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千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

Vシネマ『鎧武外伝 仮面ライダー斬月/バロン』感想

15_鎧武

 ※今回の記事は『仮面ライダー鎧武』(以下『鎧武』)本編と外伝のネタバレがあるので未視聴の方はご注意ください。公式サイトは↓こちら。

Vシネマ『鎧武外伝』公式サイト

■「今を生きろよ日本人!」

 「平成仮面ライダーシリーズで一番好きな主題歌は何ですか?」と聞かれたら、自分は『JUST LIVE MORE』と答えます。あれは歌詞がいいよね。聞いてると元気が出てくる。仕事中、「疲れた…!もう駄目だ…!」となった時に、[そこ限界?精一杯、生きて、いると、言えるなら~♪]の部分を頭に流すと「うおお、もう少しやってみるか…!」という気持ちになれる、ような気がする(笑)作詞した預言者こと藤林聖子は、アニメや特撮の楽曲を手掛ける際「説教ソングは作らない」ようにしているそうで。あれだ、「頑張れ!」とか「やれば出来る!」とか、松岡修造的サムシングね。ところが、『鎧武』のチーフプロデューサー武部直美からのオーダーが、まさかの「説教ソングにしてくれ」というもので、藤林聖子は人生で初めて歌詞に "生きろ" というワードを入れたとか。「だからみんな死んでしまえばいいのに」でも「頼まれなくったって生きてやる」でも「生きねば」でもなく「生きろ」ですよ。何時(いつ)生きるの?「今」でしょ!(←古いな~!)かくして、『鎧武』はオープニングテーマ『JUST LIVE MORE』が予言するように、「今を生きる」若者達の物語となった。それ故なのかはわからないけれど、『鎧武』では登場人物の背景(バックボーン)があまり語られなかったのよね。これを不満に思うファンは少なくないと思われる。というか、多いよねきっと…!

 で、『JUST LIVE MORE』にはこんなフレーズがある。

 

[真っ赤に燃えている?熱く熱くBurnin' sun]

 

 生きる時代は「今」だけど、生きる場所は何処(どこ)か?それは、真っ赤に燃えている太陽、日の丸を国旗に持つ、「日本」よね。だから、『JUST LIVE MORE』を日本語で訳すならば、「今を生きろよ日本人!」ということになるのかもしれない。また、『鎧武』の裏テーマとして、メインライター虚淵玄が敬愛してやまない、「『仮面ライダーBLACK』を多人数ライダーでやる」というものがあって、第36話の「呉島光実/龍玄 VS 呉島貴虎/斬月」や第45・46話の「葛葉紘汰/鎧武 VS 駆紋戒斗/バロン」の対決は、言うならば平成の南光太郎/ブラックサン VS 秋月信彦/シャドームーン」なんだけど、そこにもかかってるのよね。[Burnin' sun]は。他にも、『鎧武』には『BLACK』に因んだ固有名詞が多い(黒影トルーパー、ゲネシスドライバー、創世弓ソニックアロー、葛葉晶(日が三つ)、紘汰(こうた)と"光"実(←南"光"太郎(こうたろう))etc ……)まぁ、幾つかは偶然かもしれないし、魔法かもしれない(笑)

 で、『JUST LIVE MORE』に上述のキーワードがあったので、「こりゃあ本編にも真紅の林檎の錠前が出るんじゃあねぇの?禁断の果実的に考えて!」と予想していたんだけど、出てこなかったんだよね(笑)夏の劇場版『サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!』に出てきたのは金銀メッキの林檎だったし、第47話に出てきたのは邪悪な林檎だったし!だから、「トホホ…!手塚海之/ライアみたいにはいかんよな~!」と、ちょっとションボリしてたんだけど、まさかの『鎧武外伝』に登場ですよ禁断のリンゴロックシードが!逆転勝利やねんで!(←誰と戦ってるんだ)そもそも、今回のVシネマの企画は、武部直美による鍍金でも腐敗でもない、普通の林檎を出したい!」という欲望が発端だそうで、むむむ…!「武部直美グッジョブ!」と思ったのはこれが初めてかもしれないな(笑)

 というわけで、前置きが長くなってしまったけど、いよいよVシネマ『鎧武外伝 仮面ライダー斬月/バロン』の感想です。斬月編とバロン編には幾つか共通点があって、一つ目は第20話(世界のおわり はじまる侵略)前後の時期であること、二つ目は禁断のリンゴロックシードが登場すること、三つ目は主要登場人物の親子(父親と息子)の過去が明かされること、そして最後はサブライダー(サブライター)の物語であること。最終話だけでなく、冬の劇場版『進撃のラストステージ』までもが後日談だから、「実はこんな出来事があったんです…!」的エピソードで、良かったんじゃあないかな(笑)また、お題目が同じなので、脚本を担当した鋼屋ジンと毛利亘宏の特徴というか違いがハッキリ出ていたんで、とても楽しめました。

■『仮面ライダー斬月』感想

脚本:鋼屋ジン、監督:金田治

■この男、ニトロプラスの脚本家!

