千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

どれから薦める?平成仮面ライダー!(改)

 以前、「平成仮面ライダーを薦めるなら響鬼』『カブト』『キバ』『フォーゼ』から見せろ!」という記事を書いた。巫山戯てるように思われるかもしれないが、俺は真面目にこれを書いたのだ。しかし、幾ら何でも敷居が高過ぎるのでは?という声もあったので、もう一度大真面目に考えてみる。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

■最初に出来の良いモノから見せるな!

 高寺成紀白倉伸一郎塚田英明の三人。信者とアンチで評価が真っ二つに分かれ、功罪両方併せ持つチーフP達ではあるが、彼ら無くして今日の平成仮面ライダーは存在しないという事実は誰にも覆せないだろう。高寺・白倉・塚田Pが各々最初に創った仮面ライダークウガ』『アギト』『ダブル』)は、昭和の残り香を感じさせつつも新しい風を巻き起こし、今尚根強い人気を誇る。

(01)『クウガ』(チーフP:高寺成紀)
【信念】新しいヒーロー、新たなる伝説を生み出す!
【概要】昭和仮面ライダーの平成シミュレーション!
【成果】キャラクター商品売上高を百億円クラスに!

(02)『アギト』(チーフP:白倉伸一郎
【信念】最初にして最後の仮面ライダーを生み出す!
【概要】三人の仮面ライダーと天使・神々との闘い!
【成果】新世紀では最高視聴率かつ最高平均視聴率!

(03)『ダブル』(チーフP:塚田英明)
【信念】次の十年に向けた、新たなるシリーズ始動!
【概要】探偵と魔少年、二人で一人の仮面ライダー
【成果】キャラクター商品売上高を二百億円規模に!

 しかしそれ故に、それ故に『クウガ』『アギト』『ダブル』から薦めてはならない。何故ならば、それが基準(ベース・スタンダード)となってしまい、出来の悪い(と、マジョリティが見做している)作品が見れなく(見下すように)なってしまうからだ。また、高寺・白倉・塚田Pは作風もスタンスも異なるため、下手をすると『クウガ』『アギト』『ダブル』のどれを一番最初に視聴したかによって、己のヒーロー像が固定されてしまう恐(怖)れがあるのだ。

(01)最初に『クウガ』を視聴した場合
視聴者「平成仮面ライダーはシリアスかつ、超リアリティ重視の二話完結型式なのね!」
(02)最初に『アギト』を視聴した場合
視聴者「平成仮面ライダーはシリアスかつ、謎伏線鏤めし連続メロドラマ型式なのね!」
(03)最初に『ダブル』を視聴した場合
視聴者「平成仮面ライダーはコミカルかつ、二話前後編ゲストお悩み相談型式なのね!」

 「設定の齟齬や、物語の矛盾の少なさ」<防御力>「外連味と話題性と強烈な引きの多さ」<攻撃力>、とすると、高寺成紀は防御力重視、白倉伸一郎は攻撃力重視、と言える(塚田英明は攻防平均点以上、といったところか)このブログでは、防御力が高い=<美しい>、攻撃力が高い=<面白い>という表現をしているのだが、『クウガ』初視聴者からすると『アギト』は<美しくない>だろうし、逆に『アギト』初視聴者からすると『クウガ』は<面白くない>と感じるだろう。

 また、『ダブル』以降(平成二期)の作品はライト(明るく、軽い)なテイストになったこともあり、『ダブル』初視聴者は『クウガ』や『アギト』の<シリアス(殺伐)さ>が、『クウガ』or『アギト』初視聴者は『ダブル』の<コミカル(軽妙)さ>が鼻に付くかもしれない。

 つまり、最初に薦めるべくは、高い防御力と攻撃力(美しさと面白さ)を兼ね備え、かつシリアスさとコミカルさ(殺伐さと軽妙さ)が入り混じる、バランスの取れた作品だ。

 「そんな作品あんの!?」存在する。存在するのだ。仮面ライダー龍騎だ。

■『龍騎』が優れている13の理由

 『龍騎』は<エポックメイキング>という言葉が歴代で一番相応しいくらい画期的な作品である。ここではその理由を13個列挙する。

(01)漢字のタイトル

 “仮面”を除けば、『仮面ライダー』のタイトルは、かつては英数字か片仮名しか無かったのである(『V3』『X』『アマゾン』『ストロンガー』『スーパー1』『BLACK』『RX』『ZO』『J』『クウガ』『アギト』)まぁ『仮面ライダー(新)』とか『真・仮面ライダー 序章』とかあるけど…!テレビシリーズで漢字のタイトルが冠されたのは『龍騎』が初で、後にも何作品か誕生することになる。

