千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

総括!『仮面ライダーW』

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 『仮面ライダーW』(以下、『W』)の総括です。

■何故『W』はヒット(成功)したのか?

 それは、かつて「週刊少年ジャンプ」で連載されていた漫画、『DRAGON QUEST‐ダイの大冒険』の原作者、三条陸(さんじょうりく)先生がメインライターを務めたからです!さぁさぁ皆さんご一緒に!せ~のっ!三条さん(の脚本)は「王道」だ~!

[了]

※はじめましての方はこちらをご一読ください。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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 …で終わらせてしまってはあまりに「思考停止」すぎるので、ここでは他所(よそ)とは違った観点で『W』を見ていこうと思う。

※関連記事(本稿の補足)です。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

■フィリップ(W)≒ タロスズ(電王)

白倉 (中略)たとえば『W(ダブル)』で仮面ライダーにもうひとり人間を憑依させるなんていうのは、『電王』を経た梶さんがいなければ出てこなかったかもしれません。あれも暴挙と言ってもいいほどのアイデアだったと思うんですが、そういった形で『電王』が生まれたプロセスの部分が継承されていくのが望ましいのではないでしょうか。
白倉伸一郎『俺たちの仮面ライダーシリーズ 電王 10th ANNIVERSARY』より)

 これは『電王』十周年記念本での白倉伸一郎のインタビューである。ここで言う“梶さん”とは、平成『仮面ライダー』シリーズでは『響鬼』~『W』に携わった(即ち、酸いも甘いも知っている)、テレビ朝日のプロデューサー梶淳(かじあつし)のことである。「なに恩着せがましいことを言っているんだ!」「出鱈目を言うな!」という平成二期(初期)ファンもいるかもしれないが、『W』が「俺たちは/僕たちは、二人で一人の仮面ライダーさ」というコンセプト(変身時、左翔太郎にフィリップが憑依するという設定)になったのは、梶淳の指摘(意見)があったからである(当初の(塚田英明の)想定は、左翔太郎の心の中に鳴海荘吉(死んだ師匠)がいる、というものであった)。

(証言1)塚田英明(『W』チーフP)

塚田 当初は今でいう翔太郎が主人公でいて、鳴海荘吉という死んだ師匠――オヤッさんがいて、死んじゃったけれど翔太郎の心のなかにいる……当時のイメージとしてはそれこそ鏡を見たら師匠が出てくるとか、自分と心の中にいる人との2イン1みたいな設定で考えていました。そういう意味での『W』ですと。ですが、局(テレビ朝日)の梶淳プロデューサーからそれは概念としてわかりづらいんじゃないか?という指摘を受けたんです。それで持ち帰ってもう一度揉んだときに、こういうデザインだし、一番わかりやすいのは2人が変身して1人になるということだろうと。
(塚田英明『仮面ライダーW特写写真集KIRIFUDA』より)

(証言2)三条陸(『W』メインライター)

 最初は探偵はひとりだったんですが、ダブルドライバーとWのデザイン、半身のチェンジなどが決まったとき、テレビ朝日の梶(淳)さんから塚田さんに意見があったんです。内面での設定はあったんですけど、それだと視聴者に伝わりにくいと。半身ずつチェンジするなど、スッキリ理解できる設定はないのかということですね。それで色々話し合ったんですが、やはりコンビでいくしかないだろうということになりました(笑)。それで、2人で変身する仮面ライダーになったんです。
三条陸仮面ライダー 平成 vol.11 仮面ライダーW』より)

 変身時、左翔太郎に憑依すると「フィリップは倒れる」というアイデアを出したのは田崎竜太だが、“『W(ダブル)』で仮面ライダーにもうひとり人間を憑依させるなんていうのは、『電王』を経た梶さんがいなければ出てこなかったかもしれません”という白倉伸一郎の発言は、強ち間違いではないのだ。

■『フォーゼ』1Q ≒『電王』1Q

塚田 『電王』ってイマジンを前後編で一人ずつ順に描いていったじゃないですか。それでモモタロスを含めて8話分引っ張れるというのは上手いやり方だなと。そこは『電王』を観たときに思っていて、やっぱり戦隊ってそれができないんですよね。5人それぞれに一人ずつ増えていきましたというのをやれば絶対面白いなって思うんだけど、いきなりバーンと全員出してロボもバーンと出してというふうにやらないとあれはダメなものなので。むしろそこは、あくまで弦太朗が主人公の物語であり、別の見方をすると仮面ライダー部というチームが主人公の物語でもある、という組み立てが成立するライダーだからこそできることなんですよ。
(塚田英明『仮面ライダーフォーゼ公式読本 FOURZE GRADUATION』より)

 「いきなり『フォーゼ』の話しかよォ!」と思われるかもしれないが(まぁこれも塚田英明チーフP作品だし…!)、『フォーゼ』の1クール目(「仮面ライダー部」編)は『電王』を意識(参考に)して作られている。塚田英明が言う『電王』の「8話分」とは、第01・02話(モモタロス初登場)、第05・06話(ウラタロス初登場)、第09・10話(キンタロス初登場)、第13・14話(リュウタロス初登場)のことであり、各タロスズお披露目回の次には「掘り下げ」回を2話ずつやっているので、実際には「16話分」引っ張れている(プラス、第17・18話もあるし)。『フォーゼ』の第01~12話の概要を列記してみると、『電王』序盤と近しいことをやっていることがお分かりいただけるだろう。

●第01話「青・春・変・身」第02話「宇・宙・上・等」
・如月弦太朗(主人公)と、城島ユウキ(ヒロイン)の掘り下げ回。
・主人公&ヒロイン=トラッシュ&ギーク(不良&オタク)と描写。
●第03話「女・王・選・挙」第04話「変・幻・暗・躍」
・風城美羽(クイーン)掘り下げ回。この回でライダー部の部長へ。
・クイーンフェスで彼女が学園のカリスマ的存在であることを描写。
●第05話「友・情・表・裏」第05話「電・撃・一・途」
・神宮海蔵(情報通)の掘り下げ回。友情に懐疑的である事を示唆。
・スラッカー(遊び人)パーティ開催で交友関係が広いことを描写。
●第07話「王・様・野・郎」第08話「鉄・騎・連・携」
・大文字隼(キング)の掘り下げ回。以降パワーダイザー操縦者に。
アメリカンフットボール部の主将かつQB。父親との確執を描写。
●第09話「魔・女・覚・醒」第10話「月・下・激・突」
・野座間友子(ゴス子)掘り下げ回。オカルティックな才能を発揮。
スクールカーストの負の一面とそれに打ち勝ち克服する姿を描写。
●第11話「消・失・月・戸」第12話「使・命・賢・命」
・歌星賢吾(副主人公)掘り下げ回。何気に城島ユウキ回でもある。
・ライダー部メンバー全員大活躍!これをもって、ライダー部完成。

 特筆すべきは、シリーズ構成(の一部)だけでなく、『フォーゼ』や『W』、というか『OOO』や『ウィザード』の含めた「平成二期初期四作」の(各話の)フォーマットも、『電王』のそれを基に作られた、ということである。

■「平成二期初期」フォーマット ≒『電王』フォーマット

三条 (中略)平成ライダー新時代は『電王』から始まったと思ってるんです。実はあそこから色濃くカラーが変わってて、いろんなフォーマットが切り替わってるんですね。明るく楽しいエピソード主義というか(中略)、2話完結性の高いフォーマットだったじゃないですか。『W』も依頼で始まり、報告書で終わるフォーマットですけど、こういう "お悩み相談室" を始めたのは『電王』なんですね。で、これがすごく観やすかったし、おもしろかった。だから『電王』っぽい感じで、ハネたキャラクターが出てきて、最後にいいものを観たなぁとホッとできる前後編が一番いいんじゃないかという話になったんです。
三条陸『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より)

 以前、『OOO』の総括記事で<貢献度>について言及した。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

▼▼▼ 引・用・開・始 ▼▼▼

 『OOO』の夏映画『WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』の興行収益は17.6億円である。

 これは『ディケイド』の夏映画『オールライダー対大ショッカー』(19億円)を除けば歴代 No.1である。あの『W』の夏映画『FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』ですら「14.7億円」だ。玩具売上も『フォーゼ』と同等(約260億円)なので、<数字>的には歴代 No.1と言っても過言ではない。

 しかし、私は『OOO』を歴代最高傑作とは評さない。何故ならば、『オーズ』はシリーズへの<貢献度>が低いからだ。この、<貢献度>とは何なのか?というのは、今年(『ビルド』の年)に言語化できれば、と思っています。

▲▲▲ 引・用・終・了 ▲▲▲

 <貢献度>とは、その後の作品に影響を与えた(礎となった)度合い、のことである。

 その<貢献度>が、『電王』は究(極)めて高い。他に、影響力のある(シリーズの基礎となった)作品と言えば、クウガ』『アギト』『龍騎が挙げられる。私が多大に評価しているのは、そういった作品である。

 逆に、名作(旧作)の猿真似で作られた(縮小再生産な)番組は<貢献度>が低い。というか、「無い」。

■『電王』(『ディケイド』)なくして『W』なし

 『電王』だけでなく、『ディケイド』にも触れておく。当初、『W』は『キバ』の後番組だった、というのは有名な話だが、歴史に「もしも」は無いけれど、もし当初の予定通り『W』が『キバ』の次に放送されていたら、今(現実)ほどヒット(成功)していたかどうかは怪しい。というのも、『W』はかーなーり企画が紆余曲折したとのことで、例えば今でこそ舞台は「風の都」だが、最初は「水の都」として考えられていた(が、現場サイドから撮影が困難だと指摘され、没となった)し、コレクションアイテムもPLEXから「USBメモリ」のアイデアが出るまでは、別モチーフでプランニングされていた。塚田英明が十分に練ることができたのは、『ディケイド』が放送されたことにより、「8カ月」の猶予が出来たからである。

(証言0)白倉伸一郎(『ディケイド』チーフP)

――(中略)『ディケイド』のおかげで、ひとつは過去作がコンテンツとして使いやすくなったことと、もうひとつはいったん区切りがついたことで、続く『W(ダブル)』の成功につながったというのがあるんじゃないでしょうか?仮に当初の予定通り、『W』が『キバ』のすぐ後にスタートしていたら、少し事情は違っていたような気もするので。
白倉 そうでしょうね。そんなに注目されなかったんじゃないかな。『W』はおもしろいんですけど、掴みとしては弱いんですよね。(中略)それが『ディケイド』のあとだと "真打ち登場" という見え方なったんじゃないかな。
白倉伸一郎『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より)

(証言1)塚田英明(『W』チーフP)

塚田 『仮面ライダーディケイド』は今までの10年の集大成であり、平成ライダーを総括した内容になることが決定して、僕の企画は『ディケイド』の後番組として8カ月後にスタートすることになりました。時期がずれたこと、揉む時間が増えたということに関しては、一言で言えばラッキーでした。企画を揉む時間も欲しかったし、心機一転が図れる。
(塚田英明『仮面ライダーW特写写真集KIRIFUDA』より)

(証言2)三条陸(『W』メインライター)

――ド派手な『ディケイド』のあとだったからこそ、『W』の生まじめな作風が際立ったという部分も。
三条 それはありますね。たぶん、『キバ』の直後に始まってたら、まったく感じが違ってたでしょう。(中略)
――結果、『W』は大ヒット。思いのほか高く飛んでいきましたね。
三条 まぁ、気流がよかったんでしょうね。「どうです、すごいでしょう!」とはとても思えない(笑)。
三条陸『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より)

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 『W』を評する際、「『電王』(『ディケイド』)なくして『W』なし」という点は留意すべきであろう。

[了]

※はじめましての方はこちらをご一読ください。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp