千倍王鷹虎蝗合成獣

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TV版『アマゾンズ』感想:Ep01「AMAZONZ」

TV版『仮面ライダーアマゾンズ』の感想です。以下、ネタバレ注意。

Episode01「AMAZONZ」(脚本:小林靖子、監督:石田秀範)

■『アマゾンズ』はダーク『カブト』

――で、平成ライダーは『仮面ライダー剣』(2004年)に続くわけですが、これはカードバトルを前面に押し出した作品でしたね。
「ちょっと待ってね……『剣』もそうだけど、そのあとの『響鬼』(2005年)『カブト』(2006年)と、この時期はあまり分量的にやってないんだよね。というのも今だから言えるけど、ここらへんは平成ライダーがピンチの時期で、石田(秀範)監督なんか3年連続パイロットで大変だったと思います。あまり協力出来なくてごめんなさい。そういうわけで、まさにライダー最終回直前!そして最終回のBパートで大ピンチ!!もはやダメか!?と思ったとき、まさかの『電王』登場で大逆転!!と(笑)」
――話を端折り過ぎですよ!
佛田洋『特撮仕事人』より)

 スタッフにも『剣・響鬼・カブト』が暗黒時代という自覚があったのか…!

 『剣・響鬼・カブト』のパイロット監督は石田秀範で、本人も当時は大変だったと述懐している。というか、巨匠がパイロット版を撮るのは『カブト』以来なのね。

――『剣』ではパイロットに加え、初の劇場版も手がけられました。(中略)翌年の『響鬼』でもパイロットを手がけられましたが、これは?
石田 高寺プロデューサーが久しぶりに現場に戻ってきましたけど、響鬼』はいろいろ大変でした。でも、高寺らしいドラマや、伝えようとするテーマがしっかりありましたね。
(中略)
――そして、『カブト』もパイロットと劇場版を担当されましたね。
石田 パイロットを3年続けてだったので大変でした。パイロットというのは1年分がそこにのしかかってきますからね。よく田崎は続けているなぁと(一同笑)。
(石田秀範『仮面ライダーディケイド&平成仮面ライダーシリーズ10周年記念公式読本』より)

 『アマゾンズ』の第一印象はダーク『カブト』<害虫(獣)駆除>だったり<擬態>だったりね。異なるのは、マスクドライダーは装着変身なのに対し、アマゾンズは<肉体変容>であるということ。この辺は『アギト』っぽい。“α(アルファ)”“Ω(オメガ)”といったネーミングも。今回<獣人>という原作(原案)ワードを採用せず、仮面ライダーも怪人も皆“アマゾン”という接頭辞/接尾辞に統一したのは凄いね。Episode01は定番の<蜘蛛><蝙蝠>に加え<蜻蛉>の怪人も登場ヘビトンボ獣人?ドレイクも入ってる?)と気合十分。ZECTの諸君と違い、駆除班はそこそこ臨戦・応戦できてるし(笑)そうだ、あと<土竜>いたねモグラ!!鼻(花)もちゃんと開くしw

■生卵と加工品と薬

 主人公二人から受けたイメージはこんな感じ。あくまでコンセプト的によ!?

鷹山仁 ≒ 天道総司 × 津上翔一
水澤悠 ≒ 加賀美新 × 葦原涼

 井上敏樹が書いた小説『海の底のピアノ』の主人公二人っぽい。『アマゾンズ』のメインライターは小林靖子だけど…!

(壱)水雪(女性主人公)とホームレスの場合

 水雪はねぐらに戻ってつゆ草を指でちぎって葉と花と茎に分けた。
 その間に宗片は鯰を捌いた。まな板の上に乗せた鯰の頭を包丁の背でコツンと叩き、ぐったりとなった鯰の背に包丁を入れた。背骨に沿って背開きにし、はらわたを取り出してぷるんとした白い肉を水で洗って血を落とした。
 ひと通りの下準備が終わると鰹出汁に薄口と濃い口で天つゆを作り、宗片はつゆ草の天ぷらを揚げ始めた。
 水で溶いただけの粉をくぐらせて揚げたつゆ草の花と葉の天ぷらは、トンボの羽根のような薄衣に包まれていた。天つゆにつけて口に運ぶとはらりと溶けて消えていく。
 (中略)
 鯰の肉はひとくち大に切って粉を少し足しつゆ草よりも厚い衣の天ぷらにした。
 サクッとした衣の歯応えと、ふわりとした鯰の肉が混ざり合う。
 (中略)
 シメはつゆ草の茎の蕎麦だった。ぐらぐらに煮立った鍋にどっさりと茎を放り込み、くたくたに煮上がったところを冷水にとった。冷めた茎を繊維に沿って縦に包丁で千切りにし、もう一度冷水にさらしてザルにあけた。
 鰹出汁に濃い口醤油と味醂で天つゆよりも大分濃く味付けをして蕎麦つゆを作った。
 下手糞な箸使いでつゆ草の蕎麦を食べる水雪を宗方は穏やかに笑って見つめていた。
井上敏樹『海の底のピアノ』より)

(弐)和憲(男性主人公)と母親の鈴子の場合

 鈴子は家政婦に頼るのをやめ、自分で料理をしようと決心すると食べるという行為が行為にならないほど軽く食べられるものを探した。自分でもそういう料理を欲していた。
 体調のいい日にあちこちの店を食べ歩き、スペインのあるレストランが発祥だという化学的調理法に目をつけた。それは鈴子の理解によれば食材を細胞レベルでバラバラにして質感と量感を全て消し去る料理だった。
 本とネットを渉猟し、独学で化学的調理法を身につけた鈴子はアルギン酸ナトリウムや塩化カルシウム炭酸ガス液体窒素を使って様々な食材を泡やゼリーやマシュマロに変えた。
 和憲は鈴子の期待通りに蛤の香りのする泡やみそ汁味の人工イクラや鯛のマシュマロ等を残す事なくよく食べた。和憲は特に泡の料理が好きになった。和憲にとって、それはアロマの香りを嗅いでいるのと同じようなものだった。
井上敏樹『海の底のピアノ』より)

――(中略)僕はあの人も好きでしたよ、……えっと河原に住んでる
井上 宗方さんね。あれは最高だよ、最高。あのシーンは、ホームレスのほうが豊かな食生活を送ってるっていうのが書きたかったの。
井上敏樹『語ろう!555・剣・響鬼【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

■で、『アマゾンズ』は平成一期回帰なの?

 かというと、なんか微妙な気がする。クウガ』~『555』は、なんだかんだでホッと一息つける瞬間というか、<団欒(憩いの場)>があったけど、そういうの皆無だし(TV版はカットされてるのかもしれんけど)どことなくノスタルジーは感じるけれども、それはそれで<真新しさ>が無いというのと同義なのよね。このブログにコメント欄にも『アマゾン』が一番異色という話をして、それを踏まえて作ったのが『アマゾン』のリメイクなのはどうかと思わないでもないという書き込みがあったけど、確かにそうだよな…!(“remake”ではなくrebootの方なんだろうけど)

 ただ、『電王』の時のような白倉伸一郎らしくなさ>は感じられる。例えば、駆除班のマモル青年がモグラアマゾンに変身する前に服を破いたり(それを劇中の登場人物が突っ込んだり)、各話サブタイトルをアルファベット順の英単語/熟語に統一するなんていうのは、

・Episode01「AMAZONZ」
・Episode02「BEAST INSIDE」
・Episode03「COLONY OF ANTS」
・Episode04「DIE OR KILL」
・Episode05「EYES IN THE DARK」
・Episode06「FOR WHAT I FIGHT」
・Episode07「GAME OF THE BUTCHERS」
・Episode08「HERO OR NOT」
・Episode09「INTO THE CANNIBAL'S POT」
・Episode10「JUNGLE LAW」
・Episode11「KILLING DAY」
・Episode12「LOST IN THE FOG」
・Episode13「M

どちらかと言うと高寺成紀(or塚田英明)が嬉々としてやるようなことだからだ。これは完全に邪推だけど、『アマゾンズ』は今でも一流の食材からの三流の料理と言わしめる『カブト』リベンジという側面もあるのかもしれない。前者は45周年記念作、後者は35周年記念作と、アニバーサリー作品という共通点もあるし。…ところで、ラストエピソードの『M』というのはつまり、そういうこと…?(※私はオリジナル版未視聴なのです)

「平成仮面ライダー」のキャラクターイメージが極めて多岐にわたってきたため、平成以前のシリーズも含め、仮面ライダーとはなんぞやというアイデンティティを打ち込み直そうと意図して企画したのが『仮面ライダーカブト』です。そのため、この作品は完成された主人公を擁した、ある意味、保守的なものになっています。そこには、昭和も含めてもう一度「仮面ライダー」を立ち上げようという強烈な意識がありました。だが正直、諸設定などを考えすぎた面があります。天道総司物語とするならば、さまざまな仮面ライダーが登場するにせよ、人物の並列描写は避け、徹頭徹尾、天道総司物語として組み上げていくべきだったかもしれません。
白倉伸一郎仮面ライダー 平成 vol.7 仮面ライダーカブト』より)

 や、でも毎週の楽しみが一つ増えたのは素直に嬉しい。Episode01唯一の不満は、コウモリアマゾンの翼が安っぽいことくらいかな(笑)無事(無事?)に2クール目も決まったようで、『アマゾン』の「ゲドン編 → ガランダー帝国編」のようにガラッと作風が変わるかもしれないし、ならないかもしれない(オイ)

■何が言いたかったかというと、

 真面目な巨匠は良い巨匠、不真面目な巨匠は悪い巨匠だぜェ~!

 …とりあえず『アマゾンズ』も初回は感想記事を書いてみたけれど、毎週更新するかは未定です。

[了]

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