千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『仮面ライダービルド』の第一印象

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 『仮面ライダービルド』の第一印象です。チーフPは…また大森敬仁なの!?

■『W』は『キバ』の後番組(予定)だった

――しかし『W』のオンエアまでには紆余曲折がありましたね。当初、『仮面ライダーキバ』の後番組になる予定が、平成ライダー10周年ということもあって『仮面ライダーディケイド』の制作が決定して、半年間オンエアがスライドする形になりました。
塚田 (中略)時期がずれたこと、揉む時間が増えたということに関しては、一言で言えばラッキーでした。企画を揉む時間も欲しかったし、心機一転が図れる。ただ、やはり企画はナマモノなので、あまり準備期間が長いとフレッシュ感が無くなり、腐ってきてしまう。そういう意味では良し悪し両方ありましたけど、『ディケイド』がお祭り企画として大成功を収める一方、こちらは仮面ライダーを全部出すという派手なこともできないし、「この番組の後を引き継ぐのは大変だな」というプレッシャーはありましたね。
(塚田英明『仮面ライダーW特写写真集KIRIFUDA』より)

――では、現在言われている平成1期、2期という区切りを作ろうとしたわけではないんですね?
白倉 結果そうなっただけで、まったく考えてませんでした。もともと『ディケイド』より先に『W』の企画が動いていて、本来ならば『キバ』の次がそっちのはずだったんですよ。それで、『W』担当の塚田(英明)が横でブーブー言っていたので「ここまでが第1期だ。俺がやるのは2期だって言っとけ!」とは言いましたけど(笑)。
白倉伸一郎『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より)

 『W』は『キバ』の後番組(予定)だったのである。何故、『ビルド』の記事でこんな出だしにしたのかというと、ファーストインプレッションが「仮面ライダーダブル」だからである。ヒートトリガーかッ!

■破壊と創造 ~スクラップ&ビルド~

 『仮面ライダー』の制作は先ず最初に企画から始まるわけだが、当然、世に出ることのない数多の<ボツ案>が存在する。それでは、平成二期のそれを見てみよう。

(ボツ1)Wのスターティングメモリはヒートジョーカー

仮面ライダーWヒートジョーカー
ヒートメモリとジョーカーメモリを使用したフォーム。主に熱属性を使用しての近接格闘戦を得意とするため専用武器はない。パンチ、キックともに高熱の属性がプラスされる。マキシマムスロットにジョーカーメモリをセットして発動する必殺技はジョーカーグレネイド。第10話でスイーツ・ドーパントのメモリを破壊した。
実際に造形され、ジョーカーのマットブラック塗装のイメージが強くなった今では想像しにくいが、デザインチームが企画段階で推していたのはこのヒートジョーカーのカラーリングだったという。
(『仮面ライダーW特写写真集KIRIFUDA』より)

――サイクロンジョーカーのカラーリング、緑と黒の選択はなぜですか。
塚田 緑と黒はやはり仮面ライダーの色だということですよね。基本が赤色は嫌だったんですよ。戦隊の主人公が赤というのもあるし、原点に戻って「これが仮面ライダーだ」というコンセプトを標榜している以上、赤というチョイスにはなりにくい。
(塚田英明『仮面ライダーW特写写真集KIRIFUDA』より)

(ボツ2)OOOのメダルは生物と無生物のナンバーワン

――ネコ科で編成されたコンボという発想は面白いですが、メダルの属性はどのように選択されたのでしょうか。
阿部 最初の案は「メダル=金メダル」という発想から、特殊技能のナンバー1を属性として考えてました。早い動物のナンバー1はチーター、メカのナンバー1は新幹線とか、そんな感じで動物とメカが入り混じっていました。その後、東映さんからの要望は金メダルではなく「欲望のメタファーとして奪い合うもの」だったので、子供がより理解しやすい個性である動物だけに絞り、メカの要素は2号ライダーに振り分けることにしたんです。
(阿部統『仮面ライダーオーズ/OOO特写写真集OOO』より)

(ボツ3)アーマードライダーはジュースのボトルで変身

西澤 (中略)鎧武者のライダーというところまではハイスピードで決まっていったんです。でも、それだけだと普通にカッコいいライダーになっちゃいますよね。
田中 それだけだと弱いので何か変わったフックになるモチーフが欲しい、ということで出てきたのがフルーツというか、最初はジュースだったんです。(中略)知育玩具に、実際に飲むことはできないんだけど、ひっくり返すと中身がトコトコトコッと減っていくミルクのボトルがあるんです。ああいう面白いギミックのある連動アイテムができないかなと考えていて。
(西澤清人・田中宗二郎『仮面ライダー鎧武/ガイム公式完全読本』より)

 ん?配色が暖色と寒色の二色で、生物と無生物の力で戦い、変身アイテムがペットボトル…?嗚呼ッ!それって仮面ライダービルド」じゃあないか!?

 『ビルド』のコンセプトは「平成二期」のボツ案を拾うこと、なのかもしれない。…今回、引用が多いし短いな!突っ込んだ感想は、制作発表(記者会見)後に追記します。あと、昔書いた記事も置いておきます。↓これを読むと、ビルドが何故あのようなビジュアルになったのか?がわかるかもしれません。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

■追記(2017/09/02)

――物語が、過去と現在の二重構造というのも大きな挑戦でしたが、1年間やり終えてみて、何か物語作りにおいて発見や得るものはありましたか。
大森 最初に聞いたとき、「面白そうだな」と客観的に思いました(笑)。
宇都宮 僕は、わざわざそんな面倒くさいことしなくてもいいのに、と思いました(笑)。井上さん、田崎(竜太)さん、武部は『仮面ライダー555』でご一緒したメンバーですが、それが東京と九州の(二元構造の)お話だったんです。でも、予算や時間の問題もあり、結果的に5話でもう(九州側の登場人物が)東京に来て(二元構造ではなくなって)しまった。おそらく、それをまたやりたいんだろうな、と思ったんですよ。今度は距離じゃなくて時間でわけて、ふたつの世界の物語を最後までやろうという覚悟なんだろう、と。
(大森敬仁・宇都宮孝明『仮面ライダーキバキャラクターヴィジュアルガイド3(Celebrate)』より)

 『アギト』の初期案は「逃亡劇」(主人公とヒロインが九州から東京を目指す)だったが、予算や時間の問題もあり、没となった。しかし、白倉伸一郎はそれが諦めきれなかったのか、『555』では「それ」を断行したものの、前述の問題もあり、途中で断念することになる。メインライターの武藤将吾がそれを意識してるか否かは判らないが、『ビルド』は奇しくも、天才物理学者と脱獄犯による「逃亡劇」である。

[了]

※はじめましての方はこちらをご一読ください。

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