千倍王鷹虎蝗合成獣

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『仮面ライダーゴースト』三四半評(+第38話感想)

 『ゴースト』の放送が約四分の三終わったので、三四半評をば。第25話「異変!赤い空!」から、第37話「修得!それぞれの道!」までの所感プラス、第38話「復活!英雄の魂!」の感想です。

※序盤評や中間評への賛同・反対意見もお待ちしております。

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■<積み上げ型>と<散らかし型>と<纏め上げ型>

 突然だが、高寺成紀白倉伸一郎塚田英明の作風というか、シリーズ構成を一言で表現してみる。その下には、各方面の著名人による3大チーフPの感想を付記。

(壱)高寺成紀は<積み上げ型>

井上 (中略)高寺さん独自のスタイルというか、1回見ただけだと、ゆっくりしててタルいなぁって思うんだけど、ちょっとしたプロセスの積み重ねが効いてくるんですよね。徐々に、徐々に。
 (中略)
――『ユリイカ』の寄稿文にもセリフの中の小さな情報から世界を広げるのが実にうまいって書かれてましたよね。(中略)「どうやら鬼にはシフトやローテーションがあるようだ!」とか「魔化魍のタイプ別に担当の鬼が違うようだ!」とか「鬼は日本全国にいるようだ!」とかもそうですよね。
井上 そうそう(笑)。ちょっとずつわかってきて、それがまた快感になっていくんですよね。
井上伸一郎『語ろう!555・剣・響鬼【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

(弐)白倉伸一郎は<散らかし型>

――では『555』のドラマの肝となる流星塾の面々に。彼らは悲しいことが多かったですね。
井上 流星塾はね、最初は何も考えてなかったんだよ。俺が第1回と第2回のホンを持ってったときに、白倉が読んでまとまってるんだけど、何か一個足りないと。なんかぶちこんでくれって言うから、勝手に流星塾をぶちこんだら、ああなったんだよ(笑)。
 要するに、『アギト』のあかつき号事件と同じよ。結末はわからなかったんだよ、とりあえずぶっこんどいて、あとで考えようってさ、例によって強引な手法だね。また結果的にはうまくいったと(笑)。
――真理が元流星塾とかも、全部あとづけだったんですか?
井上 全部あとづけだよ(笑)。
井上敏樹『語ろう!555・剣・響鬼【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

(参)塚田英明は<纏め上げ型>

――(中略)しかし、ここまで設定を決め込んでいたのに、ほとんど小出しにすることもなく終盤戦に雪崩れ込みましたね。
中島 1年かけて作ってきた設定を最後の4話くらいで一気に消化しなきゃいけなかったから泣きそうになりました(笑)。でも、そこには塚田さんの計算があって、要するに5歳児はそんなに長く設定を憶えてはいないということなんですね。まだ瞬間、瞬間で生きている段階だから、そういう話はまとめてやったほうがいいという考え方です。それはハッキリ言われました。僕や三条さんは隙あらば伏線を張ろうとするんだけど、そのたびにこの話には直接機能しないくだりですよねって(笑)。2話完結の中で、その話がどう動くのかが大事なんですね。
中島かずき仮面ライダーフォーゼ公式読本 FOURZE GRADUATION』より)

 で、他のチーフP達は上記3タイプの何(いず)れかを選択して「平成仮面ライダー」を制作している。例えば、宇都宮孝明(ウィザード)や大森敬仁(ドライブ)は<纏め上げ型>を採用しているし、武部直美の『キバ』は<散らかし型>、『OOO』は<纏め上げ型>と言える。『鎧武』は、虚淵玄が高寺&白倉P(クウガ・アギト・龍騎・555)をリスペクトしてるというのもあり、<積み上げ型><散らかし型>のハイブリッドである。では、『ゴースト』(高橋一浩)はどうなのか?というと

(壱)アランの物語は<積み上げ型>
(弐)マコトの物語は<散らかし型>
(参)タケルの物語は<纏め上げ型>

といった感じだろうか。アラン(眼魔)の世界の実情はゆっくりと静かに判明していき、深海兄妹の謎・伏線は回収されては次なるそれが生じていく(最近では、マコトのドッペルゲンガーなど)タケルの方(メインストーリー)はというと、1つ1つのエピソード自体は大天空寺で始まり大天空寺で終わるようになっている。『ゴースト』は3大チーフPの作風がMIXされているのだ。

■ナンバー2!サブライター気質!

――今回はスポット参戦といった感じでしたが、ご自身でライダーのシリーズ構成をやってみたいという願望はお持ちですか?
長谷川 う~ん、やっぱり僕はどっちかっていうと変化球の話を投げさせてもらってるほうがいいかな(笑)。メインをやってる人には申し訳ないけど、作品の設定に対するアンチテーゼだったり、そういう幅を作り上げて、それをまたメインの人が受け止めてくれて……という戦いをしながら作っていくのが楽しいんですよ。だから、ズルいやり方かもしれないけど、自分はナンバー2のほうが性に合ってるし、そのほうが役に立ってる感じもするんです。まぁ、仮にメインを引き受けても、どうせ変化球みたいなものを書いちゃうんですけどね。これはもう、生まれもっての性(さが)としか言いようがないですね(一同笑)。
長谷川圭一仮面ライダーフォーゼ公式読本 FOURZE GRADUATION』より)

――『鎧武/ガイム』第30話と言えばオーバーロードが沢芽市に向かい、大騒ぎになると思ったらキカイダーが出てきた話でしたね。
 そこは「数日前」と出したので(笑)。でも、そういうオーダーをキッチリこなせる脚本家は必要だと思うんですよ。それこそ『ドライブ』の特別編もそうでした。ゴーストへのバトンタッチを描きつつも『ドライブ』ファンに納得いただけるような最終回にしたいじゃないですか。こういう企画物の中でできるだけクオリティを高めることがサブライダーの矜恃だと思っています。もちろんメインライターの仕事をやってみたいとは思いますが、今お話ししたサブライター気質というのも自分の中にはあるんですよ。他人が作ったメインラインを繋いで広げるのも自分の性に合っているので。
(毛利亘宏『宇宙船 vol.152』より)

 メインライターの福田卓郎が「平成仮面ライダー」初参戦というのもあり、『W』や『フォーゼ』の長谷川圭一や、『OOO』の毛利亘宏がサブライターとして脇を固めている。…のだが、福田卓郎が夏映画『100の眼魂とゴースト運命の瞬間』(←百目鬼という略称は如何でしょう?)の脚本執筆に時間がかかったというのもあり、3クール目はサブライター2人で回している。

◆『ゴースト』3クール目の割り振り
・福田 卓郎回:第27・28話
・毛利 亘宏回:第29・30・34・35・38話
長谷川圭一回:第25・26・31・32・33・36・37話

 実質、長谷川圭一メインだね、こりゃ。福田卓郎は第39・40話で復帰するようで、終盤(4クール)は登板回数が増えそうだけど。さて、中間評に「『ゴースト』の主人公像については、三四半評にて書きます」と記したので、ここから先は天空寺タケルについて。

■アラン「みんなお前にもらったんだ、大切な心を!」

タケル友達なのに、どうして戦うんだ?
アラン貴様の言ってることは全く理解できない。
タケル「俺だって、お前たちが言ってることが全然わからない!命や体に意味がないなんて、間違ってる!」
マコト「あいつに何を言っても無駄だ。」
タケル眼魔と友達になれたんでしょ?俺たちが眼魔を理解しようと努力したら、眼魔にだって、人間の考えもわかってもらえるって!
マコト「タケル…。」
アラン理解不能だ。
(第16話「完璧!白い仮面ライダー!」より)

マコト「アーイ!バッチリミィヤー!バッチリミィヤー!カイガン!ネクロム!ヒウィゴー!覚悟!乗っ取りゴースト!」
アラン「これで私たちは、本当の友になった。」
( 中 略 )
タケル「マコト兄ちゃん…。やめろ!アラン、お前が操っているのか?」
アラン「フッフッフ…。ああ。今のスペクターは私と一つになった。」
タケルこんなのマコト兄ちゃんじゃない!お前とマコト兄ちゃんは、友達なんだろ?
アランそうだとも。完璧なる…友だ。
(第17話「絢爛!幻の女王!」& 第18話「逆転!神秘な科学!」より)

アラン天空寺タケルはどういうやつなんだ?
カノン「タケルくんは、子供の頃からまっすぐなんです。お兄ちゃんの親友で…。アラン様と同じです。タケルくんなら、アラン様とも友達になれるんじゃないかな。
アランあいつと私が?
(第20話「炸裂!炎の友情!」より)

