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『ドライブ』最終話感想(+脱三条陸論)

 三条陸を盲信するのはやめなさい!という話。敢えて、崇拝でも信奉でもなく「盲信」と書く。あ、『ドライブ』最終話(第47・48話)の感想もありますよ!(どっちが主従だ)

■「三条さんならやってくれるかも」

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 三条さんならやってくれるかもという妙な期待をしてしまうんです。

 『ドライブ』第25話の感想記事のコメント欄にて、そんな書き込みがあった。

【関連】『ドライブ』感想:第25話「新たなる闘いはなぜ始まったのか」 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

 それに対し、自分はこう返答した。

 自分は『ドライブ』でその感情が薄れてしまいました…。現時点では、『W』や『フォーゼ』が凄かったのは塚田英明の手腕というのが自分の結論です。三条陸が長けているのは「交通整理」能力だと思うんですよ。それはつまり、塚田英明や坂本浩一らの「ああしたい!こうしたい!」という要望を、「こうすれば実現できますよ」と、彼らの頭の中の渋滞を緩和し、道を開けさせる。これが三条陸のスキルだと思うんですね。ただ、自分で車を何台も用意して走らせるのは苦手なのかもしれない。特に、大森敬仁は武部直美や宇都宮孝明と同じく「脚本家や監督の意向を尊重する」タイプ。悪い言い方をすれば「脚本家・監督任せ」な所がある。だから三条陸的には厳しかったんじゃあないですか?世界観も設定も全部自分で考えないといけないし。ましてや今回で仮面ライダーは三作目。しかも『獣電戦隊キョウリュウジャー』の脚本全話執筆後の続投。さらに追い打ちをかけるように「バイクに乗らない仮面ライダー」と難題続きですからね。塚田英明については今度単発記事を書こうと思ってるんですけど、『W』や『フォーゼ』において彼の存在は非常に大きい。三条陸も確かに凄いけど、凄さは三条陸の比じゃないと思います。

 で、塚田英明の考察記事が以下の二つ。反響が少なくて若干しょんぼり気味なんだけど(苦笑)

【関連】紙芝居とイソギンジャガーと塚田英明 - 千倍王鷹虎蝗合成獣
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 別に、上記コメント投稿者を吊し上げようとしているわけではない。何故ならば、自分自身も当初は三条陸を「盲信」していたからだ。

 次に、『ドライブ』における「史上最強」について。これは半ばこじつけに近いんだけど(笑)史上最強クラスの布陣、「史上最強クラスの題材」というか。なんてったって『W』と『キョウリュウジャー』の脚本を手掛けた「三条陸と、平成仮面ライダーのほとんどのパイロット回を担当した監督「田崎竜太」のコンビだしね。そして企画自体が超安牌w『トミカ』や『ミニ四駆』等、自動車の玩具は売れるということは過去に証明されているし、車に寿司ネタやピザ、ケーキが融合しているわけじゃあないし(オイ)

【関連】『仮面ライダードライブ』の第一印象 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

 『ドライブ』制作発表記者会見後の、「それでも三条陸なら…」「三条陸ならきっと何とかしてくれる…!!」というファン界隈の空気は、奇妙を通り越して<異常>とすら感じられた。その異様な空気感が、自分がブログを立ち上げる切っ掛けの一つだった。

■それはまるでキューティーハニーのように

 ある時は小説家、またある時はアニメ脚本家、またある時は漫画原作者、またある時はゲームシナリオライター、またある時は特撮番組メインライター、しかして三条陸の実体は…「トイアドバイザー」である。ちなみに、自分にとって三条陸「『ダイ大』の人」だったので、『W』のホンを三条陸が手掛けると知った時は「ナンデ!?」状態でした(笑)

――トイアドバイザーって、あまり耳にしない役職なんですが、具体的にはどういう業務内容なんですか?
三条 バンダイさんと東映さんでキャッチボールしながら、どんなトイにするのかまとめていくわけですけど、それぞれにやりたいことがある以上、少しずつ意見がずれていくこともあるんです。たとえば、バンダイさんのほうは"仲間のライダーをたくさん出したい"という意向があるんだけど、東映さんが"今回は孤高な仮面ライダーでいきたい"と考えていたとしたら、当然そこに齟齬が生じるわけです。『カブト』なんか、まさにそういう構造で、『龍騎』や『剣(ブレイド)』みたいな作品だったら周りよりも1段劣るくらいの感情移入しやすいヤツが主役に来るけれど、『カブト』はグンバツなヤツが主役で、その周りに他のライダーがいるという新しいスタイルの作品になった。そういう両者のやりたいことをすり合わせた方程式みたいなものを探すお手伝いがトイアドバイザーという役どころだと思っています。
三条陸仮面ライダーフォーゼ公式読本 FOURZE GRADUATION』より)

