千倍王鷹虎蝗合成獣

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『キバ』第13・14話感想

仮面ライダーキバ』の感想です。以下、ネタバレ注意。

[2008年04月20日]第13話「未完成・ダディ・ファイト」
[2008年04月27日]第14話「威風堂々・雷撃パープルアイ」
(脚本:井上敏樹、監督:田村直己)

【前回】『キバ』第11・12話感想 - 千倍王鷹虎蝗合成獣
【次回】『キバ』第15・16話感想 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

■「なかなか良い着心地だ。快、感。」

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 唯一の「田村直己」監督回。過去篇ではついに音也がイクサに変身!見返して改めて思ったのは、岡元次郎凄ぇ!ということで、マジで次狼がイクサに変身している時は次狼に、音也がイクサに変身している時は音也に見えるんスよ!前回も同じことを書いたけど!過去篇のイクサはウルフェン族でも負荷がかかるのに、それに変身して戦(闘)える音也マジ<天才>…!(けど負荷がかかることは変わらず)この、天才は(若くして)身を滅ぼす(故に短命)というのは、『キバ』では音也でしばしば描かれる。それは何故なのか?というのは『キバ』感想の後半(終盤)に書きます。

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 そして、ドッガフォームも初登場!これまた変身回数が少ないのだけれど(あとはカメレオンファンガイア戦くらい?(←うろ覚え))、戦績が良い(何より、超!強い)のでバッシャーフォームよりは印象に残っているな…!特撮番組はインパクト>が大事ということです(by佛田洋)。この回はライノセラスファンガイアである香川教授…じゃあなかった!佐竹先生(←それも違う!)にジンジンが詐欺に遭うのを渡が救うという話で、やはり主人公(仮面ライダー)が<友情>を動機に怪人と戦う、という流れはええやね。

■アームズモンスターは<装飾過多>

 ファンガイアのほうにもバロック調のデザイン要素が入っているんですが、あちらは黒い部分に施されているのであまり見えないんです。だから、隠し味的な感じになっちゃったんですけど、ガルルに関しては、そこをメインにして引き立てるようなデザインにしています。でも、ちょっとやり過ぎたかな……って、実際やり過ぎてるんですけどね。メガハウスのアートワークモンスターシリーズでガルルのフィギュアを造った造型師の方が「もう2度とやりたくない」っておっしゃったそうです(笑)
(篠原保『仮面ライダーキバ 公式読本 KIVA LUNATIC ARCHIVES』より)

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 これは造型師も「もう2度とやりたくない」と言いますわ…!

 篠原保が描くクリーチャーは<ハードディティール>と評されるが(勿論、私も大好きだ!)、やや<装飾過多>なきらいもある。というのも、人間は見る対象の情報量が多過ぎても、全てを一度に視認できないのだ。例えば、Yahoo!ニュースのトピックス(見出し)は「13文字」(コンパクト)である、という話もあるでしょう?デザインも、シンプルな方が「受け入れられ易い」という側面もあるのだ。まぁ、あまりにシンプル過ぎると「『スーパー戦隊』っぽい」と言われてしまうのだが。ただ、世の中の大勢は勘違いしているのだけれど、「足し算をするより引き算をする方が難しい」んですよ!それはデザインだけでなく、脚本も設定もそう。初代ウルトラマンも西洋の甲冑の線(ライン)を極限まで少なくしていく(削ぎ落としていく)と「ああ」なる、という話もあるでしょう?「凝る」のは良いけど、「凝り過ぎる」のは良くない(悪い)のだ。

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 あと、アームズモンスターは人間を襲う(喰らう)ので、子供からすると恐(怖)いのよな…!

