千倍王鷹虎蝗合成獣

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『キバ』第01・02話感想

仮面ライダーキバ』の感想です。以下、ネタバレ注意。

[2008年01月27日]第01話「運命・ウェイクアップ!」
[2008年02月03日]第02話「組曲・親子のバイオリン」
(脚本:井上敏樹、監督:田﨑竜太)

【次回】『キバ』第03・04話感想 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

■『仮面ライダーキバ』とは?

「親子2世代に渡る人間と魔族の多元変奏曲!」

 なのである!『キバ』最大の特徴は、2008年1986年、2つの時代が同時並行に描かれること。“平行”ではなく“並行”なので、時に2つの物語は交錯し(人間関係も錯綜し)、やがて1つに収束していく。便宜上、前者の時間軸は「現在篇」、後者のそれは「過去篇」と表現する(東映公式HPの『キバ』第01話のエピソードガイドでは「そう」なっているため)。現在篇の主人公は紅渡(くれないわたる)、過去篇の主人公は紅音也(くれないおとや)であり、この2人は親子。それでは、『キバ』のW(ダブル)主人公を見ていこう。

■「現在篇」の主人公、紅渡

――(中略)主人公なんですが、紅渡のキャラクター設定というのは、どういうふうに作っていったんですか?
井上 主役をどんなヤツにするかっていうのは、いつも一番悩む。今回は、だんだん世界に触れて成長していくというところから逆算して、世の中に対してすごく閉鎖的な主人公にしてみたんだ。「この世アレルギー」って、もう究極じゃない?(笑)石田(秀範)監督からは「ちょっと『電王』(の主人公)に似てるんじゃないか」と言われたんだけど、まったく意識してなかったんだよね。俺、『電王』は観てなかったから。だからよく知らないんだけど、「この世アレルギー」っていうほど極端なのは、まだ誰もやってなかったんじゃないの?
田崎 最初はお化け太郎ですからね(笑)。
井上敏樹田崎竜太仮面ライダーキバ 公式読本 KIVA LUNATIC ARCHIVES』より)

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 それにしたって、魚の骨を拾い集める主人公はやり過ぎだろ…!

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 『電王』から見始めた女性ファンもドン引きですよ!(麻生恵みたいに!)

 余談だが、私の知人(女性)、『電王』ファン&『キバ』アンチのキリシマさんに、「良太郎と渡、どっちも引っ込み思案だけど、どう違うの?」と聞いたところ、良太郎は正義の心がある(←プラットフォームでも戦おうとしたり、モモタロスを叱ったりする所、らしい)からセーフ!渡は全く成長しない(ウジウジナヨナヨしているだけ)からアウト!」らしい。わ、渡だって成長しますよ!終盤も終盤だけどな!

 ちなみに、「この世アレルギー」という設定は第01話で無くなります…!その理由は、『エグゼイド』の第01話の感想記事に書かれているので、よろしければそちらもどうぞ。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

■「過去篇」の主人公、紅音也

――過去編の音也は『超光戦士シャンゼリオン』の涼村暁を思わせる、井上さんならではの強烈なほどの軽薄な主人公、すなわち井上キャラ全開になってますよね。
井上 みんなそう言うんだよな(笑)。
――やはり音也は書いていて楽しいんじゃないですか。
井上 いや、そんなことはないよ。音也が「井上キャラ」だという人の気持ちはよく分かるんだけど、そんなにああいうキャラが好きだというわけではないんだよ。(中略)音也のセリフなんてのは、ざーっと書いちゃうと、ごく普通の軽薄なキャラになるんだけど、セリフに凝ると面白い気がするね。だから音也を書くときは、気が抜けないって感じ。
(『仮面ライダーキバキャラクターヴィジュアルガイド1(Prelude)』より)

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 このインタビュアーの「音也は『井上キャラ』全開ですよね」発言は覚えておいていただきたい。

 それについては、『キバ』感想の最後の方に書くので。それにしても、敏鬼の「そんなに(ちゃらんぽらんな)キャラは好きではない」発言は意外だな…!ということは、完全に手癖で書いているということね(笑)。敏鬼は、こと『キバ』に関しては愚痴を溢すことが多い。『アギト』『龍騎』『555』では、絶対にそんなことは無い(少なくとも、私は聞いたことも見たこともない)のに、である。2012年の、『ユリイカ』での宇野常寛川上弘美との鼎談でも、こんな会話をしていた。

宇野 僕が井上さんのキャラクターで暁の次に好きなのは(紅)音也なんですよ。『キバ』は音也と名護(啓介)の印象でほぼ占められている。
井上 俺は名護の方が好きだね。キャラとしては名護のほうが完成されている。あいつは過去に行って音也と出会ったことで感化されたんだろうな。音也はもっと変にしたかったんだけど、意外と思うようにいかなかった。音也は反省点があるな。暁ほどさばけていないし、翔一ほど超越してもいない。意外と半端だった。やっぱりいろいろ限界があるんだよ。子ども番組だし、キャラばっかり書いてるわけにもいかないし。
宇野常寛井上敏樹ユリイカ2012年9月臨時増刊号 総特集=平成仮面ライダー』より)

 天上天下唯我独尊男、敏鬼が「反省点がある」と言うなんて…!

■『キバ』のシナリオ作法(定石)の問題点

井上 『キバ』では新しいことをやりたかったら、時系列をいじるしかないと思ったんだ。俺の計算ミスは予算がないから怪人が一体しか使えなくて、過去の怪人が現在にも出てくるという面倒くさいことがあったり、いろいろあったんだよ。『キバ』みたいな本はいままでにないからシナリオ作法から作った。定石を作って貼っておいた覚えがある。
井上敏樹ユリイカ2012年9月臨時増刊号 総特集=平成仮面ライダー』より)

 『キバ』のシナリオ作法(定石)の問題点は、過去篇で音也&(麻生)ゆりが倒せなかった(取り逃がした)ファンガイアを、現在篇で渡(や名護さん)が倒すという展開が多いということである。

 これにより、

 「音也&(麻生)ゆりのせいでファンガイアが22年間も野放しに!その間、数多の人間の命が奪われた(殺され続けた)!音也と素晴らしき青空の会は無能!」という悪印象を与えてしまうのだ。

 特に、パイロット版(第01・02話)でファンガイア(ホース&オクトパス)を(麻生)ゆりが倒せなかった(取り逃がした)のは完全に音也のせいなので、ますます「親父さえいなければ…!」ムードが増すのである。何が言いたいかというと、渡は「親父の尻拭い」をさせられることが多いということである。1年間顔晴って!

 以上、『キバ』パイロット版(第01・02話)感想でした。え、初回から批判が多過ぎですって?「だが私は謝らない。」

■オマケ:カットシーンについて

 よく「『キバ』はカットシーンが多いから、それも込み込みで見て評価して!」という人がいるけれど、テレビ番組とは「放送されたもの」が完成品なのであり、カットシーンを見ないと評価できない(全容を把握できない)という時点で、その作品は問題有りなのである。だがしかし、それにつけても『キバ』はカットシーンが多いので、『キバ』感想記事ではその回のカットシーンをピックアップしていこうと思う。

