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千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『ゴースト』第29・30話感想

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 久々(でもないけど)の『ゴースト』各話感想は第29・30話の2立て!(とか言いつつ、実際は未更新分の簡易版なんですが…!)

【前回】『ゴースト』感想:第28話「爆現!深淵の力!」 - 千倍王鷹虎蝗合成獣
【次回】『ゴースト』第31・32話感想 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

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※中間評への賛同・反対意見もお待ちしております。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

■概要!第29・30話!

 タケルは亡き父、そして命を燃やし切って生きた英雄たちと生無き者の想いをくみ取り、今に繋げてきました。それが未来を作ると信じて。
 一方のアランは人間とは違う長い年月を生き、心が不要だと教えられて育てられ、初めて心を認め人間として生き始めた言わば赤ちゃんのように無垢な存在。
 そんなアランに誰もが手を差し伸べましたが、一番アランの心に響いたのがフミの言葉でした。
 この世を去った人のことは大抵許せるけど、今を生きている者同士だと反発したり、違う思惑が感じられたりなかなか素直に人の言葉を聞けない、そんな経験ってありませんか?
 そういうことを超越し、且つ親しみやすく誰もが耳を傾ける、心に寄り添える“生きている存在”がフミでした。アランはフミなくしては語れない。そしてゴーストにおいても欠かせない存在です。
仮面ライダーゴースト 第30話 永遠!心の叫び! | 東映[テレビ]

 この第29話と第30話はアランの話を作ろうと思った当初から絶対にやりたいと考えていたエピソードです。人の想いがどのように人に伝わり、残りつながっていくのか。タケルが英雄の心を「繋ぐ」と言っていたこととは別の「繋がる」ということを描いています。
 今シリーズ、初メガホンとなる坂本監督ですがゴーストの登場人物の心情を丁寧に演出していただきました。これまでとはちょっと違う演出とアクション。そしてゴーストらしいエピソードとなる第29話、続く第30話は必見です!!
仮面ライダーゴースト 第29話 再臨!脱出王の試練! | 東映[テレビ]

 今回のエピソードは人を死なせてお涙ちょうだいなんて浅はかだぜ!」「アラン成長イベのためにフミ婆殺しただけだろ?という人には心に響かない話だと思います。それではどうぞ。

■第29話「再臨!脱出王の試練!」(坂本浩一×毛利亘宏)

ハリー「我が名は脱出王、ハリー・フーディーニ!フッ…いいか?ゴーストなどいない。死んだ人間に会いたいと思えば、悲劇が起こる。
タケル「俺は、ゴーストですけど…。」
ハリー「うっ…。」
御成 「フーディーニ殿もゴーストですぞ。」
ハリー「えっ…。とにかく、私が検証しよう。」
(中略)
ハリー「君は実に楽天的だ。仮に父のゴーストに出会って決着がつかなかったら、どう責任を取るつもりだね?」
タケル「そんなのやってみなきゃわからない…です。」
ハリーかつて一人の天才マジシャンがいた。彼は亡き母に会いたくて霊媒師を探した。だが、どいつもこいつも金目当てのインチキばかりだった。
アカリ「それって、もしかして…。」
ハリーマジシャンは絶望した。そんな絶望感を味わうくらいなら、最初から会いたいなどと望まなければよかったと。
タケル「そのマジシャンは、本当にお母さんに会いたかったんですね。」
ハリー「そのとおり。」
タケル絶望するかもしれないから何もしないなんて、そんなの悲しすぎる。俺はユキさんの心を救いたい。
ハリー「フッ…よかろう。ならば、お手並み拝見といこうか。」
(中略)
ハリー「フッ…。こんな危険な目に遭わせても、この娘を父に会わせたいというのか?」
タケル前に進むためなんだ。そうじゃなきゃ、生きてても死んでるのと同じだ。とことん向き合わないとダメなんだ。
ハリー「ふ~ん、そうか…。君の考えに賛同するわけではないが、手伝おう。私たちを使え。」
タケル「ありがとう!」

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 ヨォ~コォ~!(CV:たっつん)ハリー・フーディーニは「亡き母と話がしたい」という想いから霊媒師を頼ったものの、自身が奇術師(イリュージョニスト)故にトリックを見破れてしまい、それ以降はイカサマ霊媒師のTRICKを見破ることに躍起になり、気が付いたら「サイキックハンター」になっていた、という「何処が偉人なの?(by毛利亘宏)」という面白人間なのだ(←失礼)ちなみに、毛利亘宏は「そんなフーディーニが大好き」だそうで、第29・30話の脚本はノリノリで書いた模様。15個の英雄眼魂のセレクションに捻じ込んだのはチーフP高橋一浩なんだけど、割と英断というか、今回のエピソードだけでなく、『ゴースト』の世界観にマッチしてるよね。何気にフーディーニは飛行機に造詣が深いようで、一応彼の「飛行能力」にも理由付けがあるのだ。

フミ婆「んん…。あっ、ごめんよ。いつの間にか寝ちまったみたいだ。なんだい?世界の終わりみたいな顔して。」
アラン「信じるものを全て失った。私はこれまで一体なんのために…。」
フミ婆「心が迷子になってるみたいだね。青春だね。それが、人間ってもんだよ。私も若い頃は、散々悩んだもんだ。だから今は、自分の心が何をしたいかわかるのさ。私の心は、こいつを焼いて、あんたに食べさせたいって、叫んでるのさ。
アラン私の心は、何をしたがっているんだ?
(中略)
アラン私の心は死んでしまったのだろうか?
フミ婆「そんなに難しく考えるもんじゃないよ。若い頃はどうしても、心とうまく付き合えないもんさ。」
アラン「しかし…。」
フミ婆「昔、絵描きを、目指してたのさ。でも諦めた。苦しくて苦しくて、心が迷い、死んじまったみたいになった。だけど今は、たこ焼きでみんなを笑顔にできる。幸せさね。心は死なないんだよ。
アラン「フミ婆…。」
フミ婆「そうだ。久しぶりに絵を、描いてみたくなったよ。宝物をたくさんね。どうだい?」
アラン「空が…青い。宝物かあ…。そうだな。」
フミ婆焦らなくていいんだよ。いつか、心の声は聞こえるさ。そしたら、心のままにやってごらんよ。

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 フミ婆は画家志望だったのか…!(※セバオーズは『アラン英雄伝』は未視聴なのです。…そこで描かれてる?)キュビちゃんと絡ませれば良かったのに(ますます彼の存在意義が…!)でも、過去の話を振り返ってみるに、

アラン「貴様、何をしている!?」
キュビ「美しいから我が輩は描いてるんだな。この衝動は止められないんだな。(中略)こんなに楽しいことはやめられないんだな。我が輩の世界にはなかったものなんだな。
タケル「眼魔の世界には、絵がないのか?」
アラン我々の世界は完璧だ。無駄なものなど一切ない。
(第19話「爆発!絵を描く心!」より)

アラン「フミ婆に服のお礼をしないとな…。そうだ。絵を描きたいって言ってたな。
(第29話「再臨!脱出王の試練!」より)

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 アラン様が絵画に価値を見出すという過程にキュビちゃんも必要だった、と言えなくもないね。…今回のシリアス話を見るに、コメディリリーフたる彼は前回で退場して正解だったな…!

■第30話「永遠!心の叫び!」(坂本浩一×毛利亘宏)

ガヤA「ねえ、フミ婆本当に亡くなっちゃったの?」
ガヤB「フミ婆亡くなったんだって!?突然すぎるよ。」
ガヤC「フミ婆いなくなっ……」
アラン「…………!」
(中略)
アランなんなんだ?この感情は…。心があるからこんな気持ちになるのなら、心なんていらない。
(中略)
アラン((フミ婆の葬式会場にて)泣いている人間もいる。笑っている人間もいる。なんだ?これは。)
タケル「アランもお別れを言ってあげて。きっとフミ婆も喜ぶから。」
アラン人間は死んだら終わりだ。
タケルそんなことない。フミ婆は…フミ婆の思いは、みんなの心の中で生き続けるんだ。きっとアランの心にも…。
(中略)
カノン「明日、敵の潜伏先に乗り込みます。アラン様も手伝ってもらえますか。」
アラン私は自分がどうしたいのかもわからない。
マコト答えはお前の心の中にあるはずだ。
タケル自分の心にとことん向き合えば、答えは出るはずだよ。
(中略)
アラン私の心は…!私の心は…この世界の宝物を守りたいと叫んでる!そして、いつか私の世界もこの世界と同じように、美しい世界に、人間の手で、変えてみせる!
タケル「眼魔の世界を…。」
マコト「あいつ…。」
タケル「いこう。」

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この世界の宝物は、必ず守ってみせる!

 実に理想的な3人の仮面ライダーの揃い踏み。『カブト』もそうだけど、やっぱしお婆ちゃんは最強だぜ…!そして、まさか「タコ焼き」にこんなにも意味付けがされているとは思わなんだ…!

(1)<球形>:眼魔は球体を神聖視している。
(2)<食料>:眼魔は食事を摂る必要が無い。
(3)<笑顔>:眼魔は感情は不要としている。

アラン様にはいつか「タコ焼き名人アルティメットフォーム」に変身して頂きたい!そして、次回予告の新(敵)キャラもある意味最強の人だな…!

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■オマケ:『ジョジョ』第4部アニメ感想

第06話「広瀬康一(エコーズ)」

(◆脚本:ふでやすかずゆき ◆絵コンテ/演出:ソエジマヤスフミ ◆作画監督:Cha Myoung Jun)

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 本体に対して罪悪感を感じた相手に発現する錠前型のスタンド。解錠の条件は「本体への罪悪感を消す」「死ぬ」しかないという、狡猾に迫られたらたまったもんじゃあない能力。『ジョジョ』第4部は、こういった<搦め手>を攻めてくるスタンド使いが多いのだ。何気に今回の敵、小林玉美はスタンドのパワー=精神力の強さという重要な発言をしてたりする。でもって、今回のバトルの勝敗が<親子の絆>(息子を信じられるか信じられないか)という精神力の強さによって決まるのがベリッシモ良い。広瀬康一のエコーズについてはまた今度。

 オマケのオマケ。実は今回の話、荒木飛呂彦の初連載作品魔少年ビーティー(以下、『BT』)の、「そばかすの不気味少年事件」のセルフパロディだったりする。そばかすの少年(マナブ)は当たり屋で、主人公の友人である麦刈公一の屋敷に家族ぐるみで寄生し、乗っ取ろうとする。『BT』は人気が出ず、十週打ち切りとなってしまったのだが、この「コウイチくんの家をゆすり屋がたかるのを、主人公が救い出す」というエピソードは、読者アンケートで高評価だったというのだ。

 人気のなかったそれまでの話と最終話のいったい何が違うのか、担当編集者と徹底的に話し合いました。(中略)この最終話でビーティーは初めて、公一くんという自分が認めた友達のために戦います。敵をやっつける方法自体は、相変わらず悪いことをしているのですが、この友情のために戦うという動機づけは、先述したように少年漫画の王道中の王道です。おそらく、何話か描いてキャラクターを作り込んでいく間に、自然にふたりの友情が出来上がっていったのだと思います。初めの方はどこか無理にストーリーを作っていたところがあったのが、この最終話では、あたりまえのようにビーティーが公一くんのために戦いに行くようになった、そんな具合でした。
荒木飛呂彦荒木飛呂彦の漫画術』より)

 『ジョジョ』は<邪道>と言われることが多いけど、意外と<友情>という王道中の王道を外していないのは、荒木飛呂彦が『BT』でそれを学んだからなのだ。

[了]

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