 鋼屋ジン(はがねやじん)は1976年生まれ北海道出身。PCゲームメーカー、株式会社ニトロプラス所属のシナリオライター。代表作はゲーム『斬魔大聖デモンベイン』『装甲悪鬼村正 邪念編』『ギルティクラウン ロストクリスマス』など。…うん、つらつら書いといて難だけど、俺は鋼屋ジンのゲームは未プレイなんだ…!

 当初は、第25話「グリドン・ブラーボ 最強タッグ」第26話「バロンのゲネシス変身!」のみ参加の、ピンチヒッターだったようだけど、虚淵玄が多忙になったため、後半は実質のダブルメインライター状態に(とは言え、虚淵玄によるプロットは既に存在しているため、鋼屋ジンの色はあまり出てないかもしれないね。)というか、虚淵玄も平成一期ファンかもしれないけれど、鋼屋ジンだって生粋の仮面ライダーファンですよ!だから、『サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!』や『進撃のラストステージ』のホンを書けて、鋼屋ジンも感慨ひとしおだったのではなかろうか。でも、「『鎧武』の劇場版は糞!虚淵玄に書かせりゃよかったのに!」という声が多くて悲しいわね…!何でや…どっちも面白かったやろ!(´;ω;`)

 そんな鋼屋ジン、『鎧武』公式完全読本でのコメントも一味違う!

 25話「グリドン・ブラーボ最強タッグ」ではじめて脚本を担当してから最終回まで。さらには夏の劇場版、MOVIE大戦等々、本当に最後の最後まで走り抜けました。途中参加ながら鎧武達と一緒に戦ってきた一年だと思っています。
 祭のとき、人は神を模するために『仮面』を用います。仮面を被り、自らの顔を一時捨てることで、人は神の力を手にするのです。『仮面ライダー』は現代の神話といっても過言ではありません。『仮面ライダー鎧武』もまた、人から神へと変身する物語です。そんな大いなる物語に自分が関わっているとは、いまだに少し不思議な気持ちです(お題がフルーツであることもまた驚きです)。
 次の『仮面ライダードライブ』――さらに次のまだ見ぬ仮面ライダー達……今後も『仮面ライダー』は、より大きな神話を創っていくに違いありません。僕たちのヒーローは時を超えて不滅なのです。
鋼屋ジン仮面ライダー鎧武/ガイム公式完全読本』より)

 「少年よ神話になれ」ということか…!なかなか乙なこと言うじゃあないの!

■呉島天樹と朱月藤果とイドゥン

 「ノブレス・オブリージュ」を信条とする男、呉島天樹(くれしまあまぎ)。呉島貴虎と光実の父親にして、ユグドラシルコーポレーションの中枢にて中核を担う中心人物である。呉島天樹は孤児院「沢芽児童保育館」を設立し、将来ユグドラシルにとって有益となる人材を育成していた。ある者は研究者に、ある者は戦闘員に、ある者は工作員に、ある者は使用人となるべく…。だが、会社にとって不利益と見做された子供達は人体実験のモルモットとされ、ある者は命を落とし、ある者はインベスと化してしまった。その事実を知った、同施設出身かつ呉島邸の使用人だった朱月藤果(あかつきとうか)は復讐を決行。戦極ドライバーと禁断のリンゴロックシードを入手した彼女は仮面ライダーイドゥンへと変身し、呉島天樹を殺害。彼女の復讐は、ユグドラシルを完膚なきまでに破壊し尽くし、呉島天樹の息子たる貴虎と光実を殺すまで、終わることはない…。…というのが大まかなエピソード。

 うん、お父さん、凄い人ですよ(笑)なんたって園咲琉兵衛/テラードーパントだからね!(違う)…寺田農というキャスティングは、「風都≒沢芽市」「風都タワー≒ユグドラシルタワー」「園崎家≒呉島家」という、「箱庭とランドマークと家族」という『W』と『鎧武』の共通項から導出されたものなのかな?(考え過ぎ?)"天樹"という名前は、ミッチが通う「私立天樹高等学校」から拾ったんだと思うけど、そう考えると、自己主張の強いお父さんねwそして『斬月』編のラストで、戦極凌馬が「沢芽児童保育館」出身だったということが明かされるんだけど、まぁ100%後付けだろうけど、「湊耀子もシドも実はそこで養育されたんじゃあないの?」という興味を喚起されて、いいですね(←単純)

 鋼屋ジンは「二次創作大好き」だそうで、ウォーターメロンアームズは強力すぎて個人兵装に向かないため、巨大ロボットのメロンアームズに転用されたとか、禁断のリンゴロックシードに改良を重ねると最終的に金のロックシードとなってコウガネが生まれ、フェムシンムと同じ末路を辿るなどの裏設定があるとのこと。イイネ!オイラもこういうの大好物ですたい!(←設定厨)朱月藤果が変身する仮面ライダーイドゥンは、北欧神話「黄金の林檎の管理人」に由来するそうで。「アップルパイは上手く作れない(不味くなってしまう)」など林檎に絡めた作劇もベーネ。というか、井上敏樹理論に則れば、呉島貴虎と朱月藤果のアップルパイのシーンは…つまり…(禁則事項です!)

 それにしても、天樹の記憶が薄い(あまり父親から影響を受けていないはずの)光実の方が、貴虎よりも呉島の血を色濃く受け継いでいたというのは皮肉な話よね。天樹は「呉島の人間は他の俗物とは違うのだ!」と言い切る選民思想の持ち主なんだけど、ミッチもプロジェクトアークにノリノリだし、ペコのことを「黙ってろクズ」と一蹴するし、「舞さんは僕のもの!」オーラがスゲェからな…!貴虎は一応「公(パブリック)」のために戦っているけれど(たとえ人類の七分の一しか救えなかったとしてもね)、天樹と光実は「私(プライベート)」のことしか考えていない。だから、父と兄弟で「ノブレス・オブリージュ」の解釈が異なっていて、それ故にみんな孤立していくというのは、悲しいことよね。…うん、こういうのは本編でやろうよちゃんと…!

■死ぬより恐ろしいこと

 『W』以降、「人死にの描写はNG」みたいな風潮が作品内に流れてたよね。まぁ、『OOO』だとプテラノドンヤミーによって大勢の人々が闇に飲まれてたけどw『ウィザード』でもサバトで数多の人々が命を落としたけど…「過去にこんな凄惨たる事件・事故がありました~」ならいいのかな?つまり、劇中(現在進行形)で人が死ぬシーンはタブー、ということ?や、別に「人をいっぱい殺せよ!」と言ってるわけではないけれど、『クウガ』~『555』みたいな怪人の恐ろしさはもう表現できないのかな?と思ってたのね。『鎧武』を見るまでは。

――ヘルヘイムの果実を含め、『鎧武/ガイム』はいろいろな恐怖を描いてましたよね。人を殺めてしまう恐怖、大人に騙される恐怖、あるいは自分の体が変貌していく恐怖とか、まさしく初期の平成ライダーを彷彿とさせるようなかんじで。
虚淵 よくもまあ押し切れましたよね。最初の顔合わせでは関係者から「暴力的な描写はなるべくやめてください」と言われましたからね。いやいや、暴力的じゃない特撮ヒーローって何をやるのって。カタルシスビームとかで改心させるの?みたいな(笑)。
 いや本当に、そりゃみんな困るよねっていうのを思い知りました。……でも、逆に言えば、『鎧武/ガイム』はよくぞここまでできましたよね。
――本当にそう思います。昨年、虚淵さんから今度のライダーをやるってお話を伺ったときに「久々に『555』のようなハードなライダーを見たいです!」なんて言ってしまったんですけど、「今は『555』みたいなことはできません、と言われちゃったんですよ」っておっしゃってましたよね。その『555』みたいなことっていうのは、具体的にはどんなことだったんですか?
虚淵 それこそ怪人に殺されて犠牲者が出るとか、砂になって死んでしまうとか消えてしまうとか、ああいう描写ですよね。「それはやめてくれ」って言われてましたから、今はできないんだなと。だから犠牲者のシーンは、ことごとく無理でしたね。
(中略)
――紘汰が実は裕也の命を奪っていたって重い展開にしてもそうですけど、反対はなかったですか?
虚淵 うーん、怪人ならばありという不思議なルーリングがあって。ただ、やっぱり「怪人になってしまえばゾンビと一緒だし」っていうのは繰り返し強調するように言われましたけど、そのくらいでしたね。
虚淵玄『語ろう!555・剣・響鬼【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

 『鎧武』の肝は、「死を怪人がもたらす」のではなく「死ぬより恐ろしいことを怪人が引き起こす」ということ。つまり、怪人が人を襲っても命に別状はないけど植物が生えてくる。その植物から成る果実を食べると人間(動物)が怪人(怪物)になってしまうという点。『クウガ』みたいにグロンギが殺戮ゲームをしたり、『アギト』のようにアンノウンが不可能犯罪を行ったり、『龍騎』みたいにミラーモンスターが人間を捕食したり、『555』のようにオルフェノクが同士を増やすべく人間の心臓を貫くといった、「怪人が人間を殺す」といったこととは別のアプローチで怪人による被害を表現したのは美事よね。鋼屋ジンも、『斬月』編ではそれを踏襲して禁断のリンゴロックシードで変身し続けた朱月藤果の身体がオーバーロードインベス化してしまったなど、「肉体変容」の恐怖をクローズアップしていて、その辺は流石だと思いました。

■『仮面ライダーバロン』感想

脚本:毛利亘宏、監督:金田治

■この男、劇団少年社中の劇作家!

 毛利亘宏(もうりのぶひろ)は1975年生まれ愛知県出身。劇団少年社中の旗揚げメンバーにして主宰。同劇団の全作品を作・演出するほか、『仮面ライダーオーズ/OOO』『特命戦隊ゴーバスターズ』の脚本を手掛けている。…うん、つらつら書いといて難だけど、俺は毛利亘宏の劇は観たことないんだ…!

 『OOO』で毛利亘宏脚本回を視た時は驚いた。「初めてなのに、もう平成仮面ライダーの本質を掴んでいるのか!」と。担当回は以下の通り。それぞれ、正義と友情と夢をテーマに書かれている。
・第21話「バッタと親子と正義の味方」
・第22話「チョコと信念と正義の力」
・第33話「友情と暴走と残されたベルト」
・第34話「親友と利用とその関係」
・第35話「夢と兄とバースの秘密」
・第36話「壊れた夢と身体とグリード復活」

 『OOO』の公式読本では以下のような持論を述べている。

 「欲望」を単純に悪いものとして考えては面白くないと、思って臨みました。欲望そのものは悪いことではなくそのコントロールこそが問題であるという観点から物語を作ろうと。
 私がやらせていただいた話で取り上げた欲望は「正義」「友情」「夢」と、どれも少年漫画やヒーロー物ではむしろ肯定されるべき題材なんですが、そのコントロールを誤ったゆえの暴走を描かせていただいて、それに対して主人公がどのような解答を出すか?その辺りに焦点を当てようと思いました。
 (中略)「正義」という欲望は、オーズという作品を考えた上で一番やってみたい欲望でした。悪の秘密結社を倒したりするわけではなく、社会正義を追及するのではなく、身近な幸せを守る。それがオーズであり、平成の仮面ライダーであるという想いをぶつけてみました。
(毛利亘宏『仮面ライダーオーズ/OOO公式読本』より)

 欲望自体は悪ではなく、そのコントロールこそが問題」!「身近な幸せを守るのが平成の仮面ライダー」!これが毛利亘宏脚本の“筋”だね。ただ、『鎧武』では『トッキュウジャー』とか『キカイダー』とか『サッカー大決戦!』などのコラボ回ばかり担当させられて、要するに視聴率低迷の尻拭いをさせられて、毛利亘宏自身は自分の個性をあまり出せなかったかもしれないね。ちなみに、『天下分け目の戦国MOVIE大合戦』のホンを書いたのも毛利亘宏なんだけど、自分は未鑑賞なのでノーコメントで(オイ)

■シャプールとアルフレッドとタイラント

 南アジア某国の王子シャプールとその執事アルフレッドは、日本の沢芽市に視察に来ていた。アルフレッドには二つの任務があった。一つは、シャプールを事故に見せかけて暗殺すること。実はシャプールは養子であり、現国王に実子が誕生してからは、次第にその存在を疎まれるようになったのだ。もう一つは、ユグドラシルコーポレーションの戦極凌馬と接触し、戦極ドライバーを入手すること。来たる世界最後の日に備え、王族がヘルヘイムの森の脅威に打ち勝つためである。だが、アルフレッドの真の目論見は、主人の財団を乗っ取り、戦極ドライバーで金儲けをすることであった。そんなことは露知らず、シャプールは沢芽市のビートライダーズや洋菓子店シャルモンに興味津々。情報収集していると、チームバロンのネット動画に自分と瓜二つの若者、駆紋戒斗が映っていた。アルフレッドに外出を禁止されていたシャプールだったが、駆紋戒斗と自分を入れ替え、沢芽市探索を満喫しようと決意する。果たして、駆紋戒斗の運命は…!?…というのが大まかなエピソード。