(その1)渡はお化け太郎

魚屋「はいらっしゃいらっしゃい~!本日のタイムワゴンセール、鱈がお買い得!鱈がお買い得で~す!鍋によし!焼いてもよし!この季節、旬の魚、鱈を、なんと、1パック280…」
(お化け太郎、現る。)
魚屋「お?またあんたか。魚の粗だろ?好きなだけ持っていきな。」
(お化け太郎、魚の粗をチャック付きポリ袋に入れる。)
魚屋「あんた、随分熱心だけど、料理の研究でもしてんのかい?」
(お化け太郎、「ありがとうございます」と書かれたメモを見せ、店を出る。)
主婦「ねぇ、あの子、お化け太郎じゃない?」
魚屋「お化け太郎?何だいそりゃ?」
主婦「三丁目のお化け屋敷に住んでるあの変な子よ!あそこに住みついてさ、一年になるけど、いっつも、マスクで顔を隠しててさ、道で会ったってあんた、ろくすっぽ、挨拶もしやしないんだから!な~んかこ~わいわよね~!」
魚屋「そんな悪い奴には見えねぇけどな。まぁ確かに、ちょっと変わってはいるけど。うちだけじゃなく、他の店でも、魚の骨、貰ってるっていうし。」
主婦「まぁ~、気持ち悪い!」
(第01話「運命・ウェイクアップ!」未使用映像)

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 渡(お化け太郎)のご近所からの評判(悪評)。…野良猫から魚を奪おうとするより、こっちの方がよっぽど(視聴者に)好印象だと思うのだが…?(だからカットされたのかな?社交的なので。)

(その2)渡とキバット

キバット「おい、おい渡~!さっきのすげぇいい女だったじゃねぇか!俺様は上機嫌だぜぇ~!俺様の尊敬する画家、モディリアーニが描いたジャンヌの肖像画にも負けねぇな~!あ~の首筋が何とも言えねぇ…!あぁ~…。おい、渡。あの女と仲良くしろよ、なぁ!」
渡「やだよ、あんな人。」
(第01話「運命・ウェイクアップ!」未使用映像)

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 これが、モディリアーニが描いたジャンヌの肖像画である。渡とキバットの掛け合い、もっとあってもよかったのでは?と思っていたけれど、敏鬼は書いてたのね、一応…!カットされただけで…。

(その3)渡と静香

(バイオリン作りに勤しむ渡。)
静香「あのお姉さんの言うこと、一理あると思うんだ。私、渡のこと甘やかしてたのかな…。」
キバット「う~ん…。う~ん…!」
静香「渡はどう思ってんの?ほとんど一日中部屋に閉じこもってて、友達もいないし、そんなんでいいの?」
キバット「(咳払いして)友達ならここにいるぜ!」
静香「あんたは黙ってて!どうなの渡?」
渡 「僕は、誰にも邪魔されずに、バイオリンを作りたいだけだよ。」
静香「ダメだよそんなんじゃ!渡のためにならないよ!えーと…。(閃いて)…そうだ!これから対人関係の練習をしよう!ねぇ。」
(渡の耳に囁く静香。)
渡 「えっ!?ナンパ!?僕が!?」
静香「そう。レッスン1。これで彼女でもできたら一石二鳥じゃない!」
渡 「やだよそんなの。絶対やだ!」
(何だかんだでナンパに行く渡。行列の最後尾のサングラスの女性に声をかける。渡は気付かなかったが、その女性は麻生恵だった。)
渡 「あの…。すみません…。」
(「あなたの瞳が」と書かれたカンペを見せる静香。)
渡 「あ、あなたの、ひと、瞳が…」
(「スキスキ」と書かれたカンペを上下逆に見せてしまう静香。)
渡 「キス…キス…。キス…?キス…。」
(慌ててカンペの上下を変えたり戻したりする静香。)
渡 「スキ、キスス…。スキキスス…。スキスス…。」
恵 「あら、今度はナンパ?いい度胸してるわね~!」
渡 「ごめんなさい…!もうしません…!」
(第02話「組曲・親子のバイオリン」未使用映像)

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 渡と静香ちゃんの掛け合い、もっとあってもよかったのでは?と思っていたけれど、敏鬼は書いてたのね、一応…!カットされただけで…。…あれ、これデジャヴ!?渡の“お母さん”、「野村静香」ちゃんの扱いについては思う所があるので、それについてはまたいずれ…!

[了]

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