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千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

誰の目を意識してるのか?

91_スタッフ 99_総合話題

 「誰の目を意識してるのか?」というハナシ。

三条陸は悪女好き?

 三条陸は悪女好き」と言われることがある。『W』の風都には悪い女が多いからだ。「そうなのかも、しれないな」と思っていたら、興味深いソースに出逢った。『W』の企画に参加していたテレビ朝日のプロデューサー、梶淳(かじあつし)氏が、自著にてこんな話をしていたのだ。

 (中略)「W」では、視聴者を広く取り込むために、番組の多様性を重視しています。子どもが憧れるカッコいい変身キャラクターとアクションは大前提として、大人も楽しめる要素を加えています。探偵ものなので、各事件の真犯人探しの面白さは、大人が推理しても楽しめるようにかなり練りこみました。探偵たちが使うガジェットの描写にも力を割いています。携帯電話ひとつにしても、街の仲間が捜査に協力してくれる連絡手段だけではなく、ブログ描写やSNS的つながり感を含めて演出しました。また悪側には、当時モンスターペアレントへの関心が高まっていたので、自分の家族だけを愛するがゆえに、他者の痛みは感じない論理を設定しています。他にも、各話の依頼人は、基本的に美女ばかりをそろえるなど、視聴者の各世代が何かを好きになってくれるように、作品の多面的な「価値」を工夫しています。
(梶淳『アイデアにセンスはいらない』より)

 ナント、『W』の風都が悪女だらけなのは、テレビ朝日からのオーダー故だったのだ。子供は、仮面ライダーを見て楽しむ。母親は、イケメン俳優を見て楽しむ。父親は、「悪い(美)女を見て楽しめ!」ということだったのだ。あと、東映のチーフPたる塚田英明が悪女好きという理由もあったらしい(笑)

――あとはなんといっても、数々のイヤ~な感じの女の人が印象的で。
三条 風都の悪女率の高さはヤバいものがありましたからね!
長谷川 1・2話の脚本を読ませていただいたら、いきなり主人公の幼馴染みの女性が犯人でしょ?いきなりこういうのか……って(笑)。
三条 そもそも塚田さんが悪女好きで(一同笑)。悪女の誘惑を突っぱねるのがハードボイルドの一要素として必要なんですよね。
三条陸東映ヒーローMAX Vol.51』より)

 何が言いたいかというと、脚本家は自分の好き勝手にホンが書けるわけでなく、各方面の意向や要望を取り込まねばならず、『W』は明確に<大人>もメインターゲットに据えているということだ。

■ひとえに平成二期と言えども、

 <子供>以外に誰をメインの視聴者層に取り込もうとしているか?は作品によって微妙に異なる。

(壱)『OOO』:「100%ファミリー向けに作った」

――振り返ってみると『オーズ/OOO』という作品は全体のお話が見えやすかったですよね。
武部 そうですね。伏線や縦糸もあまり入れませんでしたから。そうしたのは今が継続視聴がない時代と言われているからなんです。みんな観たいときにパッと観て、毎週毎週必ず観るという習慣がない。だから出来るだけわかりやすいストーリー、親しみやすいキャラクターというのを心掛けたんです。でも、ある程度人気が定着したので、大体30話くらいからちょっとお話を捻るようになりましたけど。(中略)まあ、このタイミングだったらもう良いかなって(笑)。
――たしかに後半は怒涛の盛り上がりでしたね。
武部 マニアな人たちはそっちの方が嬉しいんでしょうね。でも私としては、『オーズ/OOO』は100%ファミリー向けに作ったつもりなんです。それは単に子供向けというだけではなく、「欲望って何?」「どのコンボが一番好き?」と、親子でコミュニケーションを図りながら、とにかく楽しんで観てもらえる作品を目指したかった。
(武部直美『仮面ライダーオーズ/OOO特写写真集OOO』より)

 そうかなぁ?火野映司のキャラクタリスティックは非常に難解だったと思うのだが…!

(弐)『フォーゼ』:「ティーン世代に帰ってきてほしい」

P:放送開始まであと少しですが、自信のほどは?
T:そりゃあ、どの作品もオンエアまでは不安ですよ。でも、制作発表はおかげさまで盛況でしたし、ネットリサーチでも手ごたえを感じています。実は、今回のフォーゼは10代の男女にも見てほしいと思って作っているんです。成長するにつれて『仮面ライダー』を "卒業" してしまう人は多いですが、実写である以上、特撮はアニメよりもリアルで説得力があるというのが僕の持論。大人も共感できるストーリーですから、ティーン世代の視聴者にも、ぜひもう一度『仮面ライダー』に帰ってきてほしいですね。
(塚田英明『POPEYE特別編集 仮面ライダー the40th コレクション』より)

 中島かずき<中高生>に向けて『天元突破グレンラガン』の脚本を書いていたそうだし(ソースは『ハガレン』の荒川弘との対談)、そういう意味では『フォーゼ』との親和性も高かったのかも。

(参)『鎧武』:「はじめまして、僕、虚淵玄です!」

――その『魔法少女まどか☆マギカ』を手がけた、虚淵玄が平成仮面ライダーシリーズの脚本を書いていることが注目されています。そういったことは意識していますか?
虚淵 していません。もっと言うなら、今までの虚淵玄作品についてきてくれた視聴者の方々のことはまったく考えていません。あくまでも、子ども達に対して「初めまして、僕、虚淵玄です!」と自己紹介している感覚です。だいたい、これまでの僕の作品を知っている方々は、おそらく皆さん18歳以上じゃないですか(笑)。大人になってまでライダーを好んで視聴するのはかなり高度に趣味的な層ですし、彼らとて自分たちがメインターゲットでないことは当然理解してくれているはずです。やはり子どもに向けて書かないと。
虚淵玄仮面ライダー鎧武ザ・ガイド』より)

 あれで<子供>向けだと言い張るのか…!

(肆)『ドライブ』:「三世代をアツくする仮面ライダー

大森敬仁プロデューサー(東映株式会社)
仮面ライダードライブ』は、一言で申し上げますと三世代をアツくする仮面ライダーです。おじいちゃん、お父さん、お子様と三世代揃ってお楽しみいただけます。また、史上初の“車にしか乗らない仮面ライダー”ということで、色々と葛藤もありましたが、シンプルに言えるのはここ数年の「仮面ライダーシリーズ」の中で最も“マシンと主人公が共闘する”場面が多くなるだろうということです。“ライダー”が“ドライバー”に変わる瞬間、仮面ライダー」の歴史が変わる瞬間にご注目下さい。
東映仮面ライダー新シリーズ『仮面ライダードライブ』制作発表会見 レポート!」より)

 筆舌に尽くしがたいため、ノーコメント。

■では『ウィザード』はどうなのか?

――(中略)大人の視聴者としては、初期平成仮面ライダーのようなリアル志向のライダーもまた見てみたいと思うのですが、そういう方向性の是非も含めて、會川さんはどう思いますか?
會川 そういうことは自分たちが決めることじゃなくて、状況が決めていくんでしょうね。クウガ』が志向した方向性っていうのが、まさに時代にぴったり合っていたのは、いわゆる30年周期の話だったわけですよね。最初のライダーを見てた人が、そろそろ大人になったっていう。
 だけど、今はもう30年を超えて40年以上になっちゃってるわけだから、そうなると親がかつてのライダーマニアだったとしても、自分の子供には安心できるものを見せたいとか言い出すわけですよ。つまり、殺伐としたものだとか、リアルなものはいいから、もっと夢のあるライダーを、とか。
 だから『電王』とか、『W(ダブル)』もちょっとそうかなぁ。『フォーゼ』とかのほうが、わりと今のお客さんに受け入れられやすいってのは、そういうことのような気がしますね。『ウィザード』は典型的にそうですよね。つまり、子供の目を意識してる。
會川昇『語ろう!555・剣・響鬼【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

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 宇都宮孝明が掲げた『ウィザード』のコンセプトは五歳児なら問答無用で『恰好良い』と思える仮面ライダーで、そういう意味では成功していたと思う。俺は、制作陣が明確な意思(意図)を持って平成仮面ライダー<子供>向けに作っているのであれば、それで良いと思っている。「ご両親(父と母)にも」とか「ティーン世代にも」とか「父親と祖父にも」というのはあくまでプラスアルファに過ぎないのだ。

■饒舌なマイノリティより寡黙なマジョリティ

井上 あとさ、数字はともかく、視聴者の声は耳に入れないよね。
虚淵 ツイッターとかで感想を言ってくる人もいますけど、そもそもメインの客層は子供たちなわけで、その子たちはツイッターなんてやってない。物好きな人の声としか捉えようがないですね。
井上敏樹虚淵玄『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』より)

 特撮オタクは<饒舌なマイノリティ>であり、真に重視すべくは<寡黙なマジョリティ>たる<子供達の目>である、ということを俺達は常に意識する必要がある。

[了]

※はじめましての方はこちらをご一読ください。

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