タケル「お前たち眼魔は、人間をさらってどうする気だ?」
アラン「さらってなどいない。」
タケル「大勢の人間がカプセルで寝かされていたぞ!」
マコト「タケル、あれは…。」
アラン「我々の民だ。」
タケル「民…?」
アラン我々の民の肉体は完璧に保護され、永遠に朽ちることはない。
タケル嘘だ!俺は人が消えるのを見た!
アラン何を言っている?そんなことはない。
( 中 略 )
アラン「(カプセル内部の人間が消滅するのを見て)消えた!?やつが言っていたことは本当だったのか!?
(第23話「入魂!デッカい眼魂!」& 第27話「決死!覚悟の潜入!」より)

アカリ「今から眼魂の力で願いを叶えるの。」
御成 「ついにタケル殿が生き返るのですな?」
タケル「違うんだ御成。今はカノンちゃんの病気を治す。
アランこいつ、迷わず自分の命よりカノンのことを…。
(第25話「異変!赤い空!」より)

アラン((フミ婆の葬式会場にて)泣いている人間もいる。笑っている人間もいる。なんだ?これは。)
タケル「アランもお別れを言ってあげて。きっとフミ婆も喜ぶから。」
アラン人間は死んだら終わりだ。
タケルそんなことない。フミ婆は…フミ婆の思いは、みんなの心の中で生き続けるんだ。きっとアランの心にも…。
(第30話「永遠!心の叫び!」より)

 第30話でこの世界の宝物を守りたい!という心の叫びに気付いたアラン様。フミ婆の影響も偉大だけど、タケルの言動もまた、彼の心を動かす働きをしたと思うのよね。『ゴースト』評は4分割(起・承・転・結)で書いてるけど、物語を3分割(序・破・急)すると第2章(第16~33話)は「アラン編」に相当するね(第1章(第01~15話)は「タケル・マコト編」かな)

■無限に広がる大空は青天井

 (中略)『電王』の場合、戦っているのは良太郎ではなく憑依しているモモタロスたちですから、観ている子供たちが『僕もライダーになりたい』と思ってくれているのかな、という疑問がありました。もちろん、モモタロスたちが僕のところに来てくれたらいいな、とかそういう気持ちはあっていいと思うんですけれど、いつまでも他力本願でいいものか、とも思っていたんです。やはり僕もライダーになって戦いたいなと、子供がストレートに憧れるキャラクターに戻してみようと思ったわけなんですね。それで、渡の成長物語という骨子を作っていったんです。誰かが自分を助けてくれる、というよりは、自分自身で戦うぞ、と思ってほしいんですよ。子を持つ親としては。
(武部直美『ファンタスティックコレクション 仮面ライダーキバ Fang01』より)

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 「グレイトフル魂は中間ではなく最終フォームにした方が良かったのでは?」という声を耳にするけど、個人的にはムゲン魂が最強形態で良かったと思う。英雄・偉人の力を借りても良いけど、最終的には主人公自身が<英雄>になるという終着の方が、主人公の成長物語として相応しいからだ。

 「ムゲン魂さえあれば英雄・偉人の力は不要じゃね?」というと決してそんなことはなくて、例えばムゲン魂でタノシーストライクを撃てるのはロビン・フッド(必殺技はオメガストライク)と戦ってきたからだし、シンネンインパクトが撃てるのもビリー・ザ・キッド(必殺技はオメガインパクト)がいたからこそ。英雄・偉人の御蔭で、タケルは弓の名手にもスナイパーにもなれたのだ。

 ただ、英雄・偉人にも弱点があって、それは彼らが<完成>された存在であること。例えば、宮本武蔵は発明王にはなれないし、エジソンが超剣豪になることはない。大人になると天井のシミや汚れが気になるようになるというけれど、子供はそうではない。テレビの前のおチビちゃん達は将来、物理学者にも音楽家にも童話の編集者にもなれるかもしれない(流石に、破戒僧とか大泥棒になってもらっては困るけど…!)<完了>していないからこそ<無限の可能性>があるというのは、中々に上手い帰結だと思う。<喜怒哀楽><勇気><信念><愛>の力で戦うというコンセプトも面白い。そうか、だからこその第27話だったのか。