(例)『剣』『響鬼』『電王』『鎧武』

(02)仮面のデザイン

 仮面ライダーの“仮面”の三大構成要素と言えば<(1)触覚><(2)複眼><(3)クラッシャー>だが、『龍騎』では<騎士>をモチーフにし、上記三つに縛られない自由奔放なデザインが生み出された。まぁ『アマゾン』や『ストロンガー』の時点で相当攻めてるマスクだし、『クウガ』『アギト』の時点で触角は<角>に置き換わってるんだけど…!ちなみに、触角はゾルダ、複眼は龍騎、クラッシャーはナイトにと、主要登場人物三名に振り分けられている。

(例)触角が無い(555・ブレイド・カブト・キバ・ドライブ)、クラッシャーが無い(ダブル・フォーゼ)、触角と複眼が無い(鎧武)、触角とクラッシャーが無い(ディケイド・オーズ・ゴースト)、触角も複眼もクラッシャーも無い(響鬼・ウィザード)

 …何気に、電王(ソードフォーム)はちゃんと触角・複眼・クラッシャーがあるな…!

(03)多人数ライダー

 龍騎/城戸真司、ナイト/秋山蓮、ゾルダ/北岡秀一、シザース/須藤雅史、ガイ/芝浦淳、ライア/手塚海之、王蛇/浅倉威、タイガ/東條悟、インペラー/佐野満、ファム/霧島美穂、ベルデ/高見沢逸郎、そして、神崎士郎が用意する、仮面ライダーオーディン。『龍騎』では、劇場版『EPISODE FINAL』やテレビスペシャル『13RIDERS』の面々も含めると、総勢13人の仮面ライダーが登場する。まぁ『アギト』にも3人の仮面ライダー(アギト・G3・ギルス)が登場するんだけど…!でも、3人だと多人数って感じしないじゃない?他の多人数ライダー作品は以下の通り。

(例)『剣』(ブレイドギャレン・カリス・レンゲル)、『響鬼』(響鬼威吹鬼轟鬼斬鬼)、『カブト』(カブト・ザビー・ドレイク・サソードガタック・キックホッパー・パンチホッパー)、『キバ』(キバ・イクサ・サガ・ダークキバ)、『鎧武』(鎧武・バロン・龍玄・斬月(+真)・グリドン・黒影・ブラーボ・デューク・マリカ・シグルド)

(04)イケメン新人俳優

 『龍騎』放送時、サブP武部直美は制作の合間に、変身前の俳優達によるトークショーと写真集の出版を企画した。台本作りや会場の手配まで全て一人でやったという。周囲は「そんなの当たらない!」「売れない!」と一蹴。通常、特撮のショーの観客は、子供達とその父親ばかりなのが常だからだ。ところが、当日会場を埋め尽くしたのは、子供達の母親と若い女性ファン。写真集は重版し2万5千部売れ、女性誌の取材も増えたというのだから驚きだ。まぁ『アギト』の賀集利樹要潤友井雄亮もトークショー&握手会をやってるんだけど…!完全に火を点けたのが『龍騎』だったということで…。かつて<ジャリ番>と蔑まれ、芸能事務所から「芝居に癖が付く」と敬遠されていた平成仮面ライダーも、今や<若手俳優の登竜門>だ。

(例)半田健人(555)、椿隆之(剣)、水嶋ヒロ(カブト)、佐藤健(電王)、瀬戸康史(キバ)、井上正大(ディケイド)、桐山漣菅田将暉(ダブル)、渡部秀(オーズ)、福士蒼汰(フォーゼ)、白石隼也(ウィザード)、佐野岳(鎧武)、竹内涼真(ドライブ)、西銘駿(ゴースト)

(05)悪の仮面ライダー

 昭和の時代にもショッカーライダー(初代)とかシャドームーン(BLACK)とかいたけれど、偽ライダーだったり怪人扱いされたりで、明確に<『悪』の仮面ライダーを出したのは『龍騎』が初。藤岡弘、宮内洋が苦言を呈したり、当時はかーなーり物議を醸したね。まぁ『アギト』にもG4とかいたけど…!あれは劇場版だし…。…アナザーアギトは微妙だな。劇場版は敵が悪の仮面ライダーというパターンが多いね。ここでは敢えてそちらをピックアップしてみる(『ディケイド』と『鎧武』は沢山いるから割愛!)

(例)『555』(サイガ・オーガ)、『剣』(グレイブ)、『響鬼』(歌舞鬼)、『カブト』(コーカサス)、『電王』(ガオウ・幽汽)、『キバ』(レイ・アーク)、『ダブル』(エターナル)、『オーズ』(コア・ポセイドン)、『ウィザード』(ソーサラー)、『ドライブ』(ルパン・ダークドライブ)

(06)境界線の向こう側

 要するに、魔空空間的サムシング。『クウガ』や『アギト』で疲弊したのか、「警察を出さずに済むものか?」と考え抜いた末に編み出されたのが『龍騎』のミラーワールドである。情報社会となった平成の世で「人知れず戦う」仮面ライダーを描けるという点で非常に秀逸で、後続の作品でも同様の設定が練り出されている。

(例)自然(響鬼)、クロックアップ(カブト)、時の列車(電王)、ヘルヘイムの森(鎧武)、どんより(ドライブ)、眼魔の世界(ゴースト)

(07)支援動物

 「人間と怪物が共闘(共存)する作品が人気を博している中、ウルトラマンが何時までも怪獣を倒すだけというのは如何なものか?」と、『ポケットモンスター』の影響を受け(無視せざるを得なくて)企画されたのが『コスモス』というのは有名な話である。愛さえ知らず~に、育った、モンスタ~♪叫びはお前~の、涙なのか~♪(←それは『ガイア』!)『龍騎』も御多分に漏れず『ポケモン』の要素を取り込んでいる(契約モンスターがそれ)つまり、ドラグレッダーがリザードン、ダークレイダーがゴルバット、ボルキャンサーがキングラー、マグナギガがケンタロス、エビルダイバーがマンタイン、メタルゲラスがサイドン、ベノスネーカーがアーボック、みたいな感じね。こういった支援動物は、『響鬼』のディスクアニマルとして再び姿を現し、平成二期ではAパートアイテムとして毎年のように目にすることになる。

(例)ディスクアニマル響鬼)、ゼクター(カブト)、イマジン(電王)、魔族(キバ)、メモリガジェット(ダブル)、カンドロイド(オーズ)、フードロイド(フォーゼ)、プラモンスター(ウィザード)、シフトカー・シグナルバイク(ドライブ)、パーカーゴースト・ゴーストガジェット(ゴースト)

 …車やバイクも「動く物」だし、御伽噺の主人公や英雄・偉人、人間だって動物だ!

(08)巨大怪獣

 要するに、ドルギラン的サムシング。昭和の仮面ライダーは等身大ヒーローかつ、『スーパー戦隊』シリーズのように巨大(変形・合体)ロボットも出ないため、特撮監督の出番は少なかったとは佛田洋の談だが、『龍騎』から氏の仕事が増えたのは、CGによる出物が増えたからである。龍騎/城戸真司の契約モンスター、無双龍ドラグレッダーがその切欠だ。これはチビっ子達にも大好評だったようで、CG戦闘は(特に平成二期が顕著だが)毎年の風物詩になりつつある。巨大ビークル(超バイク・電車・ロボット・車・幽霊船)も、ドラグレッダーの延長線上の存在だ。

(例)サイドバッシャー・ジェットスライガー(555)、デンライナー・ゼロライナー(電王)、キャッスルドラン・シュードラン(キバ)、リボルギャリー(ダブル)、トライドベンダー(オーズ)、パワーダイザー(フォーゼ)、ウィザードラゴン・キマイラ(ウィザード)、スイカアームズ(鎧武)、トライドロン・ライドクロッサー(ドライブ)、キャプテンゴースト(ゴースト)

(09)収集玩具

 「光る!回る!変身ベルト」のキャッチコピーで飛ぶように売れた『仮面ライダー』の変身ベルト。『クウガ』のアークル(ソニックウェーブDX変身ベルト)も『アギト』のオルタリング(トリプルフラッシュDX変身ベルト)もそれを踏襲しているが、『龍騎』のVバックル(変身ベルトVバックル)は一味違った。変身ベルトはカードデッキが収納されているのみであり、カード(力の源)を読み込みベント(技)を繰り出すのは龍召機甲ドラグバイザーの方というわけだ。また、カードデッキは13人の仮面ライダーごとに異なり、コレクションアイテムの先駆けとも言える。『カブト』のゼクターはその大きさ(と値段)故にコレクタブルとは言えず、『キバ』のフエッスルもあくまでキバットベルト(変身ベルト&フエッスルDXキバットベルト)の付属品(従属物)でしかなかったが、『ダブル』で「光る!鳴る!」玩具の小型化に成功し、コレクション商法は平成二期の代名詞となった。

(例)ガイアメモリ(ダブル)、オーメダル(オーズ)、アストロスイッチ(フォーゼ)、ウィザードリング(ウィザード)、ロックシード(鎧武)、シフトカー・シグナルバイク(ドライブ)、ゴースト眼魂(ゴースト)

(10)切札勝負

おうじゃ「じゃあ、まず おまえから しんで もらうか。」
ゾルダ 「みんな よけろ。おうじゃだけは ゆるせない!」
おうじゃ「やれるものなら やって みろ!」
ガイ  「なに?(ぐいっ!)」
ゾルダ 「エンド オブ ワールド!」
おうじゃ「おまえが くらえーっ!」
ガイ  「ぎゃーっ!」
 ガイは、おうじゃの たてがわりに されて しんだ。
 おうじゃは、ガイの モンスターを てに いれた。なにを たくらんで いるんだ?
りゅうき「なんて やつだ!」
おうじゃ「はっはっは、ゆかいだぜ。」
(おわり)

 『遊戯王OCGデュエルモンスターズ』において「カードを刷る=金を刷る」という言葉があるように、カードゲームは儲かるのである!…その割には、カードで戦う仮面ライダーって少ないな…。『剣』も商業的に振るわなかったし…!

(例)ラウズカード・ブレイバックル&醒剣ブレイラウザー・ギャレンバックル&醒銃ギャレンラウザー・カリスラウザー&醒弓カリスアロー・レンゲルバックル&醒杖レンゲルラウザー(剣)、ライダーカード・ディケイドライバー&ライドブッカー・ディエンドライバー(ディケイド)

(11)昭和からの脱却

――ちなみに常に作り方を変えていく精神そのものがニュースタンダードなんだという定義は、イコール平成ライダーシリーズの基本理念と言って差し支えないと思うんですが、その点で多くの人間が抱く「仮面ライダー的」なるものの概念を破壊して、平成ライダーシリーズにおける表現のキャパシティを一気に拡大したのが『龍騎』ですよね。のちに何でもありと言われるシリーズの在り方の、ここがスタートというか。
白倉 そうでしょうね。まあ『龍騎』がスタートだったというか、『龍騎』以前と以降とで、これはライダーに限らずかもしれないけど、ヒーローものというジャンル自体が、言葉を選ばずに言うと、取り返しがつかなくかったと思うんです(笑)。龍騎』を観たら、もう一回『龍騎』以前に戻れないというか、戻ることはできるんだけど戻らないというのか。そういう意味で、良くも悪くもエポックだったんだなということを今でも思います。(中略)変わったんですよね。上がったか下がったかわからないけど、変わったんですよ(笑)。だから、龍騎』以前のものをやろうとした場合、それは「『龍騎』以前のものをやろう」という意識でやることになってしまう。
白倉伸一郎仮面ライダーディケイド&平成仮面ライダーシリーズ10周年記念公式読本』より)

(12)ヒーローと正義

田崎 偉そうなことを言えば、あれは13人の仮面ライダーの13通りの正義がぶつかるドラマということですよね。ここで言う「正義」は、あくまで個々にとって正義ということですが。(中略)そういう意味で、それぞれに正義があり、夢があり、仮面ライダーとして戦う理由があるということなんだけど、その「理由」が一番ないのが主人公の龍騎で、理由がないからこそわりと純粋無垢な気持ち、目の前で起こってることをなんとか止めたい、ということで悩みながら一所懸命戦う。そこでお客さんが主人公に入りやすいというのはあったのかもしれない。龍騎以外の仮面ライダーは、ナイトも含めてみんな変人ですからね(一同爆笑)。
田崎竜太仮面ライダーディケイド&平成仮面ライダーシリーズ10周年記念公式読本』より)

(13)平成一期対二期

 そしてこれこそがッ!これこそが究(極)めて重要なのである!