 まぁ「こんな恐(怖)ろしいモンスターをキバは武器として使っちゃう(故に強い)」というのがコンセプトなので、“筋”が通ってるっちゃあ通ってるんだけど。

■アームズモンスターは<影が薄い>

 『電王』のタロスズと『キバ』のアームズモンスターを詳細化してみる。先ずは前者。

▲『電王』のタロスズ
【怪人態】 :モモタロス/ウラタロス/キンタロスリュウタロス
【大分類】 :イマジン(共通)
【モチーフ】:桃太郎(鬼)/浦島太郎(亀)/金太郎(鉞)/竜の子太郎(龍)
【固有武器】:モモタロスォード/ウラタロッド/キンタロスアックス/リュウボルバー

 うぅ~む。非常にシンプル!統一感があるし、研ぎ澄まされている。惜しむらくは、キンタロスの武器名が「キンタラックス」じゃあないこと(笑)。はい、それじゃあ後者。

▼『キバ』のアームズモンスター
【怪人態】 :ガルル/バッシャー/ドッガ
【大分類】 :ウルフェン族/マーマン族/フランケン族
【モチーフ】:狼男/半魚人/フランケンシュタイン
【人間態】 :次狼(松田賢二)/ラモン(小越勇輝)/力(滝川英治
【彫像態】 :彫像態(バロック調)/彫像態(ロココ調)/彫像態(ゴシック彫)
【武器形態】:魔獣剣ガルルセイバー/魔海銃バッシャーマグナム/魔鉄鎚ドッガハンマー

 散漫すぎだろ…!タロスズは、基本的に「韮沢靖がデザインしたビジュアル」のみが視聴者の目に映るのに対し、アームズモンスターは様々な姿形に変身・変化・変形するため、一つ一つの印象が薄れてしまうし、何より…覚え難い!ただ、前作との差異化を図ろうとすると「数を増やす」(足し算する)という方向に進むしか、なくなってしまうんだろうねどうしても。スタッフもそこが反省点だったと自認している。

――続く『キバ』については?
野中 ほとんどを若いスタッフに任せていた番組ですね。ガルル、バッシャー、ドッガはモモタロス達の延長線上にいるキャラですが、差別化のため、人間態と怪人態、彫像態、武器形態と四つの姿を持っていて、やや影が薄くなってしまったかなと。少し焦点が合わせづらかったかもしれないですね。
(野中剛『仮面ライダーディケイド&平成仮面ライダーシリーズ10周年記念公式読本』より)

■「これ(イマジン)は奇跡ですよ。だから、それをもう一度やれと言われてもやはりムリなんです。」

 最初は僕がやる予定はなかったんです。企画書に狼男やフランケンとか書いてあるのを見て、これが第2のモモタロス、ウラタロスを狙ったキャラなのだとしたら、ハードル高いなあと思っていたんですよ。で、ビクビクしていたら、恐れていた通り僕の担当になって(笑)。ショックでしたね。僕としては、彫像体のままでいいんじゃないのと思っていたので、正直戸惑いました。(中略)モモタロスは、韮沢さんのデザインの中でも特殊なデザインだと思うんですよ。割と抑え目ではあるけど、あそこまで踏ん切りのいいデザインもないと。でもあのデザインがあるからこそ、『電王』が一般性を勝ち得たところが絶対あると思う。僕から見れば、あれは奇跡に近いですね。だって、よく見ると気色悪いのに(笑)、あそこまで受け入れられるキャラクターになったんですから。これは奇跡ですよ。だから、それをもう一度やれと言われてもやはりムリなんです。
(篠原保『ファンタスティックコレクション 仮面ライダーキバ Fang01』より)

 『キバ』が商業的に不振だったからと言って、「篠原保」を責めるのは酷な話である。

 責められないでしょう…?あれ(イマジン)は<奇跡>だったのだから…!