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 とはいえ、「英雄眼魂もグレイトフル魂の要らん子やん!」というファンがいるのも事実。それを見越してなのかは知らないが、フォローとして用意されたのが第38話だ。

■第38話「復活!英雄の魂!」(坂本浩一×毛利亘宏)

アカリ「人間の感情によって進化する眼魂…。これはタケルと一緒に成長する眼魂みたいね。」
仙人 「人の無限の可能性を秘めた、まさに、ムゲン眼魂じゃ。」
御成 「ムゲン、眼魂、とは、よき名前ですな。」
仙人 「ガンマイザーの進化に、英雄眼魂が対抗できなくなった今、ムゲンだけが、頼みの綱じゃ。」
タケル「ちょっと待って。ムゲンだけってなんだよ。英雄の眼魂だって、まだまだ負けたわけじゃない。」
( 中 略 )
仙人 「英雄眼魂が無用とは言わん。だが、ガンマイザーの進化のスピードに対抗できるのは、ムゲンの力しかないということじゃ。」
タケル「そんなことはない。俺は、英雄の力を信じる。」
( 中 略 )
タケル「みんな、返事をしてください。みんな…出てきてください!怒ってるんですか?ムゲンを使った俺を。」
ムサシ「そうではない。我らは、おぬしの成長を誇りに思っておるのだ。おぬしは十分に成長した。しかしだからこそ、我らの役目は終わったといえる。」
タケル「そんなことない。俺にはまだみんなが必要なんだ!」
( 中 略 )
タケル「俺はみんながいたから強くなれた!どんな壁にぶつかっても、乗り越えることができた!だから…わかるんだ!みんなはまだまだ強くなれる!みんなには俺がついている!!」
ムサシ「すまなかったなタケル、最後まで共に戦おうぞ!わしは、決して折れぬ刃となろう。」
(第38話「復活!英雄の魂!」より)

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 15人の英雄・偉人全員召喚と、10連続ゴーストチェンジをテレビ本編で拝めるとは…!

 今後もパーカーゴーストは登場するようで一安心。こういうのは、最終回に近付くにつれめっきり出番が減っていくのが世の常だからな…!第39・40話はビリー・ザ・キッド回も兼ねているので、第41・42話はベートーベン回で、第43話から巻きに入るって感じかな。

■北のあの国とOSと世界変革の時

――怪人の目的を世界征服にしてしまうと、さすがにリアリティがなさすぎるから難しいですよね。
井上 そうなんだよ。戦隊はまだいいかもしれないけど、ライダーは敵のほうが難しい。北のあの国とかを出せば話が早いんだろうけどさ、そうもいかないしね。今は悪って書きにくいんじゃない?
井上敏樹『語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

虚淵 会社というものに対する子供たちの意識が、昔に比べて相当変わってると思うんですよね。TVスポットや広告で、コーポレートアイデンティティをやたら推してくる。子供たちにとっても、なんだかわからないCMやロゴがすごく目についているはず。(中略)パソコンを使うと出てくる「WINDOWS」とか、『妖怪ウォッチ』を作ってる「レベルファイブ」とかの固有名詞は耳にしてますよね、子供たちも。それらがどうやら自分たちの暮らしに密接に関わっているらしいけど、よくわからない…という感覚。(中略)今の子供が恐がりそうなもの……それこそ『妖怪ウォッチ』とか?「なぜ僕はこの機械の前に4時間も並んでるんだろう」と気づいたりして(笑)。そろそろ子供たちが疑問を感じる頃なんじゃないかと、僕は踏んでいますけど。
虚淵玄『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』より)

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 『ゴースト』の敵は「もし独裁国家がソフトウェア会社を買収して世界を侵略しようとしたら?」というのがコンセプトと思われる。セイン・カミュ演じるディープ・コネクト者の社長の名前はスティーブ・ビルズであり、言うまでもなくSteve Jobs“Bill Gates”が元ネタである。デミアプロジェクトはどのように最終決戦に絡んでくるのかしら?私見ですが、『ウィザード』のように短期間に止め処なく、『鎧武』のような未曾有の危機が訪れると予想しています。

 以上、『仮面ライダーゴースト』三四半評でした。賛同・反対意見、お待ちしております。

[了]

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