千倍王鷹虎蝗合成獣

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『キバ』第15・16話感想

仮面ライダーキバ』の感想です。以下、ネタバレ注意。

[2008年05月04日]第15話「復活・チェックメイトフォー」
[2008年05月11日]第16話「プレイヤー・非情のルール」
(脚本:井上敏樹、監督:長石多可男

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■「こういうの、いかにも俺が書きそうな話だよな。」

 ファンガイアでものすごい凶暴なやつ(ルーク)が記憶を無くしてて、下町の定食屋に拾われて店の看板娘やオヤジと仲良くなっていくんだけど、ある日突然記憶が蘇って、それまでほのぼのしていた店の中がえらいことになっちゃうって話(第16話)。こういうの、いかにも俺が書きそうな話だよな。正体を現すまで、『サザエさん』みたいなヌルい話をえんえん書いてたのは、最後に思いっきり「壊す」ためなんだよ。でなければそんなぬるま湯のような話を俺が書くわけがない。
井上敏樹『語れ!平成仮面ライダー』より)

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敏鬼「正体を現すまで、『サザエさん』みたいなヌルい話をえんえん書いてたのは、」

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敏鬼「最後に思いっきり『壊す』ためなんだよ。でなければそんなぬるま湯のような話を俺が書くわけがない。」

 ワンパターンとも言う。第15・16話は今は亡き、長石多可男監督回。チェックメイトフォーが初登場。…要するに、ラッキークローバーだよね、『555』における。平成『仮面ライダー』は一年間放送されるので、こういった敵幹部は必須なのである。ルークは麻生ゆりの母(恵の祖母)の仇かつ、次狼・ラモン・力たち一族(ウルフェン族・マーマン族・フランケン族)の仇でもある。過去篇では「新しいタイムプレイの始まりだ!」と言って遊び感覚で人間を吸魂しているのに対し、現在篇では記憶喪失になっている(そして「大ちゃん」として渡と静香ちゃんに保護されている)というのが臍。大ちゃんの(ルークとしての)記憶が戻り、定食屋大虐殺!なオチは最早「お約束」よね。

■野村静香(小池里奈)ちゃんは可愛い!

 野村静香(小池里奈)ちゃんは可愛い!

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 のに出番が少ない!初期設定として、「静香ちゃんは渡にバイオリンを教わっている」というものがあり、実際に、里奈ちゃんも(瀬戸康史武田航平と同じく)バイオリンのレッスンを受けたのだけど、結局、テレビ本編でそういったシーンが流れることは無かったのよな…!敏鬼は「あがった画を見てコイツいいなと思ったら出番を増やしていくしね。逆にダメだったら減らしていくこともある。」と言っていたので、敏鬼のお眼鏡に適わなかったのかな…?…や、単純に、学業を優先しただけなのかもしれない。それにしても、静香ちゃん周りは「謎」が多いのよな…!キバットとは(第01話の時点で)面識があったし、タツロットにも驚かない(不思議がらない)けど、ファンガイアの存在は知らないまま(第08話で遭遇したけど、有耶無耶になる)という(笑)。

――あと、心残りがあるとすれば、静香的に結局解明されなかった謎が、静香とキバットの関係……。
小池 それは最後までに絶対明かされるだろうと思ってたんです。でも、結局明かされなくて……。普通の人だったら、もしキバットが当たり前にそこにいたらビックリしますよね。だから、もしかしたら静香は小さいときから渡の家にいて、ずっとキバットを見てるから平気なのかな?と思ったり……。途中で急にタツロットが現れても全然平気なんですよね。だから、ある意味静香はすごく鈍感な子なんだなって(一同大爆笑)。
――そういう解釈なんだ(笑)。
小池 ホントはどうなんだろ?すごく知りたかったですねー(しみじみ)。渡がキバだってことも絶対いつかはわかるんだろうなって思ってたんですけど、近くにいる人って意外に気づかないのかなって思ったりもして。そう言えば静香って一回ファンガイア見てるじゃないですか、8話でレストランに行ったときに。で、渡が助けてくれるんだけど、すぐにいなくなって、あのあとのことも気になるし、わからないこと結構いろいろありますね(笑)。
小池里奈仮面ライダーキバ 公式読本 KIVA LUNATIC ARCHIVES』より)

 『キバ』の最大の臍は「主人公が人間と怪人の子供である」というものなのだから、小説版(著:古怒田健志)のように、「静香ちゃん」絡みで<葛藤>を描いても良かったんじゃあないの?と、思っていたのだが…!

 やはり自分はファンガイアなのか。
 咄嗟に、渡の脳裏に静香の顔が浮かんだ。
 自分は、心の扉を開けてくれた静香に対して本能の昂ぶりを感じている。
 あの胸の高鳴りは、人間として、男性として、生まれて初めて異性に好意を持ったことで起きているのだと捉えることもできる。
 けれど、もし自分がファンガイアだとしたら。
 ファンガイアにとって人間は餌だ。
 渡が静香に対して抱いている欲望が、人が美味そうな料理を見たときに感じる食欲と同じではないと言えるのだろうか?
「違う!」
 渡は心の中で叫んだ。
「僕は人間だ」
古怒田健志『小説 仮面ライダーキバ』より)

■前半『キバ』は<混血/吸血鬼>推しではない

 以下、『キバ』のチーフP、武部直美のインタビュー。

―― "変わっていく主人公" というと、確かに渡は変化していますね。
 主人公が変化していく、っていうのは、実は珍しいかもしれないですね。(『電王』の)良ちゃんだって、実は信念が通っていて変化しないし、『アギト』も『555』もそんなに変わらなかったんじゃないですか?だから、それを今回、どこまでできるか、と思っています。ただ渡が、自分にもファンガイアの血が入ってるんだ、って悩んだりすることはやめよう、という話はよくしています。渡は、自分が人間じゃない者らしい、とか、自分がファンガイアと同じ、っていうことに、今は気づいてもいないので、今後そこらへんを、どうしようかな、と。
(武部直美『ファンタスティックコレクション 仮面ライダーキバ Fang01』より)

 以下、『キバ』のメインライター、井上敏樹のインタビュー。

――本作は、キャラクターモチーフがヴァンパイアであるためか、本格ホラーのテイストも感じられますね。
 ファンガイアっていうのは吸血鬼のイメージなんだけど、厳密には吸血鬼じゃないんだよ。吸血鬼ってのは、人間の血を吸って、それが伝染して、胸に杭を打たないと滅びないってのが本来の姿であって。今のテレビでは、そういった描写は無理だからさ。要するに吸血鬼の「吸血」ってのはSEXのメタファーなんだけど、ファンガイアではそういう表現はできない。だから、あんまりヴァンパイアだということを意識しないで観たほうがいいと思うんだよね。
井上敏樹『ファンタスティックコレクション 仮面ライダーキバ Fang01』より)

 そうだったの!?

 というわけで、前半『キバ』は<混血/吸血鬼>推しではなかったのでした。後半は、武部直美&井上敏樹開き直ったのか「そこ」にスポットが当てられていくけれど。現在篇の「渡&深央&太牙」の三角関係とか、過去篇の「音也&真夜&キング」の三角関係とか、敏鬼はノリノリで描いていそうだったからな…!…あれ、静香ちゃんは…?(麻生ゆりも脱落していくけど、最初から参戦していないじゃあないの!)

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 ちなみに、第16話はパワードイクサーの販促回でもあるのだが、パワードイクサーは第20話が最後の出番です。本当にありがとうございました。

■オマケ:カットシーンについて

 よく「『キバ』はカットシーンが多いから、それも込み込みで見て評価して!」という人がいるけれど、テレビ番組とは「放送されたもの」が完成品なのであり、カットシーンを見ないと評価できない(全容を把握できない)という時点で、その作品は問題有りなのである。だがしかし、それにつけても『キバ』はカットシーンが多いので、『キバ』感想記事ではその回のカットシーンをピックアップしていこうと思う。

(その1)大ちゃんと看板娘

(自転車を直してあげた、定食屋の娘(以下、看板娘)と大ちゃんがデートしている。)
看板娘 「楽しいね大ちゃん!」
大ちゃん「うん、あの…楽しい!」
看板娘 「どう?何か、少し思い出した?」
(首を横に振る大ちゃん。)
看板娘 「もしかして、怖いの?自分の過去を思い出すのが。」
大ちゃん「うん…少しね…!」
看板娘 「大丈夫だよ、心配無いって。大ちゃんの笑顔が輝いてるのは、素敵な人生を送ってきたからだよ。…もっともっと、大ちゃんのこと、知りたいな。」
(第16話「プレイヤー・非情のルール」未使用映像)

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 監督、長石多可男は撮影に入るにあたり、台本のカット割りから何からが、頭の中ですべて完成していたという。そんな男がカットシーンを出してしまったのだから、やはり『キバ』の脚本は「長め」だったのだろう。

山崎 長石監督は経験が凄い方なので、撮影に入るにあたり台本のカット割りから何からが、頭の中ですべて完成しているんです。それが完璧すぎて、全シーンを撮り終えてみたら、尺が足りないという事件があった(笑)。
(山崎潤『仮面ライダー 平成 vol.2 仮面ライダーアギト』より)

[了]

※はじめましての方はこちらをご一読ください。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp