千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『仮面ライダーエグゼイド』前半評

 『エグゼイド』の放送が約半分終わったので、前半評をば。第01話「I’m a 仮面ライダー!」 から、第24話「大志を抱いてgo together!」 までの所感です。

 出た!お得意のドライブ叩き!隙あらばドライブを叩く。貴方は本当にドライブが嫌いなんですねぇ。いちいちドライブの話題を引っ張り出すなんて。(中略)そんなにドライブを叩きたいなら、また新たに記事を立ててしまうというのはどうでしょうか?「対決!『ドライブ』VS『ゴースト』」みたいな題で。その様子だと、まだまだ叩き足りないようですからね。思う存分叩けばいいじゃないですか。

 正直言うと目茶苦茶叩き足りないのである。

 と言うのも、本ブログの『ドライブ』批判記事のほとんどが「放送中」に書かれたものであり、もう流石にこれ以上は埃(ホコリ)も出ないだろうと思っていたら、放送終了後に驚愕の新事実がバンバン飛び出て来たからである。というわけで、これから『ドライブ』を叩きのめします。ただし、叩き棒に使用するのは『ゴースト』ではなく『エグゼイド』。現行作品だし、チーフPも一緒だし、いいでしょ?「『ドライブ』批判は絶対許さねぇ!」という人は回れ右してください(←最近芽生えた少しの優しさ)それではどうぞ。

■なぜ後半はタイヤコウカンしなくなったのか?

 東映鈴木武幸(すずきたけゆき)」という男をご存知だろうか?その功績はあまりに偉大!ここに書くには余白が少な過ぎるため割愛するが(←フェルマー風)、今やテレビ事業部門エグゼクティブ・プロデューサーとなった鈴木専務は、『ドライブ』スタッフにある言葉を投げている。曰く、ここ数年、動きがベルトに集中しているものが続いていて画(え)的に変化がない。ベルト周りでガチャガチャするのではなく、目線を変えてみてはどうか?というのだ。玩具チームとしては、メモリを入れる、メダルをスキャンする、スイッチをいじる、指輪をかざす、錠前を開ける&フルーツを斬る、といった感じで動きを変えていったものの、確かに「変身ざま」は変わっていないということで、「ブレスとベルトで赤外線通信する」というアイデアに至ったのだ。ところが…。

「色々な案が出た中で有力だったのが、ミニカーをブレスにセットして変身、というものでした。となると、同時期に放送している『トッキュウジャー』の変身方法とかぶるんですね。ブレスにトッキュウレッシャー(列車型のミニカー)を刺すという動きは同じですから。これには悩みました。(中略)いろいろ考えてはみたんですが、車の仮面ライダーなんだし、子供のことを考えるとミニカーモチーフが一番いいのかなという思いも出てきて、結果それでいこうと。ただし、車をブレスにセットした状態の時は車に見えないような形に変形させることは出来ませんかとオーダーを出して」(大森)
(大森敬仁『フィギュア王No.212』より)

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 ドライブのタイヤコウカンは問題があった。手数(手順)が多過ぎるのだ。

(1)シフトカーを取出し、それを回転させる。
(2)シフトブレスにセットし、レバーを操作。
(3)トライドロンからタイヤが射出され換装。

現場で仮面俳優が変身するのにも、監督が撮影するのにも、CG班(特撮研究所&日クリ)が合成するのにも、兎にも角にも時間が掛かる。更に、シフトカーは一つ一つ造型(鋳型)が異なるかつ、「変形する」ということは、パーツが細分化される&それを組み合わせる必要がある(=コストが掛かる)ため、どうしても原価も単価も高くなってしまう。また、ドライブドライバーは「パーサライタ」(※扇風機のファンみたいなものにLEDが仕込んであり、光の残像で文字やイラストみたいなものが浮かび上がる技術)を利用しており、変身ベルト自体も粋を結集している(=費用が掛かる)かつ、ハンドル剣もドア銃も全シフトカー認識可能(=金が掛かる)という大盤振る舞いである。…これでもし玩具が売れなかったりしたら、あとは解るな?

■なぜ後半はタイプチェンジしなくなったのか?

 タイヤコウカンの発案者は三条陸であり、フォームチェンジが<職業>ではなく<概念>(スピーディー、パワフル、テクニカル)になったのも三条陸が提言したから、というのは『エグゼイド』の第一印象に書いた。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

 それでは、変身後の泊進ノ介(仮面ライダードライブ)を演じた、高岩成二の感想を見てみよう。

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高岩 タイプスピードについては、(中略)とにかく奇抜だなという印象はありました。タイヤが袈裟懸けになってるせいか、バランスも妙な感じで……言っても伝わらないかもしれないですけど、体の中で "気" の螺旋の流れが乱れるような(笑)。(中略)ドライブは面に電飾が入ってるから、見た目以上に重たいんですよ。しかも最初に言った通り、基本スタイルのタイプスピードはなんだか体が斜めに持っていかれるような感じがあって。

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だけど、今にして思えばそんなのはまだよかったよな、と。いくつかフォームが出た中で特にタイプテクニックが問題で。あれ、首のところにタイヤがあるでしょ?あのせいで、肩がほとんど上がらないんですよ。なのに、困ったことにタイプテクニックって銃キャラなんで、当然のように銃を構える必要があるという(笑)。銃を構えたら、完全に首が埋まっちゃう感じになってしまって。あれにはホント苦労させられましたよ。

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タイプワイルドもそれはそれで難点があって、あれは右肩に大きいタイヤがあるから、そのせいで撮る角度によっては顔が完全に隠れてしまうということになっていて、芝居をするうえではなかなか困ったなということもあるフォームでした。

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タイプフォーミュラなんてビックリしたよね。フィッティングのときに、これ、夜中に酒飲みながら考えたんじゃないんですかー?って冗談で言ってましたけど(笑)。(中略)正直、ちょっと照れがあったし、とにかく動けない。倒れたら自力で起き上がれない形ですからね。本当に車の横転事故なんじゃないかって(笑)。
高岩成二仮面ライダードライブ公式完全読本』より)

 ベルトさん、システム設計ミスり過ぎィ!

※↓仮面俳優とアクション監督はツライよというハナシ。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

■なぜ後半は新規造形怪人が出なくなったのか?

 シリーズ15作目、『鎧武』の特徴として「怪人の少なさ」が挙げられる(オーバーロードを除くと、白虎、鹿、蝙蝠、青龍、天牛、辟邪、獅子、山羊の8体しかいない!)これは即ち、仮面ライダーが怪人を倒す」シチュエーションが少ないということでもあり、当時はそれが取沙汰されていたけれど、通算16作目の『ドライブ』ではこれを反省してか、兎に角「毎回必ず1体は怪人を倒す」というルールを課した。クリーチャーデザイナーは『S.I.C.』で有名な竹谷隆之(たけやたかゆき)」。氏が描いたプレーンロイミュード(スパイダー/バット/コブラ)は戦闘員でありながら、そのハードディティール故に下級さを感じさせず、前述の取り決めを守ることには一応は成功していたと思われる(プレーンしか倒されない回もありはしたが)。

――『ドライブ』ならではの新要素としては、竹谷隆之さんがクリーチャーデザインとして参加していることが挙げられますよね。
大森 これは石森プロさんのこだわりというか、これまでも竹谷さんにアプローチし続けていたみたいなんです。でも、なかなかタイミングが合わなかった。(中略)今回、たまたまタイミングが合ったものの、ものすごく忙しい方じゃないですか。だから、これはなかなかデザイン画が上がってこないパターンだとばかり思ってたんですけど、これがどんどん上がってきて!やっぱりお好きなんだなと。
(大森敬仁『東映ヒーローMAX Vol.50』より)

 ところが、竹谷隆之にも弱点があった。あまりにもきめ細やかに描き込み過ぎたのだ。それが禍したのか、シュートロイミュード(香村純子脚本)回以降は、フリーズ(001)とシグマサーキュラー以外は全て既存の怪人の改造である。Σも当初はクラッシュ(05・06)の流用予定だったそうで…!ハート、ブレン、メディックの超進化態もリペイント(金鍍金)だしなぁ…!…まぁ、主人公のフォームも塗り直しが多いんだけど(オイ)

・シュート(23・24)← ボルト (09・11)の改造
・ソード (25・26)← ジャッジ(18・19)の改造
・シーカー(27・28)← ガンマン(12・13)の改造
・オープン(29・30)← スクーパ(07・08)の改造
・シーフ (34~36)← ボイス (16・17)の改造
・クック (37・38)← ペイント(03・04)の改造
・トルネド(39・40)← アイアン(01・02)の改造

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 ロイミュード006が進化しなかったのは予算が枯渇していたからなのかもしれない。

■なぜ後半はトライドロンが出なくなったのか?

