千倍王鷹虎蝗合成獣

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『エグゼイド』第39・40話感想

仮面ライダーエグゼイド』の感想です。以下、ネタバレ注意。

第39話「Goodbye 俺!」(脚本:高橋悠也、監督:上堀内佳寿也)
第40話「運命のreboot!」(脚本:高橋悠也、監督:上堀内佳寿也)

【前回】『エグゼイド』感想:第38話「涙のperiod」 - 千倍王鷹虎蝗合成獣
【次回】『エグゼイド』感想:第41話「Resetされたゲーム!」 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

■永夢は「普通の青年」じゃあない

(1)聖都大学附属病院の研修医であり、天才ゲーマーMである。
(2)檀黎斗が嫉妬するほど、ゲームクリエーターの才能もある。
(3)16年前、檀黎斗のゲームでバグスターウイルスに感染する。
(4)16年前、後の衛生省の審議官、日向恭太郎に命を救われる。
(5)6年前、パラドに乗っ取られ、西馬ニコに怨みを抱かれる。
(6)6年前、財前美智彦に手術され、その時パラドが分離する。
(7)『マキシマムマイティX』の力でリプログラミングできる。
(8)『ハイパームテキ』の力で「十秒」制限無く無敵になれる。

 これが、宝生永夢の設定である。設定盛り過ぎだろ…!白倉伸一郎はこんなことを言ってたけど、

白倉 (中略)ベタにいうと、仮面ライダーの主人公のいいところって、普通の青年であることですよね。それが突然、仮面ライダーになっちゃって、そこに苦悩はあってもなくてもいいけど、とにかく戦っていかなくちゃいけない。でも、普通の人だから、いいところもあれば悪いところもある……という。でも、最近の主人公は聖人君子でしょう。聖人君子のうえに、さらにベルトを手に入れて変身する。普通の青年が変身するから視聴者も憧れるわけで、まず聖人君子にならなきゃというのは……って思っちゃうんですよ。もちろん、主人公だから性格は善良でいいんだけど、「悟りすぎってないか?」って。お坊さんよりも悟ってるんじゃないかな(笑)。
白倉伸一郎『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より)

 永夢は<聖人君子>ではなくなったけど<普通の青年>からはどんどんかけ離れていってないか?

 はい、というわけで、今回は趣向を変えて今まで『エグゼイド』の感想・考察記事に投稿されたコメントを引用して第39・40話を見ていこうと思います。

■コメント:死者の復活について

 「死者の復活」に関してはまだまだ物語が進んでから議論しても遅くはないと思うんですよね。復活するとはいっても実際の所は「人間としてではなくバグスターとして」ですしね。「データで構成された本人に限りなく近い存在」なら実質的には別人ですし、本当に復活といえるのかどうかも下手をすれば怪しいです。

 貴利矢や小姫の復活、作品のスタンスとして生命をどういうものと捉えるかに関しては「死者」であり今はバグスターのような状態である彼らが最終的にどういう結末を迎えるか、で結論が出るかと。曲がりなりにも医療をテーマに据えるなら死んだはずの彼らが甦って大団円、という結末はあり得ないと思いますし、さすがに制作人もそこはわかっていると信じています。

 これらは『エグゼイド』第25~34話の感想記事(の、まとめ)の投稿コメントである。…のだが、

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永夢 「黎斗さん。クロノスが持ってるライダークロニクルガシャットって破壊したらどうなるんですか?」
新黎斗「なぜそんなことを聞く?」
永夢 クロニクルが強制終了して、患者のゲーム病も治るんじゃないですか?
新黎斗「さあ…私にはわからないな。(中略)彼女の命はデータ保存されるから問題ない。君はクロノスを倒すことだけを考えろ。」(中略)
永夢 「ニコちゃんの命がかかってるんです。…あなたに聞いたのが間違いでした。」
( 中 略 )
新黎斗「何を考えているんだ永夢!」
永夢 「ニコを救うには、ゲムデウスにたどり着かなきゃいけないんだ。」
新黎斗「落ち着け。わかった、君の言うとおりだ。クロノスのガシャットを壊せば患者は治る。これで満足だろ!?」
(第39話「Goodbye 俺!」より)

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 『仮面ライダークロニクル』をクリア(か、「マスターガシャット」を破壊)して(ゲーム病による)消滅者が復活エンドも見えてきたな…!

 そういえば、正宗が<リセット>の力に目覚めたね。吉良吉影の「バイツァダスト」的なものを想像していたら(←そこは『龍騎』の「タイムベント」的なもの、と表現すべきでは…?)、『クロニクル』(マスター)ガシャット破壊と『ハイパームテキ』ガシャット創造のみを「無かった」ことにするとは…!「ポーズ」も「リプログラミング」もそうだけど、元ネタ(の概念)を超越し過ぎではないか…?

■コメント:永夢の思想について

最近の永夢は徹底して『悩まない、ブレない』キャラとされているなぁと感じました。
ブレない、というのは患者の命と、笑顔を守るドクターという点ですね。
そこ(怪人の力を使うこと、消滅者を復活させること)に一切の苦悩や躊躇いは無し。
なぜなら、それが自らに課したドクターとしての使命(仕事)なのだから。
逆に、永夢の『悩まない』というエキセントリックな部分が見えてきた気もしますが。

 これは『エグゼイド』第36話の感想記事の投稿コメントである。…のだが、

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パラド「待ってろ、クロノス。」
永夢 「無理するなよ。ホントはクロノスが怖いくせに。」
パラド「フッ…怖いわけないだろ。」
永夢 「じゃあなんで、そんなに震えてるんだ?当然だよ。誰だって死ぬのは怖い。僕だって同じ思いをしたことがあるから。16年前。お前が僕に感染して間もない頃…。僕は事故に遭った。自分が死ぬかもしれないと思った時、心が震えた。本当に、怖かった。」
パラド「何が言いてえんだよ!そんな話をすれば、俺が怖気づいて逃げ出すとでも思ってんのか?」
永夢 別にお前の心配はしてないよ。僕が心配してるのは患者だ。あんな怖い思い、これ以上ニコちゃんにはさせたくない!そのためにも、お前との約束を果たす。
(第39話「Goodbye 俺!」より)

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パラド「ラヴリカが死んだ時、なんで心が震えたのか、よくわからなかった。でも、自分が命を狙われて…。お前に負けて…。殺されかけて…。頭が…心が、グチャグチャして…。怖くて!怖くて…。たまらなかった…。コンティニューできない、命の意味を、俺はわかってなかった。俺は…取り返しのつかないことをしたんだ。ごめんなさい…。ごめんなさい…。ごめんなさい…。ごめんなさい…。」
永夢 「僕が今まで出遭った患者はみんな、命を失うことの怖さを知ってた。だからこそ…命がいかに大切で、健康に生きてられることが、どれだけありがたいことか知ってるんだ。死ぬことが怖いって感じたお前には…命がかけがえのないものだって理解する、心がある。」
パラド「なんでこんな俺に…。お前に感染してる、ウイルスなのに…。」
永夢 ゲーム病も僕っていう人間の個性。人格の一つだから。お前を生んだ僕には、お前と向き合っていく責任がある。お前の罪を、一緒に背負って償っていく。
パラド「永夢…。」
永夢 「一つだけ約束だ。これからは命を奪うために戦うんじゃない。命を救うために、一緒に戦うんだ。」
(第40話「運命のreboot!」より)

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 今回(第39・40話)、患者(ニコ)じゃあなく、私情(パラド)を優先したよね…?

 もし、永夢が「患者第一優先」主義者なら、パラドに目もくれず、「(速攻で)マスターガシャットを破壊する」が最短ルートなのでは?「真っすぐいってぶっ飛ばす、右ストレートでぶっ飛ばす」ですよ。え?パラド戦でヒートし過ぎて新黎斗の声が聞こえなかった(言葉が届かなかった)ですって?そうですか…。やる(永夢&パラドの決戦を)のは別にいいんだけど、第37話では飛彩&大我が「パラドを殺す!」、第38話では貴利矢&新黎斗が「パラドを殺させない!」とかやってたのに、何だったの?ってハナシになるじゃない?タイミングが悪いよなぁ…!「1・2・3クール目でやっとけよ!」という声もチラホラ。それにしても、過去には「自分を殺した相手を許した」1号ライダーもいたけれど、「敵を殺しかけて『死の恐怖』(=命の大切さ)を味わわせて従える」主役ライダーというのも凄いな…!

 私が個人的にエグゼイドに感じているモヤモヤとして、問題をすぐに追及しないというのがあります。ポッピーがバグスターだと告白してもサラッと流し、誕生に人間を犠牲にしたかどうかすら問い質さなかったり、永夢の二重人格を問題にしたと思ったら根本的な解決をしないまうやむやにしたり。そしてポッピーが敵に回ったりパラドに永夢が利用されたりといった問題が発生してしまっていて、それぞれ最近になって説得や伏線回収として使われて展開としては盛り上がっているのですが、さっさと追及しておけばもっと早く解決していたのではと思えて今ひとつ乗り切れません。

※上記コメントは『エグゼイド』「前半評(裏面)」の投稿コメントです。

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 XXになったことで永夢とMの接触・コミュニケーションを期待していたのですが、「俺はお前、僕はあなた」という謎の一言で通じ合ってしまって、その後Mが表に出て好き勝手やったあと「自分と向き合っていく」と宣言したにも関わらず、やはりそういった描写はなし。映司とアンクのように「人命が最優先」くらいの約束はしておくべきだったと思います。変身したら主導権が渡ってしまうってんですから。

※上記コメントは『エグゼイド』「三四半評」の投稿コメントです。

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■コメント:正宗の行動について

何故正宗が飛彩にパラド抹殺を命じたのか、最初から正宗自身が根絶すればいいのに、と仰られていますが、
・パラド達がクロノスのポーズを封じるゲムデウスのウイルスを所持している点
・前回ウイルスを抑制したレーザーターボは離反し、今度ウイルスを食らえば完全にポーズを封じられる点
これらを考えると、万一の場合に備えて自身が出向かず飛彩に抹殺を命じたのはむしろ当然のように思います。

 これは『エグゼイド』第38話の感想記事の投稿コメントである。…のだが、

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 ゲムデウスのウイルスは簡単にバグヴァイザーⅡから摘出できるようだし、

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 ポーズで変身ベルト(第40話ではゲマドラ)も容易に奪えるようですね…!

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 そういえば、変身アイテム(第36話ではガシャット)も奪われていたな…!

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 何故、今までやらなかったのかというと、「舐めプ」をしていたからです。

 え?「お前も予想外してるだろ!」ですって?だって、こんなにEASYにゲムデウスのウイルスを取り除かれたら、グラファイトが浮かばれないじゃあないですか…!(「時の止った世界」に入門してたけど今回!)

 「時間停止」を演出するのは金がかかりますからね(『カブト』のクロックアップと同様に)。今後は「全エナジーアイテム独占」という形で正宗/クロノスの強さを表現していく腹積もりなんでしょう。(byセバオーズ)

■追記(2017/08/11)

大森 当初のパラドは人を簡単に消滅させてしまっているので、それをちゃんと反省させないと子ども番組としてよくないよねっていう話をしていました。第40話の2人(注:飯島寛騎と甲斐翔真)を観てよかったなって思いました。よく2人(永夢とパラド)を作ってくれたなっていう気はしています。(中略)
HH 当初はパラドは途中退場させる予定だったのですか?
大森 悪者であっても仮面ライダーなので、信念で行動してきたものがあって、それを突き返されて理解したときに反省しながら倒されるというのが当初の予定ですね。パラドがいなくなって永夢が奮起するみたいなイメージでしたが、それが変わって今のような形になっています。
(大森敬仁『ハイパーホビーVOL.4』より)

 なるほど。主役ライダーが「敵を殺しかけて『死の恐怖』(=命の大切さ)を味わわせて従えた」のにはそういう意図があったのか!ならば、俺は何も言うことはないです。それにしても、当初はパラドは「倒される」予定だったのね~。何故、「今のような形」になったのだろうか…?

甲斐 どうしてパラドは生き残ることができたんですか?
大森 先に映画を作っちゃったから。
飯島 そんな(笑)。
甲斐 でも個人的には散ったほうが格好いいなって思ってたから。
大森 みんな散りたがるよねー。
(甲斐翔真・大森敬仁・飯島寛騎ハイパーホビーVOL.4』より)

 そんな理由かい!

[了]

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