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面白(オモシロ)と面倒(メンドウ)と苦痛(ストレス)

 平成仮面ライダーを視聴するのは基本的に<楽しい>ことである。楽しみ方は人それぞれだが、大分類は以下の2つに集約されると思われる。

(1)仮面ライダーと戦闘シーンが楽しい(男性に多い)
(2)イケメン俳優と人間ドラマが楽しい(女性に多い)

 よく、アンチに対して「嫌なら見るな!」という声が上がるが、何故アンチが見続ける(ことができる)のかというと、本質的には楽しいものだし、平成仮面ライダーという「シリーズ」そのものが好きだから、であろう(ただ単純に「叩きたいだけ」の輩は知らん)では、何故アンチが発生してしまう(〃になってしまう)のかというと、その作品が<面白くない>と感じるからである。

 つまり、「平成仮面ライダーは楽しいが、『××××』は面白くない!」というわけだ。

■面白(オモシロ)と面倒(メンドウ)

 おもしろい話を聞くと、顔が上を向き、日に照らされて白く光る。
 故に、おもしろい話は<面白い>のである。

 つまらない話を聞くと、顔が下を向き、地べたの臭いが鼻に付く。
 故に、つまらない話は<面倒臭い>のである。

 即ち<オモシロ>の対義語は<メンドウ>であり、
 <面白くない>作品とは<面倒臭い>作品なのだ。

 面倒臭くなる要因は作品ごとにまちまちだが、大分類は以下の4つに集約されると思われる。

(1)描・写・不・足
・登場人物の掘り下げが足りない。関係性が深まらない。
・前振りもなく新情報が飛び出し、前後が繋がってない。
 
(2)情・報・過・多
・キャラクター・設定・固有名詞・要素の数が多過ぎる。
・前振りもなく新情報が飛び出し、説明台詞が長過ぎる。
 
(3)不・快・嫌・悪
・キャラの言動が不快またはダブルスタンダードである。
・生理的嫌悪感を示すもの(暴力・血・死など)が多い。
 
(4)理・解・不・能
・作品のコンセプト・テーマ・メッセージがわからない。
・作品の売り、即ち「何をやりたいか?」がわからない。

 面倒臭さはやがて<苦痛(ストレス)>となり、「見ていて苦痛」となれば、テレビの電源を切る者も現れるだろう。

■頭では理解できても心では納得できない

 作り手にどんな意図があれ、時と場合によって理屈を使い分けて自分を正当化する人間など、嫌われて当然でしょう。そういう人間しか出てこない「鎧武」が嫌われるのは無理もないだろう…と思います。

 ハートと進ノ介についての議論に水を差すようで申し訳ないのですが、そこまでそのシーンに対して好意的に自分達で解釈しなければいけない(総括前にこう言うのは普通に失礼かな…)のと、そこに至るまでに仮面ライダー達の活躍(特にタイプトライドロン)が犠牲になったと思うと、仮にそうだとして理解は出来ても満足は絶対に出来ないかなって思います。

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 前者は『鎧武』の、後者は『ドライブ』の「対決!」シリーズに書き込まれたコメントである。このように、「頭では理解できても心では納得できない」という感想が出てしまうのは、突き詰めると『鎧武』と『ドライブ』が<(1)描写不足><(2)情報過多><(3)不快嫌悪><(4)理解不能>の四苦八苦を抱えた<面倒臭い(ストレスフルな)>作品だからに他ならない。

 逆に、平成仮面ライダーの中で『クウガ』『龍騎』『電王』『W』が名作と誉れ高いのは、<面倒臭くない(ストレスレス)>からなのだ。

■余談1:ストレスについて

武部 (中略)最初に虚淵さんとお会いした際に自分は人間のストレスをテーマにしているので、そういうものが書けなければ意味がありませんといったお話があって、それが虚淵さんの作風でもあるし、ちょうどテレビ局サイドとも大人っぽい路線に戻したいという方向性で話し合っていたし、まさに絶妙のタイミングでした。
(武部直美『東映ヒーローMAX Vol.47』より)

 虚淵玄の書く世界観・設定は基本的に<ストレスフル>である(自分は、『鎧武』『まど☆マギ』『PSYCHO-PASS』以外未視聴だけれども)しかし、人間とは天邪鬼な生き物で、時折「ストレスを感じたい」という欲望が生じることがある。お手軽(お気軽)にストレスを体験(体感)できるものを挙げてみる。<戦慄(スリル)>と言い換えてもいいかもしれない。

<絶叫マシーン>
⇒加速は恐ろしい!(けどバーあるし少しだけ怖くない!)
<お化け屋敷>
⇒幽霊は恐ろしい!(けど偽物だから少しだけ怖くない!)
<動物園>
⇒猛獣は恐ろしい!(けど檻柵あるし少しだけ怖くない!)
<格闘技観戦>
⇒暴力は恐ろしい!(けど観客席なら少しだけ怖くない!)
バンジージャンプ
⇒落下は恐ろしい!(けど命綱あるし少しだけ怖くない!)
<ホラー映画>
⇒色々と恐ろしい!(けど第四の壁で少しだけ怖くない!)

 この、「恐ろしい!(けど少しだけ怖くない!)」匙加減というか塩梅が、人間を虜にするのである。で、<特撮番組>って正にその代表例よね。テレビの向こう側では怪獣や怪人が暴れているけれど、テレビの前では何事も無い。そして、テレビの中の脅威もヒーローが収めてくれて架空・現実世界共に「一安心!」と。

 それ(ヒーローもの)に何を求めるかは人それぞれだけれども、<(1)ストレスを感じ「な」い><(2)ストレスを感じ「た」い>人は、『鎧武』を楽しむことができるはず。

■余談2: 好き嫌いについて

 作品を好きになる時、多かれ少なかれこんな感情を抱くものである。

(1)この作品を解ってる俺、恰好良い!(男性の場合)
(2)この作品を好いている私、可愛い!(女性の場合)

 大好きな作品が批判された時、悲哀と憤怒の感情が込み上げるのは、
 自分自身が貶められた、<自己否定>された気分になるからである。

 一方で、嫌いな作品が称賛された時に憤怒の感情が沸き上がるのは、
 己に<精神的苦痛>を与える嫌な奴が褒められるのと同義だからだ。

 即ち「好きなモノは自分自身、嫌いなモノは嫌な奴」ということね。

■余談3:不快嫌悪について

 面倒臭くなる4つの要因の中で厄介なのが<(3)不快嫌悪>で、何に不快感を示し嫌悪感を抱くかは人それぞれだからだ。例えば、『クウガ』『龍騎』『電王』は<ストレスレス>と書いたけど、

・『クウガ』:グロンギを殲滅・民族浄化するなんて許せない!
・『龍騎』 :仮面ライダーが殺し合いをするなんて許せない!
・『電王』 :イマジンのいーじゃんスゲーじゃんが許せない!

 という人達からすると『クウガ』『龍騎』『電王』は一気に<ストレスフル>な作品に早変わりしてしまう。

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 『W』が平成仮面ライダーNo.1と評されることが多いのは、
 『W』がシリーズで1番ストレスレスだからかもしれない。

[了]

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