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千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『小説 仮面ライダー鎧武』感想

 『小説 仮面ライダー鎧武』の感想です。ネタバレは…有るような無いような。

■対決!果物戦隊(Armored Riders)VS 救世主(the Saviour)

 『鎧武』史上、最も美しく面白い作品、それが小説版『鎧武』!こんなの『鎧武』じゃないやい(笑)著者は砂阿久雁(すなあくがん)&鋼屋ジン(はがねやじん)のニトロプラスコンビ。虚淵玄による、「本当は恐ろしい鎧武」も読んでみたかったけど、これはこれでアリ。というか、今では「こうでなくてはならない」とすら思える。ここまでちゃんとした続編(集大成)になるとは、想像だにしてなかったから…!正直、全然期待してなかったし(オイ)流石、ノベルゲーム作家なだけあって、象形文字(漢字)による装飾はお美事。一言で言うと<厨臭い>(←褒め言葉)アーマードライダーズも絢爛豪華に綴られているぞ!

(壱)高貴なる精神が結晶したその姿は、明媚たる白き月光アーマードライダー斬月・真!
(弐)贖罪と決意を胸に立つその姿は、絶技冴え渡る若き龍アーマードライダー龍玄!
(参)情熱と闘志を燃やすその姿は、勇猛たる火炎の拳闘士アーマードライダーナックル!
(肆)獰猛な闘争心を表すその姿は、強壮たる現代の剣闘士アーマードライダーブラーボ!
(伍)鍛え抜かれた闘魂を宿すその姿は、不撓不屈の重闘士アーマードライダーグリドン!

 敵は『鎧武外伝2』の狗道供界(くどうくがい)。劇中、オーバーロードたる狗道供界はサガラ(蛇)に「人類にとってのコウガネ」と形容され、最終決戦では怒涛のアームズチェンジ&パワーアップを見せるんだけど、拾う!拾う!冬・春・夏映画だけでなく、テレビ本編最終回や、果てにはファイナルステージの敵の要素まで拾うとは…!

(壱)『天下分け目の戦国MOVIE大合戦』の蓮華座武神鎧武
(弐)『仮面ライダー大戦』の骸骨恐竜(バダン総統)
(参)『サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!』の仮面ライダーマルス
(肆)第47話「変身!そして未来へ」の仮面ライダー邪武
(伍)『ファイナルステージ』の仮面ライダー魔蛇

※アーマードライダーセイヴァーのフォームチェンジは以下の通り。というか、狗道供界にゲネシスコアを渡したのはサガラだったのね…!

(壱)蓮華座偽神(れんげざギシン)セイヴァー
・『菩提樹』とセイヴァーの融合形態(邪ノ道オンステージ!)
(弐)セイヴァーゴールデンアームズ
・ドライブベイ:ザクロ(ブラッドザクロアームズ! 狂い咲きサクリファイス!)
・ゲネシスコア:金のリンゴ(金!ゴールデンアームズ……黄金の果実……!)
(参)セイヴァーダークネスアームズ
・ドライブベイ:ザクロ(ブラッドザクロアームズ! 狂い咲きサクリファイス!)
・ゲネシスコア:黒のリンゴ(ダークネスアームズ……オゥゴンの果実……!)
(肆)セイヴァー魔蛇アームズ
・ドライブベイ:魔蛇(魔蛇アームズ……邪ノ道は蛇……!)
(伍)骸骨恐竜セイヴァー

 劇場版はパラレル扱いにしたい、という気持ちの方が大きいけど、ここまで繋ぎに繋げられたら、一周回ってアリな気がしてきた。ウツボカズラ怪人まで出て来るし(笑)ところで、ウツボカズラ怪人っていったい何だったんだろうね?

ウツボカズラ怪人
(中略)デザインした段階では出自が明示されていなかったので、後付けでどういう設定になっても良いようにインベスの要素とかメカっぽい部分なども盛り込んでおいたのですが、まさか最後まで出自が明かされないとは思いませんでした(苦笑)。
(篠原保『仮面ライダー鎧武/ガイム公式完全読本』より)

 あと、ついに大友待望のジンバーメロン登場ですよ!主任の場合、ジンバーアームズよりゲネシスの方が強いのは明々白々なので、どういう理由付けをすべきか?が悩みの種なのだが、まさか直前までスイカアームズ(←戦極ドライバーでないと変身不可)だったというシチュエーションを用意して解決するとは思わなかった…!そこまでフォロー入れなくても良いのに(笑)ジンバーメロンは、まるで交響詩篇エウレカセブン』のニルヴァーシュのような戦い方をします。

■見上げる星、それぞれの歴史が輝いて

 終盤、呉島光実は幾つもの並行世界を目撃する。そこには幾人もの怪人が蠢いていた。

(01)グロンギ  :殺戮を遊戯とする邪悪なるもの。
(02)アンノウン :神の御使いの如きもの。
(03)仮面ライダー:魔物を使役し、殺し合う者たち。
(04)オルフェノク:ヘルヘイムとは違う進化に至ったもの。
(05)アンデッド :不死なるもの。
(06)魔化魍   :人を喰らう魑魅魍魎。
(07)ワーム   :人間に擬態する地球外生命体。
(08)イマジン  :歴史改変を目論む魔人。
(09)ファンガイア:吸血鬼の如きもの。
(11)ドーパント :地球の記憶を宿すもの。
(12)グリード  :欲望の化身。
(13)ゾディアーツ:宇宙のエナジーを享けたもの。
(14)ファントム :絶望より生ずる幻魔。
(16)ロイミュード:百八体の人工生命体。

