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紙芝居とイソギンジャガーと塚田英明

 今回の記事は『仮面ライダーW』(以下、『W』)と『仮面ライダーフォーゼ』(以下、『フォーゼ』)について。というか、それらのチーフプロデューサーを務めた、塚田英明についてです。本編のネタバレは無いので未視聴の方もご安心を。ちょっとだけ『仮面ライダーオーズ/OOO』(以下、『OOO』)と『仮面ライダーウィザード』(以下、『ウィザード』)にも触れます。これまたネタバレ無しです。

■紙芝居と伊上勝

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 かつて伊上勝(いがみまさる)という脚本家がいた。本名は井上正喜(いのうえまさき)で、かの井上敏樹の父親だ。昭和仮面ライダー伊上勝によって紡がれ、彼なくして今日の仮面ライダーは存在しなかった、と言っても過言ではない。で、仮面ライダー40周年(2011年)にね、伊上勝評伝 昭和ヒーロー像を作った男』という本が出たんですよ。これね、井上敏樹ファンはね、必読ですよ。さて、井上敏樹は本著への寄稿文にて、伊上勝脚本の面白さの秘密は「紙芝居」にあると記している。

 父が子供の頃と言えばまだテレビも普及していない時代である。その代わりに紙芝居が全盛だった。小銭を握りしめて紙芝居屋さんの自転車を追いかける父の姿が目に浮かぶようだ。
 そして実はこの紙芝居にこそ父の脚本の秘密がある、と私は確信している。紙芝居を観ながら、父は知らず知らずのうちに伊上流としか言いようのない独自の脚本作法を心に刻み込んでいったのだ。
 実際、父の作品は紙芝居に近い。断っておくが別に私は父の仕事を貶めようとしているわけではない。寧ろ紙芝居の方法論を無意識のうちに脚本にはめ込んだ天才性に脱帽しているのだ。
 父の作劇法の第一の特徴はその省略の仕方にある。(中略)たとえば刑事が犯人の隠れ家を探す場合、刑事はいきなりその隠れ家に現れる。なぜそこを突き止めたのかの経緯は一切説明されない。そういった手順を描く事は父にとってつまらない事であり、そのつまらない事を面白くひねろうなどとは考えなかった。そんな暇があるならば、刑事と犯人の直接対決をもっと長く書いたのだ。ただし、どうしても説明が必要な場合はセリフで処理した。しかも恥ずかしげもない思い切りの説明ゼリフで。なぜならそれは説明であり、父は説明を説明と割り切っていたのだ。
 また、父にとっての面白いシーンとは主にアクション絡みだった。手を替え品を替え、往々にしてさしたる理由もなくアクションシーンを挿入した。父にとってのドラマのアイデアとはほとんどがアクションを面白くするためのアイデアだった。たとえば『仮面ライダー』におけるにせライダー編では意表をついてにせライダーが何人も登場する。そういう事だ。
 以上のような特徴は父が紙芝居から学んだ方法論で、それが幼いころの強烈な学びだっただけに、第二の天性のように父の奥深くに刷り込まれた。
 ある意味で父は、何人もの無名の紙芝居師たちによって育てられ、テレビの世界へと押し上げられた、最後にして最高の紙芝居屋だったのである。
井上敏樹伊上勝評伝 昭和ヒーロー像を作った男』より)

 この、「紙芝居の如き省略手法」から「恥ずかしげもない思い切りの説明ゼリフ」を差し引いた舞台装置が『W』の「地球の本棚(ほしのほんだな)」だ。概要は以下の通り。

(01)主人公フィリップは「地球の本棚」にアクセスできる。
(02)「地球の本棚」には地球の記憶の全てが存在している。
(03)本棚の一冊一冊が、地球の記憶のデータベースである。
(04)キーワードで検索すると、本を絞り込むことができる。
(05)キーワードを探すのは、主人公左翔太郎の役目である。
(06)地球の記憶が記録されているのがガイアメモリである。
(07)ガイアメモリを挿入した人間はドーパントに変身する。
(08)怪人犯罪事件を解決する探偵が仮面ライダーWである。
(09)ガイアメモリはミュージアムによって開発流通される。
(10)ミュージアムは「地球の本棚」の解明・掌握を目論む。
(11)「地球の本棚」はインターネットのメタファーである。

 「地球の本棚」は本当に凄い!主人公フィリップの特殊能力なので彼のプライオリティを高めるし、「何故フィリップだけがアクセス可能なのか?」と視聴者に謎を喚起させることに成功している。しかも、敵組織ミュージアムの最終目的が「地球の本棚」の完全掌握なので、ますます彼の株が上がる(笑)

 『W』は探偵ドラマだったけど、驚いたことに「謎解き」の部分には重きを置かなかった。その解説に説得力を持たせるのは相当困難だからね。実際視聴してみると、もう一人の主人公、私立探偵の左翔太郎が調べるのは検索キーワードのみで、あとは全て「地球の本棚」任せである。こうなったらもう視聴者は納得せざるをえない。だって「地球の全記憶が内包されている本棚」で調べるなんて言われたら、人知を超えてるし、諦めざるをえないでしょ(笑)更に、一連のシーケンスは、我々が書店や図書館の検索機に、書名や著者名を入力し、目当ての本を探すというプロセスと一致しているので、意外にすんなり受け入れられるのだ(ご丁寧にイメージ映像付きだし!)

 また、伊上勝が「犯人を突き止めるまでの経緯や手順」の説明をバッサリ削り、バンバン戦闘シーンをインサートしたように、『W』もまた「謎解き」の部分よりも仮面ライダーと怪人の直接対決を重点的に描いている。それも、説明ゼリフなしに、犯人の正体・居場所・動機などは全て「地球の本棚」が解き明かしてくれるのだ。これは、物凄く潔い(笑)

 『W』の面白さの秘訣は、「紙芝居の如き省略手法」-「恥ずかしげもない思い切りの説明ゼリフ」によって生まれた舞台装置、「地球の本棚」にある。

伊上勝とシナリオのための鋳型

 しかし、伊上勝脚本は次第に飽きられていく。その原因について、井上敏樹はこう語っている。

 父のホンの良さは、簡単に言えば分かりやすさとテンポの良さにある。心情描写も単純で、人間の内面を深く探るようなものは書かなかった。父にとっての心情描写とはアクションのためのスパイスに過ぎず、出来れば書きたくなかったに違いない。
 私は父のハコ書きを見た事がある。ハコと言うのはシナリオを書く前の設計図のようなものなのだが、私が見た父のハコは、
□女スパイ
□ムササビ
――の二行だけだった。これではハコではない。メモに過ぎない。
 父には詳細なハコを切る必要がなかった。父の頭の中にはシナリオのための鋳型があって、いくつかのアイデアをそこに流し込めば自動的に脚本になったのである。その鋳型は父が紙芝居で培った感性そのものだった。そこに限界があった。どの話も同じような味わいのものになってしまうからだ。心情描写の苦手な父にはシナリオの武器となる持駒が少なかった、とも言える。駒が少なければ動かすのは簡単だが、ワンパターンにならざるを得ない。
 もちろん父の本には父にしか書けない理屈抜きの純粋な面白さに溢れていた。だからこそあれだけの人気を博したのだ。だが、それでもいずれ限界は来る。いつまでも紙芝居では飽きられてしまう。時代に、そして父自身も。
 私は時々考える。時代が父を追い越したのか、それとも時代には関係なく父は書けなくなったのか。きっとどちらとも言える。いずれにせよ父は書けなくなったに違いない。ずっと同じ井戸を掘っていてはいずれ水は涸れてしまう。
井上敏樹伊上勝評伝 昭和ヒーロー像を作った男』より)

 つまり、分かり易く、テンポが良く、心情描写が単純で、理屈抜きの純粋な面白さに溢れていたとしても、どの話も同じような味わいのものになってしまっては、ワンパターンに陥ってしまったら視聴者にそっぽを向かれてしまうのだ。

 では、その「シナリオのための鋳型」を、脚本家ではなくプロデューサーが用意したらどうか?

三条 あと、塚田さんの要求する盛り上がりのリズムがあるんですよ。まず前後編があって、それぞれにAパートとBパートがあるじゃないですか。で、それをさらに半分に分けるというか、要するに30分のエピソードを4分割したとき、大体ここにこういうものを用意すべきというリズムが塚田さんの中に結構精密にあるんですね。
三条陸仮面ライダーフォーゼ公式読本 FOURZE GRADUATION』より)

 『W』だったら「事件→依頼→捜査→解決」、『フォーゼ』なら「主人公とゲストがタイマン勝負して友達になる」、そのフォーマット自体は塚田英明が構築する。脚本家(三条陸荒川稔久、長谷川圭一、中島かずき……)は、そこにアイデアを流し込めば良いのだ。

■シナリオのための鋳型と塚田英明

 ただ、塚田英明独自の「シナリオのための鋳型」は、脚本家からするとけっこうキツいみたいね。『フォーゼ』のメインライター、中島かずきもボヤいてたし。

――その2話完結に対するこだわりもすごいし、"弦太朗がゲストとダチになる"というフォーマットを最後まで貫かれたことにも驚かされました。一言でダチになるといっても、そこにはいろんなバリエーションはあったわけですけど、下手するとワンパターンな構成になっていたかもしれないじゃないですか。
中島 本当にねぇ!(笑)僕らは何度も崩そうとしたんですけど、塚田さんが「ダメです」と。『W』でも"捜査の依頼と解決"っていう縛りがあったけど、それはフォーマットの縛りであってストーリーの縛りではないんですよ。どんな依頼でもいいわけだし。でも、今回はストーリーそのものが縛られているので、より厳しいんですね。
中島かずき仮面ライダーフォーゼ公式読本 FOURZE GRADUATION』より)

 『W』ではメイン、『フォーゼ』ではサブのライターだった、三条陸もツラかった模様。

――『W』『フォーゼ』を観ていくと、確かに塚田イズムみたいなものが見えてきますね。最終回付近まで、ずっと平常運転っぽい雰囲気を保つところも共通してますし。
三条 そう、最後までフォーマットを崩さないんです。それでいて幹部級の怪人を倒さなきゃいけない話も出てくるから、いつも後半に行くほどキツくなる(笑)。(中略)
――なかなか縛りがキツいですね(笑)。
三条 そう、縛りプレイ。「こいつ強いわ!特に縛りが……嫌いじゃないわ!」です(一同笑)。
三条陸仮面ライダーフォーゼ公式読本 FOURZE GRADUATION』より)

 ただ、中島かずき三条陸もブー垂れてたけど、シナリオの型枠が全く存在しないのも、それはそれは大変みたいよ。ソースは、宇都宮孝明がチーフプロデューサーを務めた、『ウィザード』のダブルメインライター、きだつよし・香村純子の述懐。

香村 私は大変だったなあ、と。基本的に30分で終わらないので。
きだ ああ、そうですねえ。2話にまたがるのは意外に大変でした。ライダーって戦隊作品よりルールが少ない印象があったんですが、いざやってみると、見えないルールがあるんですね。たとえば毎回バトルはあるけど、前編では敵を倒せない、とか。敵が逃げるパターンばかりにはできないし、苦心しましたね。だから、香村さんの担当回を見て、「この手があったか」「しまった、使われた」と思うことも(笑)。
香村 それはお互いさまです(笑)。
きだつよし・香村純子『仮面ライダーウィザードキャラクターブック 2 The Last Magic』より)

 宇都宮孝明は自らのジャッジによって書き直しを要求することはあれど、基本的には脚本家の意向を尊重するタイプ。しかしそれ故に、特撮番組脚本経験の少ない、きだつよしや香村純子は苦心したようね。毎回毎回、話の構造を彼ら彼女らが独自に考えねばならないのだから。『ウィザード』は確かに、前編で仮面ライダーが「逃げられたか…!」としくじったり、怪人が「ここは一時退却だ!」と去っていくことが多かった気がするなぁ(苦笑)

 まぁ宇都宮孝明のスタンスも、脚本家の力量があれば、成立するんだけどね。実際、『OOO』では経験豊富な小林靖子がメインライターを務めたから、全話が全話平均点以上だったと思います。「二話完結前後編ゲストお悩み相談」形式でもね。平成二期路線もね、悪い面ばかりじゃあないのよ?『OOO』でチーフプロデューサーを務めた武部直美もこう言及しているし。

――振り返ってみると『オーズ/OOO』という作品は全体のお話が見えやすかったですよね。
武部 そうですね。伏線や縦糸もあまり入れませんでしたから。そうしたのは今が「継続視聴がない時代」と言われているからなんです。みんな観たいときにパッと観て、毎週毎週必ず観るという習慣がない。だから出来るだけわかりやすいストーリー、親しみやすいキャラクターというのを心掛けたんです。
(武部直美『仮面ライダーオーズ/OOO特写写真集OOO』より)

 ほうほう、武部直美も、一応色々考えてはいるんだなぁ…!

武部 (中略)でも、ある程度人気が定着したので、大体30話くらいからちょっとお話を捻るようになりましたけど。(中略)まあ、このタイミングだったらもう良いかなって(笑)。
(武部直美『仮面ライダーオーズ/OOO特写写真集OOO』より)

 !!??

 そして、この女は後に『仮面ライダー鎧武/ガイム』を作ることになるが、それはまた別の話だ。

■イソギンジャガー石ノ森章太郎

 昭和の一番最初の『仮面ライダー』に、「危うしライダー!イソギンジャガーの地獄罠」という話がある。原作者の石ノ森章太郎自らメガホンをとった回だ。まぁ要するに東映からの接待よね。ちなみに、その時に助監督を務めたのが、何を隠そうあの長石多可男なのだ。何気に、長石多可男は井上親子(正喜・敏樹)両方の脚本を撮っていることになるね。うーむ、人に歴史ありだ。

 さて、その「第84話」が作られた意図について、切通理作は以下のように分析している。

切通 (中略)最初の『仮面ライダー』に、石ノ森先生が自分で監督した回があるんですよ。ある少年のお父さんがイソギンジャガーという怪人になってしまうんですけど、ライダーがピンポイントキックみたいなのをして変身装置を破壊して、最後はイソギンジャガーを普通のお父さんに戻してあげるっていう。
 石ノ森先生は、毎回毎回ライダーが平気で怪人を蹴り殺しているけど、改造人間というのは、生身の人間が怪人になってるっていうのが本来の設定であって、この回ではそういうことを見せたかったんじゃないかと。だから、この話を自分で撮ったんじゃないかと思うんですよ。
切通理作『語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

 そして、このイソギンジャガーのエピソードこそ、『W』と『フォーゼ』の原点・神髄なのではないか?と考察しているのだ。

切通 (中略)『W』や『フォーゼ』の怪人って、まさにこういう発想じゃないですか。
――そうですね。普通の人が変身装置を使って怪人になってしまうけれど、ライダーによって最後は人間に戻って改心すると。
切通 『フォーゼ』は、邪な心があるから怪人になっちゃうけど、変身装置を封印すればもとの高校生に戻るって話ですよね。それを毎回の決着に持ってきてるというのは、それこそ30年以上を隔てて、原作者側への原点帰りだと思うし、原点とはいっても当時は十分に描かれなかったものをやってるんじゃないかなって。そういうことも含めて、まだいろんなことを試す余地は残っているだろうし、平成ライダーは、今後もいろいろなことを繰り出してくるシリーズなんだろうなって思いますね。
切通理作『語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

 …まぁ、これは深読みだと思うけどね…!ドーパントやゾディアーツは謂わば「人間が変身した怪人」であり、退治はイコール殺人になってしまう。平成の世では「殺しました」というところまでは描けないということで発明されたのが、メモリブレイクやラストワンなんだろうね。ただ…!もし、塚田英明が初代『仮面ライダー』を徹底的に研究して、伊上勝の手法や石ノ森章太郎の思惑を見出して『W』や『フォーゼ』を作ったのだとしたら、彼は高寺成紀や白倉伸一郎クラスの「超人(変人)」ということになるね。だから、平成一期よりは制作し易くなったとはいえ、平成二期の作風も、まだまだ「誰でも作れる」フォーマットには至っていないのかもしれない。何故なら、「二話完結前後編ゲストお悩み相談」形式は、塚田英明という超人(変人)がいないと最後のピースが埋まらないからだ。

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 余談だけど、『OOO』の第27話「1000と映画と戦闘員」と第28話「1000と仮面ライダーと誕生日」にイカジャガーヤミーが登場するんだけど、デザインした篠原保は「1000回記念でイソギンジャガーにかけた怪人を発注するとは流石!」と感心していたら、実は武部直美はイソギンジャガーを知らなかったらしい(笑)「偶然かよ!」と篠原保もズッコケたらしいけどwあと、第28話は元々は「3月27日」に放送する予定だったんだけど、3.11の震災によって1週順延した結果、奇しくも初代『仮面ライダー』の初回放送日、「4月3日」と重なったという。…世の中、何があるかわからんね。

■オマケ:高寺成紀と塚田英明

 『仮面ライダークウガ』と『仮面ライダー響鬼』にてチーフプロデューサーを務めた高寺成紀と、塚田英明は両者ともに早稲田大学のサークル「怪獣同盟」出身なんだけど、塚田英明は「高寺成紀と作風が似てる」と言われることに難色を示しているようね。

塚田 (中略)高寺さんの後継者的な言われ方をよくされるんですが、実は一緒に仕事したことはないんですよ。学生時代は大先輩のOBという存在でしたし、東映でも『アギト』でサブで付いたときのチーフは白倉伸一郎プロデューサー(現・東映東京撮影所所長)でしたから、高寺さんから直々に薫陶を受けたってことは無いんです。でも最近は「高寺さんの後輩」という見方もされることが減りましたね。高寺さんが東映を辞めたというのが大きいんでしょうけど(笑)。まぁ実際、自分でもやり方は違うなぁと思います。
(塚田英明『仮面ライダーW特写写真集KIRIFUDA』より)

 そうかなぁ?似てると思うんだけどなぁ。それでは実例を出しましょうか。一つ目は、切通理作が自著『特撮黙示録』の原稿チェックを高寺成紀に依頼した時の回想。

切通 思い出しますね。あの本の『クウガ』のところは高寺さんがゲラをチェックしてくれたんです。しかもチェックといっても、何か都合の悪いことを削除してくれとか、そういう変な赤字じゃなくて、逆に新しい情報を加えたりしてくれたので感激しましたね。
 あれは今でも宝物のように大事に取ってあります。高寺さんって、PC文字の笑顔のマークとかを手書きで丁寧に書く人なんですよ(笑)。
切通理作『語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

 もう一つ目は、『星獣戦隊ギンガマン』でメインライターを務めた小林靖子と『獣拳戦隊ゲキレンジャー』でサブライターを務めた小林雄次の対談。

雄次 僕が『ゲキレンジャー』をやらせていただいた時はまだわりと新人だったので、プロデューサーの塚田英明さんには、大胆に起用していただいたなという印象です。
靖子 塚田さんはご一緒したことがないんですが、どんなかたですか。
雄次 ホンを全部添削されるんです。ゲラの校正のように一文字レベルで。
靖子 ああ、だから新人さんを起用しやすいのかな。
雄次 いえ、僕は新人だったからやられてるのかと思って勉強のつもりでいたら、ベテランの皆さんも同じように直しを入れられているようでびっくりしました。
靖子 私が『ギンガマン』でご一緒した高寺重徳プロデューサーっぽいですね。
雄次 余白に書き込みがいっぱいあるんですけど、赤ペン先生みたいにイラストも入ってるんですよ。たまにマンガのように吹き出しがあったり(笑)。
小林靖子小林雄次『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』より)

 似た者同士じゃん(笑)あと、小林靖子小林雄次の対談では、こんな話題も。

雄次 (中略)ところで、やりやすいプロデューサー、やりにくいプロデューサーっていましたか?
靖子 いえ、特に。ただタイプはいろいろですね。締切厳守のかたもいれば、遅れてもいいから、完成度の高い初稿を出したほうがいいかたもいる。(中略)とはいえ、そもそもそりが合わない脚本家には声をかけないでしょう。誰でも急にメインライターになるわけではないので、サブライターのときに仕事を見ていて、合いそうかどうかを判断しているはず。ただ私、塚田さんは無理かもしれない(笑)
雄次 おそらく僕みたいなレベルの人間なら大丈夫ですけど(笑)あと、井上敏樹さんも難しそうです。
靖子 井上さんなら、「じゃあいいよ、好きにしろよ!」とかおっしゃって、第一稿で投げちゃうかも(笑)
小林靖子小林雄次『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』より)

 誰だってそう思う。俺もそう思う(笑)

[了]

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