千倍王鷹虎蝗合成獣

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『仮面ライダーエグゼイド』終盤評

 『エグゼイド』の放送が終了間近のため、終盤評をば。第37話「White knightの覚悟!」から、第42話「God降臨!」までの所感です。

 終盤評を書くつもりは無かったのですが(序盤評と中間評を前半評に集約したように、三四半評と一緒に、後半評一つに纏める予定でした)、何故『エグゼイド』の視聴率は低いのか?について明確なアンサーが出来つつあるので、もう2つほど理由を挙げるために、作成することにしました(※『エグゼイド』は8月27日(第45話)が最終回かつ、残り(第43話~)は全て「中澤祥次郎」監督回なので、第37話(監督:諸田敏)~第42話(監督:山口恭平)までを区切りとしました)。

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※『エグゼイド』前半評(表面&裏面)&三四半評です。理由その1~6はこちらをご覧ください。

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■本稿では『キバ』と『鎧武』にも言及します

 前回あたりのエグゼイド評と称した「ドライブ評」に関しては、私としても一言言いたいと言いますか、
 そんなに書き足りないなら、『ドライブ』を題名にいれろよ!
ってな感じで。(中略)「仮面ライダードライブ 不満点」と題して意見を述べていただくことは一向に構わないのですが(むしろ読みたい)、「エグゼイド」を隠れ蓑にしてエグゼイドの評価をまともに行わず、ドライブへの不満を述べたことに(注:読者から)異議があったのだと私は思いますよ。

 前半評は「第01話『I’m a 仮面ライダー!』から、第24話『大志を抱いてgo together!』までの所感です」と冒頭で銘打ってるのに本文だとエグゼイドの「エ」の字も出てこなくてドライブをこき下ろしてるし(中略)エグゼイドの総括感想を期待して記事開いたらがっかりするんではないでしょうか……。

 えぇい、あぁ!俺が悪かった!

 「反省してまぁ~す!」(←それは反省してない奴!)というわけで、予め断りを入れておきます。最初に言っておく!本稿では『キバ』と『鎧武』にも言及する!

■『エグゼイド』は平成二期の『キバ』

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 平成一期末期の作品たる『キバ』の特徴を三つほど挙げてみる。

(1)ライフエナジー吸収

 敵をすごく強くして、それをヒーローがやっつけるとカタルシスが生まれるという、ヒーローの原点を大事にしたいと思ったんです。昔の仮面ライダーシリーズって、悪が怖かったなあ、みたいな気持ちがどこかにあるんですよ。『電王』の敵イマジンはけっこう饒舌で、電王との戦いもどこかスポーティで殺伐さが薄くなっていた部分があったんです。それを、ちょっとライダーらしい怪奇的な方向に戻したいと思い、ファンガイアをあのような属性にしたんです(中略)モンスターが人間を襲うのは、まあそれくらい強い奴である、ってことですね。こんな恐ろしいモンスターをキバは武器として使っちゃうってところなんですけど。
(武部直美『ファンタスティックコレクション 仮面ライダーキバ Fang01』より)

 『キバ』の怪人、ファンガイア族は吸血鬼がモチーフで、人間(族)を餌とする。『キバ』世界の全生物は「ライフエナジー」を持ち、他生物のそれを吸収して生命を持続させるのだ。キバが武器として召喚するアームドモンスター(ウルフェン族、マーマン族、フランケン族)も同様である。人間も例外ではなく「食事」でそれを賄う(『キバ』世界では、人間もまた「魔族」の一種という設定がある)。ファンガイアに(空中に浮遊する)牙を刺され、ライフエナジーを吸収された人間は、体が半透明化し、やがて粉々になったステンドグラスのように砕け散る(これは、「吸血」が放送コードに引っ掛かったが故の演出だ)。人間の心が悲鳴を上げた時、主人公、紅渡(くれないわたる)の家にあるヴァイオリン、ブラッディローズ(渡の父、紅音也(くれないおとや)作)が鳴り響き、渡は現場に(愛馬、マシンキバーで)駆け付け、仮面ライダーキバに変身して戦うのだ。が、その時には「既に遅し」(被害者の心の音楽は消えている=死んでいる)なことが多く、放送当時はそれが物議を醸した。何が言いたいかというと、『キバ』ではよく「人が死ぬ」ということである。

(2)名護さんは最高です!

――メインの物語が激動していく一方、名護にもスポットが当たっていましたが。(中略)
井上 名護は最高だよ。実はアイツが一番苦労したんだ。あのポジションは相当オイシくしないと立たないから。~しなさいという口調を思いついてイケると思ったな。それで誰かからコメディシーンになると名護が燃えていると聞いたから、じゃあ増やしてみようかって(笑)。(中略)これを着て君も僕の弟子になりなさい!とか言ってるの(第45話エンディング後のサイン入り753Tシャツ・プレゼント希望にて)を観て爆笑したよ(笑)。
井上敏樹仮面ライダーキバ 公式読本 KIVA LUNATIC ARCHIVES』より)

 『キバ』世界には対ファンガイア組織「素晴らしき青空の会」が存在し、そこに所属し、仮面ライダーイクサに変身する名護啓介(なごけいすけ)である。詳細は割愛!(オイ)一言で表(現)すと「最高な男」である。当初、名護さんはラスボスとなって主人公(渡)に倒される予定だった(注:という噂があるのですが、すみません、ソースは無いのです…!小説版(著:古怒田健志)が本来の敏鬼プランだった…?)が、「遊び心」を覚えたのが幸いしたのか、名護さんは生き延びることに。上記の敏鬼のインタビューだけを読むと、東映のフィードバックは流石やで~!」と思ってしまう(それで終わりになる)のだが、それだけでは済まされないのが、三番目の『キバ』の特徴である。

(3)「殺す」「殺さないで」

武部 (中略)あ、いきなり嶋さんがファンガイアになったとき(第42・43話)には驚きましたけど。プロット打ち合せの段階では、そんなこと全然言ってなかったので……。
井上 あれは悩んだところだったな(苦笑)。ただ、ラストをハッピーエンドにしたいと武部がずっと言ってたから、その方向で考えた結果だね。(中略)
武部 キャラクターの運命については、よく井上さんと喧嘩しましたよね。「殺す」「殺さないで」って(笑)。もっと喧嘩したほうがよかったかもしれませんけど。
井上 でも、ほとんどは言われた通りにしたよ(笑)。
(武部直美・井上敏樹仮面ライダーキバ 公式読本 KIVA LUNATIC ARCHIVES』より)

 『キバ』のストーリーは「現代(2008年)」「過去(1986年)」が並行して(時に交わって)進行するのだが(←それが『キバ』最大の特徴なんじゃあないの!?)(←そこが今回の本質ではないので…!)、過去と現代、両方の時代に登場する人物も何人か存在する。「青空の会」会長、嶋護(しままもる)がその一人である。さて、現代パート(後半)には紅渡の異父兄、登太牙(のぼりたいが)が出て来るのだが(両親は過去パートのファンガイアの王(キング)&王妃(クイーン)で、太牙もまた現代のキング)、終盤、嶋は太牙に「サンゲイザーファンガイア」の改造された上、殺されてしまう。…というエピソードが上述の「第42・43話」なのだが、最終回(第48話)、死んだはずの嶋がひょっこり再登場するのである。実は、嶋は殺されておらず、太牙に人間に戻してもらって生き延びたというのだ。じゃあ何だったんだあの件(くだり)は!?放送当時は死ぬ死ぬ詐欺!」「井上敏樹は糞!」と批判されたものだが、後に「悪いのは敏鬼だけではないのでは?」という意見がチラホラ出始めたのは以下のインタビュー記事(プロデューサー鼎談)が世に出てからだ。

武部 太牙の "母殺し" も(第47話「ブレイク・ザ・チェーン/我に従え!」)、真夜が死んでしまうのはあまりに切ないな、と思えて、井上(敏樹)さんと1回派手な言い合いをしました。「やめてください!」「イヤだ、やる!」って(笑)。
大森 僕は、「(ストーリー上は)死んだほうがいいんじゃないですか」って言ったんですけど。
武部 そう、井上さんが、「じゃあどう思う?」ってみんなに聞いたら、大森くんはそう答えてた。宇都宮くんは、「ひとつぐらい、(武部さんの意向を)聞いたほうがいいですよ」って(笑)。やりたいのはすごくわかったので、最終的に「年明けならいいですよ」とは言ったんですが、オンエアを見るたび、「やっぱり真夜も太牙も、どっちもあまりにもかわいそうだな」と思ってしまいますね。
(武部直美・大森敬仁『仮面ライダーキバキャラクターヴィジュアルガイド3(Celebrate)』より)

 先程、太牙と渡は「異父兄弟」と書いた。太牙の父は過去キング(ファンガイア)で、渡の父は音也(人間)だが、母は真夜(まや)、過去クイーン(ファンガイア)で同じ腹から生まれたのだ。すなわち、渡は人間と怪人のハーフであり、『キバ』は寝取りの物語、なのである…!さて、キバの力(ファンガイアの王の力)を継承するのは王妃(クイーン)の役目という設定が『キバ』にはあるのだが、なんと真夜がそれを授けたのは渡に対してで、太牙には与えていなかったのだ。終盤、太牙はこれに激怒、真夜を殺めてしまう。…というエピソードが上述の「第47話」なのだが、最終回(第48話)、死んだはずの真夜がひょっこり再登場するのである。実は、真夜は殺されておらず…あれ、これデジャヴ!?敏鬼は「嶋も殺す!真夜も殺す!太牙も殺す!」つもりだったそうだが、「殺さないで!」と子供の頃の日下部ひよりヨロシク、チーフP武部直美が50通ものメールを敏鬼に飛ばし、「嶋も真夜も太牙も殺されない!」エンドになった、というのが真相なのだ。

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 …ん?前作が子供向け過ぎたから殺伐とさせ、ネタキャラのギャグを過剰にし、殺した/殺すはずのキャラを生き返らせる/生き延びさせる…?嗚呼ッ!それって『エグゼイド』じゃあないか!?

 はい、それでは、何故『エグゼイド』の視聴率は低いのか?の理由その7・8です。

■理由その7:日常

井上 俺はヒーローとしてのキャラ付けよりも、個人としてのキャラ付けのほうが大切だと思ってるよ。戦ってるときじゃなくて、むしろ日常がどんなやつなのかってこと。ヒーローとしてのキャラ付けを今の時代にやっても意味がないよ。
虚淵 日常ですか。
井上 よく日常を描かないヒーロー物もあるんだけど、つまんないよね。要は世界に入っていくととっかかりになるのが日常じゃない。ものを食べるシーンとかね。今は食いもんでキャラを売ることはやりつくしてる感があるけど、昔からよくあったでしょ。戦隊ものにおいて「カレーが好き」とかさ(笑)
井上敏樹虚淵玄『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』より)

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 思い返すと、『エグゼイド』で永夢の日常が描かれたのって第17話「規格外のBURGSTER?」ぐらいな気がする…!飛彩も甘味を食べてるくらいだし。『ドライブ』も日常描写が少なかったけど、これが「職業モノ」の宿命なのかもしれない。大我は「元」放射線医(無免許医)かつ、現在のジョブは「デイトレーダー」なので、仮面ライダーの中では割かし日常が描かれてる方かもしれない(ニコちゃんの御蔭ね)。余談だけど、『キバ』の“太牙”は頻繁に“大我”と書き間違えた…!

■理由その8:設定

雄次 靖子さんは特撮に詳しくないからという理由で下山健人さんや毛利亘宏さんを東映に紹介されたんですよね。それ、大事だなって思いました。特撮、大好きですって言う人が脚本を書きたがることも多いけど、それはただのマニアである場合が多くて。
靖子 そういう人って、えてして設定ばかりにこだわりすぎますよね。東映にもよくライター志望者が書いたものが送られてくるらしいんですけど、送られてくるのはシナリオじゃなくて設定が多いんですって。個人的には、内容が設定よりも面白ければいいと思いますが。(中略)やっぱり基本は小さい子が見るものじゃないですか、特撮って。あとは、あんまり設定に凝りすぎると「そこ説明してもつまんないでしょ」って思います。確かにライダーは戦隊との棲み分け上、少しドラマが複雑だし、主人公たちも大人っぽいですけど、それでも「この設定は大人が突っ込みそうだから」みたいな意識では書いていないです。むしろライダーもどんどん魔法チックになってきているので、戦隊との差は少なくなってきてるかも。
小林靖子小林雄次『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』より)

 薄々感づいてたけど、というか、ずっと感じてたけど、『エグゼイド』の登場人物って、「設定」ばかりくっちゃべってないか!?一々書かないけど。「何を喋ってたっけ?」という人は、下記リンクを参照されたし。

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■「理由その7・8」は、

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 『鎧武』でさんざっぱら批判したことなんですがね。

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 日常が描写されないと、設定を羅列されても、「ツマラナイ」。

 これも一つの指標になるな…!『鎧武』よりも日常の描写が少なく、設定の羅列が多い。それが、前年よりも平均視聴率を1%も落としてる『エグゼイド』なのだ。

[了]

※はじめましての方はこちらをご一読ください。

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