 『OOO』で映司がガタキリバコンボにあまり変身しなかったのは、身体に負荷が掛かるからではなく、制作側の金が掛かるからである。とは言え、「CG戦闘の何処に金が掛かるの?」という疑問を抱く方も多いと思われる。だがしかし、ちょっと想像してほしい。「ガタキリバの3Dモデルを作ってください」と言われて、あなたは作れますか?クワガタホーンを、カマキリアームを、バッタレッグを。しかも、ただ立ってるだけでなく、ガタキリバキック(スキャニングチャージ!)するために動けなければ(関節が無ければ)ならない(どうでもいいけど、ガタキリバの分身能力は「ブレンチシェイド」っていうのね~。訳すと<草葉の陰>か(違う))プラス、ガタキリバが戦う相手は「巨大化ヤミー」がほとんど(=篠原保のデザインもCG化が必要)何に金が掛かるかというと、「CGを作ること」自体に金が掛かるのだ。そして、『ドライブ』は例年以上にそれが多かった。トライドロンは三段変形するし、巨大化ロイミュード(スパイダー/バット/コブラ)もいるし、ライドクロッサーやライドブースターもあるし…!トライドロンは実物があるけど(合成用のモデリングは要るが)、実はトライドロンは1号車と2号車の2台存在するのだ。ワゴン車のことではないよ(笑)

柴崎 霧子と進ノ介の場面は通常の1号車で撮影できるんですけど、変身後……高岩(成二)さんが演じるときは1号車だと狭くて乗れないんです。トライドロンはベース車がスポーツカーということもあって、もともと狭くて。それこそドライブには狭すぎてハンドルすら握れない(笑)。中には無理矢理撮ったカットもあるけど、変身後は同じ内装で少し車内の広い2号車で撮影してました。ただ、2号車の外側はただの黒い車だから、逆に外観は撮影できない。だから4話のように、進ノ介が車内で変身する場面になると「ここからは2号車だね」と使い分けてます。
(柴崎貴行『仮面ライダードライブ公式完全読本』より)

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 全ての問題は、トライドロンが金食い虫だったのが原因なのだ。

■なぜ『ドライブ』は商業的不振に陥ったのか?

 『ドライブ』企画時の大森敬仁には以下のような四つの浅墓な思惑(勝算)があったに違いない。

大森敬仁「鈴木専務が言うならシフトブレスは大丈夫だろう!」
大森敬仁「三条さんが言うならタイプシフトは大丈夫だろう!」
大森敬仁「竹谷さんが描くならロイミュードは大丈夫だろう!」
大森敬仁「そして車は子供に人気な題材だから大丈夫だろう!」

 そんなこと、あるわけねぇだろ!

 これに対し、『エグゼイド』は本稿の『ドライブ』の問題が全て解消されていることにお気付きだろうか?

(1)玩具(変身ベルト&アイテム)
・ガシャットはゲーマドライバーに刺すだけ。
・どのゲームのガシャットも形状はみな同じ。
・異なるのは、電子音声とパッケージぐらい。
 
(2)フォームチェンジ
・スポーツウェア風のスーツなので動き易い。
・レベル3・5・50はパーツ装着だけでよい。
・レベルX・XX・99は着替えるだけでよい。
 
(3)クリーチャーデザイン
・バグスターウイルスは仮面+服だけでよい。
・「レベルアップ」と称して再生怪人を出す。
・コラボスなど流用を前提とした怪人もいる。
 
(4)CG戦闘
・レベル1(ゆるキャラ)も着ぐるみを用意。
・バグスターユニオンは敢えてチープな外観。
・変身バンクやエフェクトは使い回しが容易。

 前作の失敗を反省し、次作で改善する大森敬仁の姿勢を自分は評価しています。『エグゼイド』は<志>が高いよね。<コンセプト>も問題無し。『ドライブ』放送終了時点では「武部直美以下」だと思ってたけど、それはあまりに失礼だったな…!馬鹿にしてすみませんでした(オイ)

■追記(2017/04/11)

 前半評の「補足」記事を作成しました。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

[了]

※はじめましての方はこちらをご一読ください。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp