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『ゴースト』感想:第16話「完璧!白い仮面ライダー!」

仮面ライダーゴースト』の感想です。以下、ネタバレ注意。

第16話「完璧!白い仮面ライダー」(脚本:福田卓郎、監督:山口恭平)
東映仮面ライダーゴースト 第16話 完璧!白い仮面ライダー! | 東映[テレビ]
テレビ朝日ストーリー|仮面ライダーゴースト|テレビ朝日

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■対決!「歌星緑郎」VS「我望光明」

歌星 賢吾「あれはゾディアーツ。アストロスイッチでコズミックエナジーのチャネルを開き、そのエネルギーをマテリアライズしてニュークリーチャーになる。さっきの爆発はエネルギー体をデリートしただけだ。」
如月弦太朗「お前…カタカナ使えば頭いいと思ってんだろ!?」
(『フォーゼ』第02話「宇・宙・上・等」より)

 俺は、塚田英明の『仮面ライダー』はよくできてはいるが好きではない男である。特に、『フォーゼ』はつい最近まで「一番嫌い」で、歴代ワースト1位であった。

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 その理由は、氏の作風が凄く白黒明快で針が振り切れてるから。あと、変身や戦いにリスクを伴なわないから。例えば、『W』の《ガイアメモリ》は生体コネクタへの直挿しだと有害毒素に侵されるが、左翔太郎&フィリップの《ダブルドライバー》経由なら無害である。『フォーゼ』の《ゾディアーツスイッチ》も、ラストワンの後遺症で病院送りになる天高生徒がいる中、《フォーゼドライバー》で戦う如月弦太朗にはその危険性は無い。変身ベルトが、妙に<安心設計>なのだ。

 ところが、『フォーゼ』には「そこ」に意味があったのだ。チーフP自ら執筆した、小説版『フォーゼ』の変身シーンの描写を見てみよう。

 「変身!」
 コズミックエナジーのリングが頭上に発生し、足もとからパワーが上昇していく。弦太朗の身体を内部から強化させ、表皮を宇宙服のような形状に変質させるのだ。力が注ぎ込まれて、自分が変わっていく感覚がする弦太朗。初めてこの変身を体験して以来ずっと、その感覚は弦太朗に「宇宙そのもの」を感じさせた。宇宙が身体の中に注ぎ込まれてくる感覚。いつも興奮が抑えきれなくなる。だから弦太朗は、思わずこう叫ぶのだ。
 「宇宙キタ――――――!!」
 フォーゼに変身した。ロケットのようなトンガリ頭に、白い宇宙服のようなボディ。
 「仮面ライダーフォーゼ、タイマンはらせてもらうぜ」
(塚田英明『小説仮面ライダーフォーゼ ~天・高・卒・業~』より)

 つまり、《ゾディアーツ》は<全身肉体変容>なのに対し、《フォーゼシステム》は<表皮のみ変質>なのである。「そこ」には、怪人化して宇宙に行く!という我望光明と、人間のまま宇宙に行く!という歌星緑郎の、思想対立があったのだ。

■対決!「人外化の恐怖」VS「人外化の願望」

 虚淵玄脚本作品は<矛盾>に満ちている。それは、氏自身が矛盾に満ち満ちているからで、「人外化」一つとってみても、虚淵玄<恐怖><願望>という、相反する感情を抱えているのだ。

――虚淵さんの作品でも『ブラスレイター』はデモニアックという怪物になってしまう人間の恐怖や悲劇を描いた作品でしたし、『まどか☆マギカ』にしても魔女になってしまう怖さを描いた物語でした。人間が怪物になってしまう恐怖は、虚淵さんの作品でも非常に重要なテーマになっていますよね。
虚淵 まさにそれこそが、自分が子供の頃に感じた仮面ライダーという作品の醍醐味じゃないかなって気がするんですよ。いやだ、いやだと言いながらもブラックサンになってしまった光太郎から、中学生の自分が感じ取ったものというか。ライダーになるのって嫌なことなんだな、怖いことなんだなっていうのは、自分にとっては『BLACK』の頃から刷り込まれた原点なんでしょうね。
虚淵玄『語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

――『PSYCHO‐PASS(サイコパス)』のシビュラシステムもそうでしたが、虚淵さんの作品には今の肉体とは別の身体を得るというモチーフがたびたび登場しますよね。もしかしてそういう願望が?
虚淵 ありますねぇ。とっとと機械の体になりたいですから(笑)。
 自分の場合、昔から身体が病弱だったってのはあると思います。他の子供たちみたいに鍛錬すれば成果がみるみる上がって、足が速くなり、ケンカが強くなりっていうことが出来る身体ではなかったので、そのジレンマというか。なんで自分の身体を自分の思う通りにできないんだっていう思いは、子供の頃から常に付きまとっていたんですよ。
 頑張って身体を鍛えようと思ったら、風邪を引いたり、ケガをしたりしてうまくいかない。それが出来るヤツと出来ないヤツがいるんだなっていうあたりから、子供なりの挫折はあったと思うんです。
 身体そのものを意識する通りにカスタマイズできる時代というのが、僕らの生きてる時代に来るのかはわかりませんけど、徐々に実現しつつあるというのは勇気づけられますね。
虚淵玄『語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

 『鎧武』の《フェムシンム》はオーバーロード化(怪人化)することで《ヘルヘイムの森》に打ち勝ったが、それによって人の心を忘れ、種族(文明)としては滅んでしまう。しかし、人外化してしまえば痛みも感じず、怪我や死の恐怖も薄れる、というメリットもある。そういった思想と思想の激突(視聴者への問題提起)が、虚淵玄脚本の魅力なのかもしれない。

■対決!「タケル」VS「アラン」

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タケル「一体何者なんだ!?2人は知り合いなの?」
マコト「今はそんなことを言っている場合じゃない!」
アラン「うっとうしい奴め。お前のせいでスペクターが変わってしまった。許しはしない。」
マコト「俺は変わっていない。お前たちの考えを受け入れていたわけじゃない。
アラン「何!?」
マコト「俺は、人間として生きる道を選んだだけだ。」
アラン「人間?馬鹿らしい。」
マコト「黙れ!お前達が奪ったんだ!」
アラン体か?そんなくだらないものに固執するとは…。
タケル「2人とも何を言ってるんだ?」
アラン個人の命など意味がないと言ってるんだ。
タケル「違う!命には意味がある!」
アランその命を互いに奪い合っているのが、人間ではないか!
タケル「それは…。」
アラン人間同士でいがみ合うのがそんなに楽しいのか?まったく、無駄なことだ。この世界を我々の世界と同じにしてあげよう。それが君たちにとっても幸せというものだ。
タケル「勝手なことを言うな!」
アラン「私がお前たちの支配者となる。」

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タケル友達なのに、どうして戦うんだ?
アラン「貴様の言ってることは全く理解できない。」
タケル「俺だって、お前たちが言ってることが全然わからない!命や体に意味がないなんて、間違ってる!
マコト「あいつに何を言っても無駄だ。」
タケル眼魔と友達になれたんでしょ?俺たちが眼魔を理解しようと努力したら、眼魔にだって、人間の考えもわかってもらえるって!
マコト「タケル…。」
アラン「理解不能だ。」

 さて『ゴースト』の話。体や命に意味が無いと言い切るアランに対し、「間違ってる!」と反論するタケル。しかし、体が無ければ傷つくことはなく、命が無ければ死ぬことはない。そんな眼魔(ガンマ)の世界には争いが一切無いという。その命を互いに奪い合っているのが、人間ではないか!というアランの言葉に戸惑うタケル。宮本武蔵ロビン・フッドビリー・ザ・キッド武蔵坊弁慶石川五右衛門坂本龍馬織田信長……。剣豪、義賊、武士、盗賊、侍、将軍……英雄・偉人も、時代が変わればただの<人殺し>である。主人公(人間)の対立観念、それがアラン(怪人)だ。

■死霊使いの目が潤うだぁー!?

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タケル「こいつら、急にどうしたんだ?」
マコト「奴が操っているのか?」

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タケル「あれはグリム!?」
アラン「無駄な抵抗はよせ。」
タケル「無理やり使うなんて、なんて奴だ!」

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アラン「それで私を倒したつもりか?」
タケル「どうなってるんだ!?」
アラン「だから体など意味がないと言っただろ。さよならだ、スペクター。あの世でもう一度会おう。」

 《メガウルオウダー》…<点眼(目薬)>とはいいセンスだ…!眼魔コマンドを自由自在に操り、時に身代わりにしたり、燃料(エネルギー源)として吸収。眼魂(アイコン)の英雄・偉人の力を無理矢理使う等、アランの主義主張(スタンス)が戦闘スタイルにも現れてマジイイジャン!(←それはフーディーニ)…しかし、これらの描写を見るに、眼魔の帝国って完全に独裁国家よね…!

 15人の英雄・偉人の中でも、より子供達に馴染み深く、善人(人殺しではない)たるグリム兄弟や三蔵法師を敵のフォームチェンジに選択するのが憎いね。「ペンは剣よりも強し」ンッン~名言だなこれは(←違う)

■「正義は一つとは限らない。」

タケル「命や体が無駄だって…。でも、マコト兄ちゃんの友達なんだから。絶対わかり合えると思うんだよな。」
(ロビン眼魂に吸い込まれるタケル)
タケル「ロビン・フッド!?」
ロビン相手を理解しようとする、お前の心は素晴らしい。
タケル「友達になれたんなら、わかり合えると思うんだ。」
ロビン自分の正義を押し付けるのか?
タケル「え?」
ロビン「私と戦った者たちにも、彼らなりの正義があった。」
タケル「でも、戦ったんだよね?」
ロビン「相容れない正義だったからな。正義は一つとは限らない。それを忘れるな。」
タケル「あいつの正義か…。」

 これだよこれ!この問答が、塚田英明チーフP作品に足らないものだよ!

 『ゴースト』は共存・和解エンドもあり得る?果たして、アランはタケルやマコトの仲間になるのか否か。…人間同士でいがみ合うのがそんなに楽しいのか?と言っておきながら、ニーサン(アデル)や部下(ジャベル)とはいがみ合ってるからな~アラン様(笑)

 眼魔の世界は、《ヘルヘイムの森》に《ユグドラシル・コーポレーション》があって、社員は全員《インベス》と《オーバーロード》みたいな感じだね。

■「風って、こんなに気持ち良いのね。」

 「眼魂の時は全然わからなかった。」と続くこの台詞はカノンちゃんのもの。「様」付けでアランを慕うカノンちゃんだが、兄マコトはアラン様と対立ムード。

アラン「もう話すことはないはずだ。」
マコト「アラン、お前は本当のことを知らないだけだ。」
アラン「本当のことならわかっている。我々が正しい。」
マコト「やはり無理か…。」
アラン「君らしくもない。」
マコト「なら…。」
アラン「私が君を向こうへ帰してあげよう。力づくでね。」

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 本当のこととは一体何なのか?鍵となるのは、アランも感じていた<風>の心地良さなのかもしれない。第16話、第05話「衝撃!謎の仮面ライダー!」に次いでお気に入りのエピソードになりました。やっぱし、新仮面ライダーお披露目回はええやね。

[了]

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