 戦いは、争いは繰り返される。しかし、それと同時に英雄(ヒーロー)も現れるのだ。

(01)クウガ  :究極の闇に抗いながら戦った戦士。
(02)アギト  :創造主から人の運命を取り戻す戦士。
(03)龍騎   :自らの命を捨ててまで、争いを止めようとした戦士。
(04)ファイズ :夢を守るために戦った戦士。
(05)ブレイド :世界と友の両方を救うため、運命と戦い続ける戦士。
(06)響鬼   :鍛え抜かれた鬼の戦士。
(07)カブト  :超加速し、時間の狭間で戦う戦士。
(08)電王   :時の列車で時間を駆ける戦士。
(09)キバ   :人と魔のハーフとして生まれた戦士。
(11)ダブル  :二人で一人の、探偵にして戦士。
(12)オーズ  :どこまでも届く腕を求めた戦士。
(13)フォーゼ :多くの友と青春を生きる戦士。
(14)ウィザード:希望の魔法使いである戦士。
(16)ドライブ :スーパービークルを駆る、刑事にして戦士。

 虚淵玄が視聴した平成仮面ライダーは『クウガ』から『555』までで、『剣』は途中で挫折、『響鬼』以降は未視聴とのことだけど、鋼屋ジンは何作制覇しているのかしら?

■黄金の果実と白銀の騎士

 鎧武に関しては平成一期の初期のアギトクウガ龍騎のように表現法を広げたのかなと思いました。魅力的なキャラを作れば外伝でさらにはっちゃけてもいいんだという前例を作れたんだと思います。前にもやったという反論はあるでしょうが電王は映画ですしダブルは続けられなかったんですよね。そういう意味では、外伝2というものを作れたことで鎧武とは東映的には成功作でしょう。

 これは、このブログの『鎧武外伝2』の感想記事に書き込まれたコメントである。『電王』のデンライナーも『ディケイド』の門矢士も、クロスオーバーや続編を作り易くするための<発明>だったけど、神となりて地球を発った葛葉紘汰もまた、前述した二つに匹敵する可能性を秘めた男だ。

 誰しもが心の中に宿す、普遍的な元型(アーキタイプ)。力無き人々が理不尽な暴力を前に、ただ涙を流すしか術を持たない時――彼らは誰よりも速く『騎士(ライダー)』の如く駆けつける。
 (中略)
 ロックシードを戦極ドライバーに。そこは丹田だ。すべての気を生み出す器官だ。
(砂阿久雁・鋼屋ジン『小説 仮面ライダー鎧武』より)

 黄金の果実の力を得た鎧武者(アーマードライダー)たる極アームズが、<白銀の騎士>と形容されるのが洒落ててええんやわこれがまた。あと、「なぜ仮面ライダーの変身装置はベルト型なのか?」という突っ込みに対してのアンサーもあって驚いた。丹田か~、そうきたか~!

 『鎧武』ファンなら間違いなく購読して損はないと思います。特に最後の2行は必読!

■追記(2016/04/28)

 そして17。思念を具現化する異界のものたち、それと戦う死んで蘇った魂を燃やし英雄の心を繋ぐ戦士。その物語もはじまり、彼と紘汰が出会い、同じ時代に出会えた仲間になるかもしれませんね。

 この二人(タケルと紘汰)の共闘は私も確かに見てみたいですね(笑)神様ということでタケルに尊敬の眼差しで見られてちょっと困惑しながらも照れる紘汰、というシーンが思い浮かんでしまいました(…とそのやりとりをみて紘汰の人となりを知っているがゆえに笑いを必死でこらえる進之介)。二人とも、本郷猛/仮面ライダー1号に大切なことを学んだライダーという点でも共通していますしね。

 上記コメントを見た後に小説版『鎧武』を読み返すとそこには『ゴースト』の片鱗が!

 その日、光実は大学の講義の空き時間に、公園のベンチに座り、以前から読みたかった分厚いペーパーバックに目を通していた。
 聞こえてきた賑やかな声に顔を上げると、少し離れた場所で数人の子供たちが、ストリートダンスの練習をしているのが目に入る。
 如何にも我流な動きは、テクニック云々を評価するレベルのものではなかったが、皆一生懸命に踊っていた。
 「なあ、いまのタイミング変じゃない?」
 「お前がズレてるから、こっちも引っ張られるんだろ!」
 些細なことで言い争いが始まり、ふて腐れた一人がダンスの輪から外れると、離れた場所で携帯ゲームを始める。
 「やれやれ……」
 そんな子供たちの様子に苦笑する光実。声でもかけてやろうかと考えていると、ふて腐れた子供の前で仲間の子たちがおどけたダンスを踊り出した。
 yoyo 怒ってないで 元気出して 一緒に踊ろうyo♪
 「何だよ、それ?」
 思わず吹き出した子供は、再びダンスの輪へ加わると練習を再開した。
 そんな子供たちの様子が、チーム鎧武で踊っていた頃の自分に重なって見えて、思わず微笑んでしまう。
(砂阿久雁・鋼屋ジン『小説 仮面ライダー鎧武』より)

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 これ、『仮面ライダーグミ』の少年なんじゃあないか!?ここまで拾うというのか…!小説版『鎧武』、良い意味でも悪い意味でも「公式の二次創作」と評されることが多いけど、俺は好きだぜ…!

[了]

※このブログはコメント大歓迎です。『鎧武』は批判と称賛、両方の記事(対決と総括)をUPしてますので、忌憚なきご意見をお待ちしております。

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