■対決!井上敏樹(平成一期)VS 小林靖子(平成二期)

 『龍騎』の小林靖子ライダーは<公(パブリック)ライダー>である。彼らは戦いの動機が<大義名分>であることが多い。秋山蓮/ナイトでさえ、ライダーバトルの勝利の景品に望むのは<他者の生命>であり、その行動は<自己犠牲(利他)>的である。

城戸真司/龍騎   :人々を守りたい。
秋山蓮 /ナイト  :恋人を救いたい。
手塚海之/ライア  :闘争を止めたい。
東條悟 /タイガ  :英雄になりたい。
仲村創 /オルタナティブ:闘争を止めたい。
香川英行/〃・ゼロ   :闘争を止めたい。

 一方、『龍騎』の井上敏樹(&白倉伸一郎)ライダーは<私(プライベート)ライダー>である。彼らは戦いの動機が<私利私欲>であることが多い。ここが、『龍騎』が物議を醸し、取り沙汰された所ではあるが、欲望に忠実というのは、ある意味人間味があるとも言える。

須藤雅史/シザース :頂点を極めたい。
北岡秀一/ゾルダ  :病気を治したい。
芝浦淳 /ガイ   :戦を楽しみたい。
浅倉威 /王蛇   :只管、暴れたい。
佐野満 /インペラー:金持になりたい。
霧島美穂/ファム  :敵討ちをしたい。
高見沢逸郎/ベルデ :超人になりたい。
神崎士郎/オーディン実妹を救いたい。

 『龍騎』は小林靖子がメインライターではあるが、まだ白倉Pの色の方が強い。カンフル剤として、サブライターに井上敏樹を入れたからだ。しかし、『カブト』で自分(&井上敏樹)の作風に限界を感じたのか、自身のアンチテーゼとして『電王』を作った。メインライターは小林靖子。しかも、今度は井上敏樹抜きだ。そして、平成二期の路線を決定付けた塚田Pは『電王』を参考に『ダブル』と『フォーゼ』を作っている。即ち、龍騎』の井上&小林ライダーの戦いは、「平成一期&平成二期ライダー」の縮図とも言えるのだ。

■さて、いよいよ手順の説明

【手順1】推薦対象に『龍騎』を視聴してもらう。理想は全話完遂だが、途中終了も可。

【手順2】推薦対象に『龍騎』のエピソードのうち小林靖子井上敏樹のどちらの脚本回が好きかを確認する。当然、相手は敏鬼靖子にゃんなど知らないため、推薦者が全て把握してる必要がある。

(実例)
セバオーズ「『龍騎』ではどの話が一番好きだった?」
キタオカ君「北岡弁護士の御見合回は笑ったわwww」
セバオーズ(こいつは井上敏樹好きで決まりだな…!)

【手順3】続いて、推薦対象に響鬼』『カブト』『キバ』『フォーゼ』を見てもらう。

・推薦対象が小林靖子好き、もしくは龍騎』が合わなかった場合
響鬼』&『フォーゼ』のDVD1~3巻を全て見てもらう。

・推薦対象が井上敏樹好きの場合
『カブト』&『キバ』のDVD1~3巻を全て見てもらう。

【手順4】推薦対象に響鬼』or『フォーゼ』『カブト』or『キバ』のうち、どちらが好きかを確認する。どちらが好きなのかによって、相手の「好み」のパターンがわかる。

(A)『響鬼』好きな人は?
質実剛健なヒーロー物を求める。
・成熟した、大人なキャラを好む。
・若干、完璧主義なところがある。
★オススメ
⇒『クウガ

(B)『カブト』好きな人は?
愉快痛快なヒーロー物を求める。
・個性豊かな、ネタキャラを好む。
・若干、中二之病を拗らせている。
★オススメ
⇒『剣』『鎧武』

(C)『キバ』好きな人は?
複雑怪奇なヒーロー物を求める。
・歪で捻じ曲がったキャラを好む。
・若干、虚無主義なところがある。
★オススメ
⇒『アギト』『555』『オーズ』

(D)『フォーゼ』好きな人は?
単純明快なヒーロー物を求める。
・快闊で愛くるしいキャラを好む。
・若干、楽観主義なところがある。
★オススメ
⇒『電王』『ダブル』『ドライブ』

【手順5】パターンAはDと、パターンBはCとリンクしている。推薦対象には、諸々の組み合わせに応じて視聴してもらう作品を決定付ける。

(実例)キタオカ君(パターンB)の場合
龍騎』⇒『カブト』⇒『剣』『鎧武』⇒『アギト』『555』『キバ』『オーズ』

【手順6】推薦対象に相反するパターンの作品も視聴してもらう。『ディケイド』『ウィザード』『ゴースト』は、余裕があったら見てもらう。

 こんな感じ。如何でしょうか?

■『龍騎』で何が一番凄いのかと言うと、

白倉 言ってしまえば実は正義とはなにかを考える必要もなければ、"正義"のヒーローである必要はなく、お客さんが楽しみにしているのは仮面ライダー的なものが怪人的なものをやっつけるというところなんですね。それが必ずしも正義と悪に色付けされている必要はない。ただ、二〇〇一年のように世間的にも正義とはなにかという議論の出ている時代背景において番組も槍玉に上がれば、話題にもなりやすいので、そういう問いかけを多少は扱わなければいけない、あるいは考えている振りをしなければいけなかった。いまは世情も変わったので、正直に言えばお客さんに考えさせるのでも、製作者が考えるのでもなく、正義といえば正義だし、そうじゃないと言われればそうかもしれないというくらいの感覚が強くなっているし、それで受け入れられている。國分さんが『暇と退屈の倫理学』でも引いていらしたドゥールズのひとはなるべく考えたくないという方向に向かっているのがテレビ番組なので(笑)、なるべく考えずに作られ、考えずに見られるほうが理想的なんですよ。
白倉伸一郎ユリイカ2012年9月臨時増刊号 総特集=平成仮面ライダー』より)

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 まぁ要するに一番頭を空っぽにして見れる仮面ライダーが『龍騎』ということですよ。

■追記(2016/12/11)

 『アギト』に続く作品では、『スーパー戦隊』とは違う3人のヒーローのあり方と異空間での戦いを2大テーマにしました。(中略)新番組ではヒーローたちが共闘をしても、その共闘、チームを組むことをゴールにはしないということが前提のヒーロー作品の組み立てが必要となりました。『(世界忍者戦)ジライヤ』のような複数の同格に近くて独立したヒーローが並列に活動し、かたまりになって戦うわけじゃない。そのことを考えていたときに日曜の朝8時枠的に思いあたったことが、宇宙刑事』や『(重甲)ビーファイター』『(ビーロボ)カブタック』のキャプテントンボーグなどに見られるバトルフィールドとしての異空間だったんです。その異空間を、別の形で『アギト』で試みた集団ヒーローに生かせないだろうかということになっていきました。
白倉伸一郎仮面ライダー 平成 vol.3 仮面ライダー龍騎』より)

――『龍騎』では、いよいよ仮面ライダーが「正義の味方」ですらなくなってしまうわけですが。
白倉 今にして思えば青臭いんですけど、「ヒーローとしての新しいありよう」みたいなものを立てようとしてたんですよね。ただ、これも仮面ライダーの存続」より「番組枠の存続」のほうが当時の立場では重要だったということに関係する話なんですけど。意識していたのはギャバン』から続く番組枠の "伝統" の完成形を目指すというのがまずあって。たとえば、ミラーワールドはギャバン』の魔空空間とはなんぞ?というのを突き詰めたものですし、13人ものライダーが出てくるのもロボコン』や『カブタック』でわんさかキャラクターが出てくるのをどうさばくかということに対する再構築のようなものですから。
白倉伸一郎『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より)

 当初、『龍騎』はメタルヒーローシリーズの一作として企画され、途中から『仮面ライダー』になった、というのは有名な話だが、それでも『仮面ライダー』として成立させることができた、というのはある意味凄いな…!それまでの『仮面ライダー』では思いもしなかったことだけど、やってもいいんだという流れが生まれて、その後も「平成仮面ライダー」シリーズとして連作する<原動力>になったとは白倉伸一郎の談。それと同時に、ここまでやったら、これをなくしたら『仮面ライダー』にはならないんだというギリギリのラインも『龍騎』は示してくれているという。正直、その<境界線>についてはまだわからない(考察の余地がある)な…!高寺成紀の『響鬼』も、最初は変身忍者嵐のリメイクだったものを『仮面ライダー』にした(されてしまった)作品だけど、あれは「ギリギリのライン」を越えてしまったのかもしれない。

[了]

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