 平成一期の脚本家(井上敏樹小林靖子米村正二)が無頓着な「玩具販促」に熱心に取り組む理由を、三条陸はこう述べている。

――おもちゃへの愛が物語を育むという美しい話です。
三条 それはやっぱり僕が「仮面ライダー」世代だからですね。光る回る変身ベルトやポピニカサイクロン号といったおもちゃだけでなく『マジンガーZ』の超合金とか、いまあるブランドの大元の多くが小学校低学年のときに登場したので、ヒーローがいて番組があったら、トイがあって当たり前の世代なんです。だから、あの当時の興奮は変わらず届けたいと思っちゃうんですよね。
三条陸仮面ライダーフォーゼの教科書』より)

 ちなみに、『サプライズ・フューチャー』の「仮面ライダー超デッドヒートドライブ」は、マジンガーZ対暗黒大将軍』リスペクトとのこと(映画パンフレットより)何にせよ、各方面(東映テレビ朝日バンダイ・石森プロ)からすると非常に有り難い存在なのだ。

■「三条さんならやってくれる!」(by 大森敬仁)

 自分が『ドライブ』で一番いけ好かなかった(敢えて、「いけ好かない」と感情的に書こう)のは、チーフP大森敬仁の姿勢というか、「志の低さ」だった。先ずは、放送開始前(2014/09/05)の『東映ヒーローMAX』のインタビューを見てみよう。

大森 スーパー戦隊シリーズで車をやる場合はミニチュアだけど、ライダーだと実写になるよなという想像をしたとき、我ながら燃え上がってしまい、すぐに往年の海外ドラマ『ナイトライダー』が思い浮かびました。で、関係者との打ち合わせでも同じくらいの世代の人と盛り上がり、三条さんに相談しに行ったら、これがものすごく反対されちゃったんですよ(笑)。(中略)で、みなさんのテンションを気にする大森としては焦るわけです。今回、三条さんが乗ってくれなきゃ終わりじゃねーか!と(笑)。ただ、三条さんも車を面白くするためにいろいろ考えてくださったので、非常に助かりました。
(大森敬仁『東映ヒーローMAX Vol.50』より)

 お次は、放送直前(2014/10/02)に発売された『キャラクターブック』のインタビュー。

 事件現場におけるパトカーのように、戦闘現場でトライドロンは頼もしく映るはずです。ただこの点は、初期段階で三条さんからダメ出しがありました。むき出しのバイクと違って、車は四方を囲われているので安全性が高い。さらに乗ったままでは戦いづらい。"話す車"も、今はナビゲーション機能が普通にありますからね。(中略)"警察"は安直に思えたので、僕から提案するのははばかられまして……。"タクシードライバー"という案も出したんです。タクシーにゲストを乗せ、他者の人生のなかで事件が起きるとか。三条さんからは再び「燃えません」と言われましたけど(笑)。そして「警察がいいんじゃないですか」と言ってくださったので、「脚本家が言うなら間違いない」と安心して乗っかりました(笑)。
(大森敬仁『仮面ライダードライブ』キャラクターブック VOL.ZERO ~AcceleratioN~』より)

 続いて、昨年末(2014/12/29)に発売された『宇宙船』のインタビュー。

――『キョウリュウジャー』に続いてのタッグとなるわけですが、間をおかずに三条さんに白羽の矢が立った理由はなんでしょう?
大森●確かに、一年を通して『キョウリュウジャー』をお願いした直後でしたので、また三条さんに頼るのか?と自問自答はあったんですよ(笑)。でも自分が仮面ライダーに関わるのは『キバ』以来だったので、『ディケイド』以降に激変した平成ライダーの複雑な空気感を掴むのに時間がかかってしまうという懸念がありました。そこで『W』や『フォーゼ』に関わっていて、実はそれ以外のライダーにも詳しい三条さんにお力を借りることに決めました。
三条●さすがに僕もキョウリュウジャー』の後にすぐですか?と聞き返したんですよ。そうしたら大森さんに僕だって『また三条さんで楽する気か?』なんて周りに言われるのはイヤです!でも三条さんが適任なんですよ!と逆ギレされました(笑)。
(大森敬仁・三条陸『宇宙船 vol.147』より)