 最初から最後まで小林豊オンステージでした。本当にありがとうございました。もう、これ以外書くことがないくらい、小林豊祭りだよ(笑)小林豊と言えば、森を歩くだけで足を挫き、高所から飛び降りるだけで拍手喝采というほどの運動音痴で、母子家庭かつ姉妹が多く心はオトメン、特技はケーキ作りと、駆紋戒斗とは180度キャラが違うのは周知の事実。『剣』の第29・30話(相川始と三上了の入れ替わり話)のように、大変笑わせてもらいました。そういえば、森本亮治くんも、相川始とは真逆、正反対な性格だったな…!

 『バロン』編の臍は、『OOO』の時と同じく「コントロール」の話になっていること。アルフレッドは、戦極凌馬からゲネシスドライバーとプロトタイプドラゴンフルーツエナジーロックシード(長いな)を入手して仮面ライダータイラントに変身するんだけど、試作型(失敗作)故にオーバーロードインベス化してしまう。一方、駆紋戒斗は『斬月』編で朱月藤果が使用していた禁断のリンゴロックシードで仮面ライダーバロンリンゴアームズに変身するんだけど、彼はオーバーロード化しなかった。何故なら、駆紋戒斗は力に溺れることなく、制御することができるから。『鎧武』には「キミはこの力、どう使う?」というキャッチコピーがあるけれど、毛利亘宏はちゃんとそこをクローズアップしていて、その辺は流石だと思いました。

■『Unperfected World』~弱者が許される世界~

 第45話「運命の二人 最終バトル!」での駆紋戒斗の台詞、「弱者が踏みにじられない世界」は、本当は「弱者が許される世界」だったそうだ。

――『鎧武/ガイム』でいうと、世界を滅ぼそうとした戒斗の願いは実は意外な動機でしたよね。なぜ彼があれほどまでに「強さ」を欲していたのかというと、本当は「弱者が踏みにじられない世界」を願っていたという。
虚淵 あれがね、変えられてしまった、いちばん痛いセリフだったんですよね……。
 本当は「弱者が許される世界だ」と言っていたんですよ。それが諸々の事情で変更になってしまって。戒斗にとって、いちばん大事なセリフだったんですけどね。
――「弱者が許される世界」がですか、なんで……?
虚淵 ねえ。なんかダメだったみたいなんですよ。「弱者が許されない」という世のルールそのものに怒っていたヤツだった、というのが戒斗だったので……。そのつもりで1年書いてきたんですけど、この戒斗のセリフ変更には頭を悩ませました。武部さんたちもそのときは苦労されたと思いますけど。
――なるほど、最も大事なセリフも言わせてもらえなかったなんて、なんというか、戒斗は本当にとことん不憫なキャラだったんですね……。あの、彼の名誉のためにも書いちゃってもいいんでしょうか?
虚淵 いいと思いますよ。たぶん、俺、行く先々で言うと思いますし(苦笑)。
虚淵玄『語ろう!555・剣・響鬼【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

 何故規制に引っ掛かってしまったのか?それはおそらく、現実社会、現在の日本そのものが、「弱者が許されない」世界だからだろうね…。物議を醸すとアレなんでこれ以上は口を噤むけど…。あれだ、「働かざる者食うべからず」というヤツですよ。『鎧武』では、「反体制的な子供達の描写は絶対的にNG」だったそうだけど、「弱者は許されるべき!」という思想(スローガン)は反社会的なのか…!なんか、テレビ局の闇が垣間見えた気がするな…!

 今回、毛利亘宏は駆紋戒斗の過去を断片的にしか描かなかったんだけど(一から十まで語りと、逆に戒斗の魅力が弱まってしまうだろうという、毛利氏の判断)、「ロードバロン」に至るまでの道筋はちゃんと立っていたと思います。…うん、こういうのは本編でやろうよちゃんと…!

■「たまに振り返りたいですよね。」

 『語ろう!555・剣・響鬼』にて、虚淵玄はこんなことをボヤいていた。

虚淵 (中略)僕がいちばん悲しいのは、毎年のライダーが使い捨てと見られていくことなんですよ。だから、たまに振り返りたいですよね、いろんなヒーローの話を。それを『スーパーヒーロー大戦』でやるには尺がなさすぎますし。
 いちばんショックだったのは、『鎧武/ガイム』を始めて間もない頃ですけど、鎧武のベルトが出て、ウィザードのベルトが投げ売りされてる瞬間だったんですよね。(中略)毎年毎年、新しいヒーローが生み出されて、毎年毎年、更新されていっちゃう。でも、それがやむを得ない部分だとすると「これはどうなの?」って思いもありますね。
――毎年変わる面白さももちろんありますけど、たしかにそうですね。
虚淵 本当だったら、3年から5年くらいの周期でぐるぐる回すのがいちばんいいと思うんですよね。「もう一回『アギト』やろうぜ!」「『クウガ』やろうぜ!」っていう風に回せれば、アメコミみたいな発展が先であり得ると思うんですけど、そこは日本だと焼き畑でやっていくしかないんだなっていうのはね……。(中略)そこはまあ、自分も乗ってしまった流れではあるけど、どうなんだろうっていうのは常に思いましたよね。ベルトとのつき合いが子供たちは1年で終わっちゃうのか……と。
 翌年、新しいベルトのためにも、その年のヒーローを印象づけなきゃいけないっていう、このジレンマはひどい話だなとは思いますよね。
虚淵玄『語ろう!555・剣・響鬼【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

 その、「振り返り」「蒸し返し」に成功しているのが、『電王』や『ディケイド』だと思うんだけど、何気に『鎧武』もそのポテンシャルを秘めてるよなぁと今回の外伝を視て思いました。なんたって、紘汰さん神様だしね!いつでもクラック開けて地球に戻ってこれるし、メガヘクスみたいに「ヘルヘイムの森の脅威に打ち勝ったぜ~!」という神クラスの敵を、出そうと思えばいくらでも出せるからね。『神対神』とか『復活のF』みたいな感じでさw『斬月/バロン』みたいに、グリドンやブラーボ、ゲネシス勢(デューク/シグルド/マリカ)の短編だって作ろうと思えばいくらでも作れるだろうし、オーバーロード(フェムシンム)編」なんかやったら面白そうだよね。ラピス/デェムシュ/レデュエ/ロシュオの話よ。吉田メタルの奥様、岩崎ひろみさんにも出てもらってさw地球の太古の神話をやってもいいかもしれない。ほんまもんのアダムとイブのストーリーね。待てよ…?後日談でユグドラシル残党 VS 呉島兄弟」なんてのも中々…!妄想が捗るぜ!

 こういうVシネマって、どのくらい売れたら成功なんだろうね?風の噂によると、今回の『鎧武外伝』の売上(枚数)は円盤一万五千枚だとか。可能な限り、続いてほしいな~。そして、「金田治×鋼屋ジン×毛利亘宏」による『鎧武』を視たい。もっと言うと、自分は鋼屋ジンと毛利亘宏にはいつか『仮面ライダー』のメインライターになってほしいと本気で思っています。誰か使ってくれないかな?

 以上、Vシネマ『鎧武外伝 仮面ライダー斬月/バロン』の感想でした。…おかしいな?『W RETURNS』には全く食指が動かなかったのに、『斬月/バロン』は思わず買ってしまった…!俺は『鎧武』はしょーもない作品だと思ってるけど、実は好きなのかな…?あれだ、『電王』と『キバ』と同じで、「優れてるのは『W』だけど好きなのは『鎧武』」というヤツです(笑)

 や、ホントに面白かったんで、未視聴未購入の方は是非!

 ……しまった!監督、金田治について全く触れてないぞ!?

 ……金田治監督については↓こちらをどうぞ(←付け焼刃的対応。)

『鎧武』擬音と社長と禁断の果実の美酒 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

■と、つらつらと書いていたら…?

 『鎧武外伝』第二弾決定…だと…?

 主役は、戦極凌馬/デューク & ザック/ナックル」!

f:id:sebaOOO:20150506173142j:plain

 …何気に、『鎧武』は凄い…のか…?…少し、認識を改める必要があるかもしれないな…!

■追記(2015/11/15)

 続編、『鎧武外伝 仮面ライダーデューク/ナックル』の感想記事です。

sebaooo-tatoba-combo.hatenablog.jp

[了]

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