 悪いのは『電王』の二番煎じ(二匹目の泥鰌)を狙った「バ○ダイ」、これに尽きる。

※関連記事(韮沢靖の追悼記事)です。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

■オマケ:カットシーンについて

 よく「『キバ』はカットシーンが多いから、それも込み込みで見て評価して!」という人がいるけれど、テレビ番組とは「放送されたもの」が完成品なのであり、カットシーンを見ないと評価できない(全容を把握できない)という時点で、その作品は問題有りなのである。だがしかし、それにつけても『キバ』はカットシーンが多いので、『キバ』感想記事ではその回のカットシーンをピックアップしていこうと思う。

(その1)マスターと次狼

嶋「何?イクサがキバに負けた?」
恵「…はい。」
嶋「そうか。ふぅ…今日の体脂肪率は9.5%…完璧だ。」
恵「あんまり驚いてないみたいですね。もしかして…イクサの敗北を予想していたとか?」
嶋「…で、名護くんはどうしてる?」
恵「わかりません。でも、心配です。プライドの高い人ですから。」

↑2008年↓1986年

嶋 「流石だな、こんなに早く退院できるとは。」
ゆり「でも、本当にもう大丈夫なの?無理してない?」
次狼「問題無い。入院中ここのコーヒーのことばかり考えていた。」
嶋 「イクサはまだ完全ではない。君の体の負担を、少しでも減らすように、装着時間を制限したほうがいいだろう。」
ゆり「私もサポートします。」
次狼「心強いな。おかわり。」
木戸「ねぇねぇあなた、おニャン子クラブ会員番号32番、山本スーザン久美子ちゃんのファンでしょ?…ファンクラブ入んない?」
次狼「…もう入っている。」
(次狼のファンクラブNoは13。マスターのそれよりも若い数字だった。)
木戸「…先輩…!」
次狼「フッフッフッフ…。」
(第13話「未完成・ダディ・ファイト」未使用映像)

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 ぶっちゃけ、おニャン子クラブは過去篇(1986年)を象徴する(時間軸を切り替える)アイテムとして機能していなかったと思う…!

(その2)恵と静香

賢吾「(息を切らしながら)工事現場もジンジンやな…!えぇ汗は、やっぱ気持ちいいなぁ、渡。」
渡 「はい!頑張りましょう!」
静香「渡!渡!」
渡 「静香ちゃん…?どうしたの?」
静香「ちょっと渡、やっぱり変だよ。プロデビューするのに、お金がかかるなんてさ。」
渡 「もうほっといてよ。今大切な時期なんだからさ。健吾さんの夢が叶う、大切な。」
(「カフェ・マル・ダムール」で恵に相談する静香。)
恵 「ん!?プロデビューするのに金がかかる!?詐欺よ、詐欺詐欺!!決まってるじゃない!!」
静香「はぁ…ですよね!はぁ…やっぱり。」
恵 「でもさ、今時、そんなわかりやすい詐欺に引っ掛かる奴、いるはずないでしょ!…いるの?」
静香「それがぁ…。」
恵 「ん~!わかった。それ以上言わなくていいわよ。だいたいわかったから。フ~…しょうがないなぁ!」
(第14話「威風堂々・雷撃パープルアイ」未使用映像)

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 敏鬼は「食事シーン」を入れるのが好きだなぁ…!

 それにしても、『キバ』の現在篇は「2008年」の物語だけど、こういう(人の夢に付け込んだ)詐欺は今も後を絶たないらしいね…!『キバ』は教育番組という側面もあったのだなぁ(棒読み)

 『アギト』にしても『キバ』にしても、人がバンバン死んだりするよな。残酷だ、とかドギツイとか言われることもあるけど、そんなあれはダメこれはダメなんて言うのを聞いてると、テレビ文化は終わってしまうよ。そんな横やりには負けちゃいけないんだ。子どもにはさ、ちょっとくらいトラウマを与えておかなくちゃ。ぬるま湯のような社会だけではないってことを子どもに教えるのも、シナリオライターの使命だよ。(中略)
 あとは報われないってのもテーマの一つかもしれない。一生懸命頑張っても、報われないことだってある。頑張れば必ず夢は叶うとかあきらめないでなんて言葉は、大嫌いだね。基本的に、ちょっとやそっとじゃ叶わないのが夢なんだと思うよ。
井上敏樹『語れ!平成仮面ライダー』より)

[了]

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