 最後に、放送終了前(2015/09/01)の『東映ヒーローMAX』のインタビュー。

大森 (中略)でも、三条さんには『(獣電戦隊)キョウリュウジャー』で全話執筆していただいたばかりでしたから。それでまた三条さんにすぐお願いするというのはもうちょっと考えろよ!って言われちゃうんじゃないかとも思ったりして、すぐにお話したわけじゃなかったんです。ただ、出物の数だとか、あとは映画なども絡んだスケジュールの問題もあって、期日までに確実に仕上げていただけるというところで信頼できる人じゃないと……と考えると、やっぱり三条さんしかいないじゃないかと(笑)。
(大森敬仁『東映ヒーローMAX Vol.52』より)

 三条さん三条さん三条さん三条さん三条さん三条さん三条さん三条さん三条さん三条さん…。

 どんだけ三条陸に負んぶに抱っこなんだよ…!

 ファンが口にするならまだしも、作り手が「それでも三条陸なら…」「三条陸ならきっと何とかしてくれる…!!」って言ったらオシマイだろ…!

■『ドライブ』は平成二期の『カブト』

 世間にはまだ『平成ライダー』を知らない人はたくさんいる。そういう人は『仮面ライダー』ってどういう番組だと思っているかというと『悪い怪人を仮面ライダーがやっつける番組』っていう先入観がある。実際そうなんですけど、平成ライダーはそこにちょっとしたズレがある。謎解きあり、集団劇あり、イケメンも出てる(笑)何か自分の知ってる『仮面ライダー』とは違う――先入観とのズレがあったことがヒットした要因なんでしょうね。でも、長期シリーズの宿命で、今度は視聴者に『平成仮面ライダーってこうだよね』という先入観が出来つつあって、作り手がズレを利用できなくなってしまった。ここに、自己再生産の戦隊シリーズに対して自己否定から始まった『平成ライダー』の難しさがあるんですよ。
白倉伸一郎仮面ライダーカブト 特写写真集「MASKED RIDER SYSTEM」』より)

 好きな人には申し訳ないけれど、『カブト』が平成一期路線の限界だった。というか、井上敏樹脚本の、だね。謎解きあり、集団劇あり、イケメンも出てる(笑)作風も、何度も繰り返せば視聴者に飽きられてしまう。だからこそ、白倉伸一郎は『電王』を作った。「脱!井上敏樹を図ったのだ(まぁ、その直後に武部直美が『キバ』(井上ライダー)を作っちゃうんだけど…!)で、塚田英明は『電王』を昇華させて『W』を作った。平成二期路線の幕開けだ。その立役者が三条陸なわけだけど、二話前後編ゲストお悩み相談形式もマンネリ化しつつある。『ドライブ』では、平成二期のフォーマットに平成一期のテイストを盛り込むことでマンネリズムを打破しようとしていた(ように見える)んだけど、詰めが甘いし、詰め込み過ぎなんよな…!個々の要素にパワー(魅力)が無い上に、問題点アリアリ。この辺は「対決!」シリーズにて指摘しているので、宜しければ是非ご覧になってください。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

 そろそろ、制作陣は「脱!三条陸を目指すべき。長々とすみません。では、最終回の感想をば。

■第47話「友よ、君はだれに未来を託すのか」

脚本:三条陸、監督:柴崎貴行
東映仮面ライダードライブ 第47話 友よ、君はだれに未来を託すのか | 東映[テレビ]

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進ノ介「やめろ!もう、やめてくれよ…ハート。俺は、ここまで戦ってきて知った。本当の悪意は…人間の中にしかない!最悪の存在は…蛮野博士だった。ロイミュードは、人間の悪意をなぞっただけだ。犠牲者みたいなもんだ。ベルトさんだって、それはわかってる。俺たち人間が、それを理解した今なら…。きっとお前たちともやっていけるはずだ。チェイスに続いて、お前まで失いたくないんだよ!」

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ハート「これで、俺たちは全滅だ。泊進ノ介…。せめて…お前だけでも覚えていてくれないか?ロイミュードという、この星の新たな生物になろうとした奴らが、いたことを…。ありがとう…。最後の最後に、友達が…1人増えた。初めての…人間の…。」

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本願寺「クリムちゃんは自分ごと、ドライブの全装備を凍結し、地の底深く沈めるつもりなんです。」
進ノ介「まだコア・ドライビアは人間の手には余る…。ベルトさんは以前からそう言ってた。戦いが終わったら、自分ごと全て封印するだろうって思ってたよ。」
クリム「では、みんな…グッバイいつの日か人間が、私の発明を正しい事のみに使えるようになるその日まで。
進ノ介ああ…。そんな未来を必ず掴んでみせる。

 『ドライブ』のテーマは以下の3つなのではなかろうか?と予想して1年間視聴したんだけど、

(1)物事の善悪は行使する人間によって決まる。
(2)『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 
(3)行き過ぎた科学技術は人間を淘汰駆逐する。

 第47話は「Exactly(そのとおりでございます)」と言ってくれたような気がして内心ホッとしました。…いや、だって「そんなこと微塵も考えてね~よ!深読み乙www」なんてことになったら悲しいじゃない(笑)

 最終章(第37~47話)で残念だったのは、「警察要素無しでも成立する」ことと、蛮野天十郎VS詩島剛(+ロイミュード)が主軸になっちゃって、「主人公が本筋から蚊帳の外」ということ。最後まで「この男、刑事で仮面ライダー!」成分が足を引っ張っていたなと、ゲンナリしてたのだが…?

■第48話「ゴーストの事件」

脚本:毛利亘宏、監督:金田治
東映仮面ライダードライブ 最終話(特別編) ゴーストの事件 | 東映[テレビ]

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進ノ介「俺はもうあの時の…。1年前の俺とは違う。俺は仮面ライダーになった。ロイミュードたちと戦ってわかったんだ、ベルトさん。ロイミュードがいなくなっても世界は平和にはならない。本当に悪いのは人間の悪意だった。だからこいつみたいにひどい人間は絶対にいなくならない。でも俺は絶望しない。そう決めた。俺は走る。走り続ける!みんなの幸せを守るために。だから俺は…!たとえ変身できなくても、ベルトさんがいなくても、俺は刑事で仮面ライダーだ!

 第01話に繋がった!脳細胞がトップギアだぜ!

 凄ぇ!最後の最後で、「この男、刑事で仮面ライダー!」で物語を締めくくったよ!正直、「どうせ奇跡が起こってベルトさん復活してゴーストとダブルライダーキックして終わりっしょ?」って冷ややかな目線だったんだけど(←嫌な奴)、まさか変身せずに手塚海之を逮捕するとは…!ゴーストもそこまで出張らなかったし。…あと、ユルセンが可愛かった(笑)

■制作陣よ大志を抱け!

――それでは最後に、今後の平成仮面ライダーシリーズにメッセージをお願いします。
井上 やっぱり「志」を高く持ってほしいよね。周りの状況もいろいろあるんだろうけど、もっとプロデューサーに頑張ってほしいね。結局、プロデューサーが言わなきゃダメなんだよね。みんな頑張ってはいるんだろうけど、まだちょっと頑張りが足りないんじゃないの?(中略)ライダーもさ、もう新しいものはないとか言ってるけど、そんなことないんだよ。頭を絞れば、なんとかなる。番組づくりって、マイナスをマイナスのままやるんじゃなくて、マイナスをプラスに持っていく発想とかさ、そういうのは絶対あるから。
井上敏樹『語ろう!555・剣・響鬼【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

 『ドライブ』は一言で表現すると<小奇麗>な作品だったね。<美しい>わけでも<面白い>わけでもなく、小奇麗。や、楽しめはしたんだけど、間違いなく。それにしても、志も低けりゃコンセプトもガタガタな所は頂けないぜよ…!個人的には、平成仮面ライダーはこじんまりとまとまっているよりは、ダイナミズムに満ち溢れていてほしい。ダイナミックプロ』を見習おうぜ!

 以上、『ドライブ』最終話感想(+脱三条陸論)でした。『ゴースト』には期待しています。

[了]

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