』の差だよ!!おまえのエビチリはまず色でおどかし媚薬のスパイス油とやらで脳内麻薬を分泌させるらしいが、ただの "反応" しか起こさせない。即効性はあっても瞬間だけ。香りも効き目ももって2時間……しかもエビチリじゃなくても使えるスパイス油だろ?それに対してオレのはエビのうまさを最高に追求した300倍エビチリだぜ!!感動は後を引く――――――――残り続けるんだよ心にな!!
西条真二鉄鍋のジャン!R頂上作戦』四巻「第二十八醤/媚薬と背徳」より)

 この、<感動><反応>の差、という言葉を噛みしめてから、後続を読み進めていただきたい。

 さて、ようやく本題です。…え?いつも前置きが長いって?「許して~♪ドンルックアッミ~♪」

■<暴力>はただのスパイス

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 要するに、人が死ぬ(殺される)といった<暴力>描写はただのスパイスに過ぎない。

 ということである。

 暴力シーンは、脳の<反応>しか起こさせない。<即効性>はあっても<瞬間>だけ。

 ということである。

 即ち、所謂「さすうろ!」な脚本は<感動>を起こさせない<虚仮威し>に過ぎない。

 ということである。

 何度も繰り返されると<飽きる>しね、視聴者も。…はい、言いたかったこと終わり。

虚淵玄「うわあぁ……皆殺しにされちゃう!」

――最近の平成ライダーでは人が殺されるという直接的な描写が少なくなってきてるので、久しぶりに『クウガ』を見直すと、結構ギョッとするんですよ。それこそ何十人、何百人と人が死んで、死を死として、そのままリアルに描いていて。
高寺 クウガ』の大きなテーマのひとつが「非暴力」だったので、それを描くためには、暴力の恐ろしさをきちんと伝えるシーンが必要だったんです。「手ぬるくない現実」に沿ったシビアな描写を盛り込むことで、ただの絵空事にしないようにしてたんだと思います。
(高寺成紀『語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

――「未確認生命体」という呼称もまさしくぴったりでしたよね。大人が見ても、怪人が普通に総武線とかに乗っているのは怖かったですから。
虚淵 そうですよね。うわあぁ……皆殺しにされちゃう!っていうね。
虚淵玄『語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

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 高寺成紀<非暴力>をテーマにクウガを作ったが、<暴力>好きな虚淵玄に支持され、『鎧武』の脚本を書かれることになるとは皮肉な話である。

 それにしても、『クウガ』(高寺成紀)の熱狂的なファンって「何十人、何百人と人が死ぬ(殺される)なんて大人向け!リアル!」と言って持ち上げることが多いよね。そこが作品の本質ではないと思うんだがなぁ。

※関連記事です。

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■蛇足:『GODZILLA怪獣惑星』について

 『GODZILLA怪獣惑星』ってヒットしたの?

 シン・ゴジラの興行収入は「80億円」以上らしいけど。『キネマ旬報』の東宝のページを見ると、『夜は短し歩けよ乙女』や『あさひなぐ』は「5億円」でヒットと書かれているのだけれど、

 限定公開アニメ、音楽ドキュメンタリー、中継ものなどを配給する東宝映像事業部の年間興収は41億0863万2460円。前年比74%にとどまったが、歴代2位の数字となった(本体に含まれず)。
 主な配給作品のうち「夜は短し歩けよ乙女」(5億円)、「あさひなぐ」(5億円)などがヒットを飛ばし、他にGODZILLA怪獣惑星」傷物語〈III 冷血篇〉」「夜明け告げるルーのうた」「WEAR X」などを手がけた。「夜は短し~」「夜明け告げる~」の湯浅政明監督がアヌシーやオタワの国際映画祭で高い評価を得るなど、「君の名は。」の新海誠監督がそうであったように、新たな作家の開拓と育成という面も同事業部は果たしている。
(『キネマ旬報 2018年3月下旬 映画業界決算特別号』より)

 『GODZILLA怪獣惑星』の興行収入は「5億円」未満ということ…?

 『プリキュア』の映画にすら負けてるってことじゃあないの…!ケケケどうするよ(以下略)。でも、虚淵玄の熱狂的なファンは「ネットフリックスが有るから問題無い!」とか言って目を瞑るんだろうなぁ…!それでも、数年前に比べたら虚淵玄を過剰に持ち上げる人は少なくなったかな?『まど☆マギ』の頃は異常だった…!

 ちなみに私は『怪獣惑星』は未鑑賞です。

[了]

※はじめましての方はこちらをご一読ください。

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