千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『ビルド』感想:第01話「ベストマッチな奴ら」

仮面ライダービルド』の感想です。以下、ネタバレ注意。

第01話「ベストマッチな奴ら」(脚本:武藤将吾、監督:田崎竜太

【次回】『ビルド』感想:第02話「無実のランナウェイ」 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

■『W』のベストマッチな方々

 ダブルの基本形態は、右側がソウルサイド(サイクロン・ヒート・ルナ)、左側はボディサイド(ジョーカー・メタル・トリガー)に分割されているが、このようにハーフチェンジを「形容(名)詞+名詞」の組み合わせにしようと塚田英明に提案したのは三条陸である。それだけでなく、「俺たちは/僕たちは、二人で一人の仮面ライダーさ」のアイデアを出したのも三条陸だというから驚きだ。

塚田 (中略)ハーフチェンジに関しては、当初はもっとシンプルな案が出ていました。でも、せっかくならちゃんとした意味を持たせたかった。そこで、メインライターをお願いした三条(陸)さんの案で、右半身を形容詞、左半身を名詞、というような形にして、その組み合わせで、どんな能力を持つフォームなのか、わかるようにしたんです。(中略)とにかく、すべてにおいて意味づけにはこだわっていました。決定的なのは、2人で変身するという設定にしたことですね。あれは当時、テレビ朝日の梶(淳/プロデューサー)さんから、なぜ "W" なのか、もっとわかりやすくならないかという意見が出て、あらためて考えた結果なんです。それまでは、完成作品とは異なるイメージで "W" という意味を考えていたんですが、これも三条さんから、いっそのこと2人で変身することにしましょうと。
(塚田英明『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より)

 この、完成作品とは異なるイメージの“W”とは何なのかというと、塚田英明は、例えるなら「左翔太郎に霊体のおやっさん(鳴海荘吉)が憑依する」という想定でいたのである。1人主人公が「2人」になると、氏の「ロンリーヒーロー」コンセプトから遠ざかってしまう。そこで三条陸が提示したのがハーフボイルドという概念であった。

 ただ、塚田さんのハードボイルドへのこだわりは強く、2人になることで孤高でカッコいい主人公像が崩れることに強い抵抗を示されていました。それで提案したのが、ハーフボイルドというキーワードなんです。到達点には常におやっさんがいて、主人公はハードボイルドに決めたいんだけど、うまくできないんだということです。それで、ハードボイルドになりきれない翔太郎が、各エピソードのラストではビシッと決まるというフォーマットが生まれました。
三条陸仮面ライダー 平成 vol.11 仮面ライダーW』より)

 『W』には三条陸の意見がふんだんに盛り込まれているのである。三条陸についてはこのブログの副管理人(リ:バース)がこんな記事を書いているのでよろしければどうぞ。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

■『エグゼイド』の目標は、

↓『エグゼイド』放送前(2016/09/01)の大森敬仁のインタビュー。

――今回はメインライターが高橋悠也さんですが、これはどういった意図による起用なんですか?
大森 (中略)話を聞いてみると、玩具に対しても理解があって、各種アイテム類を有効な方法でドラマの中に出したいという意識が強い方なんですね。自分もどちらかというと考え方はそっちだし。今は本当に出物の物量が多くて、そこを考えずに作ることは不可能ですから、そういう意味でも、まさに適任ではないかと。
――その点は、これまで大森さんがチーフを担当された2作でメインライターを務めた三条陸さんが、まさに得意とされるところでもありますよね。
大森 そうなんです。ただ、自分もプロデューサーとしてそろそろ脱・三条陸を図らないと、いつまでも三条さん頼みではマズいんじゃないかというのが一つ(笑)。
(大森敬仁『東映ヒーローMAX Vol.54』より)

↓『エグゼイド』放送前(2016/10/01)の大森敬仁のインタビュー。

――大森さんが本作で目指していることは何でしょう?
 「脱・三条陸」ですね(笑)。その上で『ドライブ』をやりながら覚えた『仮面ライダー』作品のあり方や、『ドライブ』でやれなかったことを最初からぶつけようと思っています。
(大森敬仁『宇宙船vol.154』より)

 『エグゼイド』の目標は「脱・三条陸なんだそうである。だったのだが、

f:id:sebaOOO:20170903095651j:plain

 また三条陸の遺産(『W』)に縋るんかい!

 …もう一度言おう。

f:id:sebaOOO:20170903095651j:plain

 また三条陸の遺産(『W』)に縋るんかい!

 …ん?縋(すが)るは辿(たど)る…?遺産は“Legacy”…?

f:id:sebaOOO:20170903095741j:plain

 そうか、『タドルレガシー』は伏線だったんだね!

■(『W』は)もう8年前ですし、

――ヒーローデザインが仮面ライダーW(ダブル)に似ているように感じたのですが(笑)、その辺りは?
●二色で構成されている感じとか?確かに似てるといえば似ているんでしょうけど、あまり気にはならなかったんですよ。仮面ライダー1号と2号も似ていますし……。でも、(『W』のプロデューサーをしていた東映の)塚田さんからは「さあ、実験を始めよう」って、「さあ、検索を始めよう」と似てないか?という話が出たり、『W』と似ている点の指摘はいくつも受けました(笑)。もう8年前ですし、許して下さいって。
(大森敬仁『フィギュア王No.235』より)

 じゃあ許しましょう…!(←えぇ~!?)

 いいですか皆さん。「許す」という気持ちが大切なのです。“憎しみ”“慈しみ”に変えるのですよ…!

※このブログの「脱三条陸論」です。なかなか先見の明があるでしょ?(笑)

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

■というわけで『ビルド』感想

 デザインは『W』に酷似してるけど、内容は何が近いかというと『アギト』だなこれは。昭和っぽい要素(人体実験)も入ってる。『エグゼイド』の「適合手術」は数話経ってから出て来たワードだけど、『ビルド』は初回から「未確認生命体≒改造人間」ということを提示するわけね。「スカイウォールの惨劇」(日本列島3分割)がオリジナル要素。日本はWWⅡ終結後、マジで戦勝国に4分割される恐(怖)れがあったので、世界観はそれを意識してるのかもしれない。ナイトローグも「戦争の始まりだ」と言ってたし。文字通り<壁>の話になりそう。…『ドライブ』や『エグゼイド』を見るに、大森敬仁に<境界線>の話が描けるとはとても思えないんだけど(笑)。そこは田崎竜太武藤将吾に期待、ということで…!中盤や終盤で東都以外(西都や北都)にも行くのかしらね?映像でどう差異を見せるのか?がスタッフの腕の見せ所よね。気になったのは、前半は登場人物と説明台詞が多かったこと。ニードルスマッシュ戦にもっと時間を割いてもよかったと思う。田崎竜太はコンセプチュアルだけど、映像に派手さが足りないのよな…!桐生戦兎&万丈龍我の関係性は、左翔太郎&フィリップというよりは、火野映司&アンクのそれに近しいね。…今回はこの辺で(短ッ!)第1話はやはり特筆すべき点が無いなぁ…!(私が特撮情報誌で事前に情報を仕入れてるせいもあるんだけど(笑))

※関連記事です。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

※よろしければこちらもどうぞ。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

■オマケ:『アギト』のオーパーツについて

f:id:sebaOOO:20170903100126j:plain

 『ビルド』にパンドラボックスが登場するように、『アギト』にもオーパーツが登場する。数話で「無かった」ことになるけど…!何故かというと、それは白倉伸一郎井上敏樹がぶん投げたから…ではなく、造形担当の内山実氏が亡くなったからである。オーパーツを引き合いに出して『アギト』を批判すると故人に失礼なので、そういうことはやめましょう…!

内山実さん(特殊造型M&M)。
第1話~5話のオーパーツを手がけていただいた造型作家です。
あれほど巨大で、複雑なギミックの入った造型物の制作は、すさまじい難事業でした。美術チームとの協同作業を経て、ようやく図面を完成させ、材料と造型スタッフも揃い、いざ実作業にとりかからんとした矢先の、不慮の事故でした。(中略)仮面ライダーに携われるのは、造型作家としての夢とまで言ってくださっていた内山さん。事故に遭われたのは、この仕事を大切に考えすぎて、頭がいっぱいになっていたからではないか。(中略)どんなに後悔しても、取り返しはつきません。残されたわたしたちにできるのは、(中略)『アギト』を、少しでもすばらしい番組にするために、より頑張りつづけることだけでした。
(白倉@プロデュース、2004.01.18 『555』最終話放送後)

[了]

※はじめましての方はこちらをご一読ください。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp