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千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『ドライブ』感想:第27話「詩島剛が戦う理由はなにか」

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仮面ライダードライブ』の感想です。以下、ネタバレ注意。

第27話「詩島剛が戦う理由はなにか」
脚本:長谷川圭一 
監督:石田秀範
*↓東映公式サイト
http://www.toei.co.jp/tv/drive/story/1205641_2271.html

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 「ふざけんな!俺は一刻も早く全てのロイミュードを倒さなきゃなんないのに!ロイミュードは悪だ!そんなこと信じられるか!」

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 ついに詩島剛/仮面ライダーマッハ(以下、"剛" or "マッハ")について語る時が来た!このブログで剛の話題が少ないのはですね、自分はずっと「マッハ要らなくね?」と思ってたから。だって、既に魔進チェイサーという存在がいたわけじゃない?仮面ライダーの姿をした敵怪人」が!その、チェイスの掘り下げだってまだまだ不十分だったのに、「いつもの平成二期のノリで2号ライダーを出しやがって!」と、内心穏やかじゃあなかったですよ。ただ、俺は変身後のマッハを演じている渡辺淳さんは好きだしこれからも活躍してほしいし応援しているし、剛役の稲葉友くんも、彼は「心の闇が滲み出た時の表情(かお)」がイイよね。「ぐぬぬ…!」顔っていうの?あのスレた感じが。何より、俺は彼の「くぐもった声」が好きでね(笑)チェイス役の上遠野太洸くんも「プリティフェイスの割に声低ッ!」と驚いたんだけど、他にもハート様蕨野友也くん)のうっとりする甘美な声とか、ブレン(松島庄汰くん)の震え声とかw『ドライブ』の役者さんは「声」がいいですね。え?竹内涼真くんはって?彼は良くも悪くも普通だと思います。…話が逸れたな。剛/マッハの話です。

■追跡!撲滅!いずれもマッハ!

 まずは、三条陸のインタビューより。『東映ヒーローMAX』を買ったのは久しぶりだ(笑)

三条 まずマッハなんですけど、霧子の弟にしたのは、離れもするし絡みもするという関係として、弟というのが最適だなと。急に無関係な人間が出てくるよりは『ドライブ』の場合すんなり受け入れてくれるだろうし、そこから霧子の新しい側面も描けますから。ネーミングとしては、2号ライダーということで佐々木剛さんの「剛」の文字を頂戴したのと、『マッハGoGoGO』の三船剛の「剛」でもあります。そもそも霧子の名字が、しゃべらないから「静寂(しじま)」にかけているからで「静寂」からの「Go」という静から動への変化という意味にもなります。泊進ノ介も「止まる」と「進む」ですしね。そういう「名は体を表す」的なわかりやすさは、『ドライブ』で常に意識しているところです。
三条陸東映ヒーローMAX Vol.51』より)

 や~、「詩島剛が戦う理由はなにか」はかーなーり引っ張ったね!平成二期の2号ライダーは、登場時に既に明確な目標が用意されていて、それが達成されるとフェードアウト、みたいなパターンが多かったけれど(『鎧武』は除く)、
(01)『W』の照井竜/アクセル     :家族の復讐
(02)『OOO』の伊達明/バース    :一億円稼ぐ
(03)『フォーゼ』の朔田流星/メテオ  :友人の回復
(04)『ウィザード』の仁藤攻介/ビースト:魔力が食事
剛/マッハは最終回まで本筋に絡んできそうで、オラわくわくしてくたぞッ!

 で、今回のオチは剛を突き動かす原動力(モーティヴ)として大変納得がいくものでした。まさかの「蛮野博士=詩島霧子&剛の父親」!「時間が無い」理由はまだ伏せられているけれど、「ロイミュードを殲滅しなければならない」動機としては十分!そうだよな、グローバル・フリーズの引き金が自分の肉親なんだからな…!剛は、「ロイミュードは悪」とするスタンスは一貫していたし、「霧子がチェイスを想う」シーンでは常々彼の「怪訝な顔」や「不満な発言」がインサートされていたから、説得力があるよね。…泊進ノ介やチェイスもこのくらい書いてあげようぜ三条陸よ…!

 だがしかし…!一つ言わせてくれ…!

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 初登場回巫山戯すぎだろ…!演出したのは…。…嗚呼、石田秀範か…!

■石田秀範の憂鬱 ~『鎧武』~

 石田秀範(以下、"巨匠")はね、『鎧武』では相当鬱憤が溜まっていたと思うよ。「ナニイッテンダ!」「デタラメヲイウナ!」「巨匠は腐ってなどいないッ!そう思うのは…お前の心が歪んでいるからだ!」と、虚淵玄ファンや照井さんに怒られそうだけど、自分には確信があるッ!

 一つ目の根拠は、『555』で東映特撮に初参加した、田村直己(たむらなおき)監督の発言。

 「仮面ライダー」は僕の志向にマッチしていたんですかね、とても楽しかったです。(中略)東映という会社の映画制作のノウハウもしっかりしていましたので、そのシステムにはまることは簡単でしたし、プロデューサーの白倉さんも腹のある人で、ドラマのつながりが破綻しなければ好きにやってくれということだったんです。むしろ、各監督のカラーを思いっきり出してくれという要望でした。
 僕が、テレビドラマのノウハウを生かした部分もありました。細かい芝居が弱いと思ったんです。そこで芝居やキャラクター作りについていろいろ指示させてもらいましたが、白倉さんにも気に入っていただけたようです。
(田村直己『仮面ライダー 平成 vol.4 仮面ライダー555』より)

 二つ目の根拠は、『鎧武』で阪東清治郎を演じた、弓削智久(ゆげともひさ)の発言。

 板東に関しては、けっこうアドリブを盛り込んでいます。石田(秀範)監督のときに、いちばんアドリブをやらせていただきました。「つまんないから、なんか違うことをやって」と言われて、「わかりました」という流れで(笑)。台詞をフルーツにかけてみたり、テストのときにビタミンをかけた台詞にしてみたりすると、「それ、いいねえ」といった具合でした(笑)。脚本家さんには失礼で申し訳ないんですが、役の範囲内で遊ばせていただきました。
弓削智久仮面ライダー 平成 vol.7 仮面ライダーカブト』より)

 三つ目の根拠は、『キバ』で最終回を撮った、巨匠こと石田秀範本人の発言。

 ラストの結婚式については、「ちょっと雰囲気の違うものになると思っていたのに、(明るくて)意外だった」と何人かから言われました。僕の演出は、人から聞くところによると、悲劇のほうへ悲劇のほうへと行くらしい(笑)。自分では意識はしていないんだけどね。
 ただ『キバ』は、(登場人物が)人を信じられなくなったり、人と衝突することの多い話だった。だから、(演出していて)鬱屈したものがたまっていたんですね。たぶんそれで、最後は明るく幸せに終わりたい、解き放ちたい、っていう意識があったのかもしれない。だから自然と最後は、バカみたいに明るいハッピーエンドになったんだ、と思います。
(石田秀範『仮面ライダーキバキャラクターヴィジュアルガイド3(Celebrate)』より)

 平成一期作品を手掛けた白倉伸一郎井上敏樹は、俳優の演技だけでなく、監督の演出をもホンに取り込むタイプ。だからこそ、『アギト』『龍騎』『555』というのは、ストーリーが進むにつれてプロデューサー・脚本家・俳優・監督の個性が膨らみ、時には視聴者の反応(声)もが渾然一体となって最終回を迎えることとなる。白倉&井上ライダーは粗はあれど、そこには「バイタル(番組は生き物)」な面白さがあるのだ。ところが、『鎧武』は武部直美が「俳優さん監督さん!今回は虚淵玄さんの脚本を絶対遵守してね~!」という方針にしちゃったもんだから、もう、その時点で「平成初期の作風に立ち返る」というコンセプトから、逸脱しちゃってるのよね(爆)しかも、巨匠からしてみれば、虚淵玄脚本は「深夜アニメ風の難解さ」満載かつ「つまらない」わけでしょ?更に、追い撃ちをかけるように、『鎧武』は『キバ』をも超越する「人と衝突することの多い話」なわけで…。窮屈で退屈で鬱屈とした『鎧武』に携わったことで、巨匠のストレスもマッハ!

 だから、『ドライブ』第12話「白い仮面ライダーはどこから来たのか」 で巨匠が暴走してしまったのは、武部直美って女の仕業なんだ…!(なんだって、それはほんとうかい!?)

■今後、「剛/マッハ」がどんなに顔晴ったとしても…

 「でも、初登場時巫山戯まくってたよなぁ…!」「第14話『彼女を狙う黒い影はだれか』では、前口上で敵を取り逃がしてたよなぁ…!」という光景が俺達の脳裏をよぎるわけよ。あ~あ、巨匠のストレス発散、自己満足のせいで剛/マッハに瑕疵(キズ)が付いちゃった!彼が光を取り戻すのは相当困難ですよ。第一印象って大事よね。

 奇を衒うのって簡単なんですよ。だって、例えば「役者さんが延々を糞を喰い続ける」シーンを撮れば、それだけで斬新で前衛的で革新的な映像なわけじゃない?ただ、そんなのは文字通り「糞喰らえ」なわけでさ。でも、巨匠の過剰演出回ってそういうきらいがあるでしょ?

 最近活躍する機会が増えてきた若い監督さん、柴崎貴行や山口恭平は違うよね。柴崎監督は、素材の良さを活かした和食のような料理を出す。山口監督は、子供が食べ易い味付けにした洋食のような料理を出す。けど、巨匠は折角の料理に香辛料をドバドバぶっかけて「どうだ、俺の創作料理だ、喰え!」という傲慢さがあるよね(笑)巨匠担当回を視ると、極上のステーキ肉に蜂蜜をぶちまけられたような気分になるのよ、俺はwただ、時折柴崎貴行や山口恭平には作れないような、超絶技巧を駆使した超一級料理が出されることがあるから、嫌いになれないのよね…!(今回の第27話は良かったと思いますよ?)

■何故視聴者は『ドライブ』に乗り切れないのか?

 自分は特撮ファンサイトを巡廻するのが好きで、まぁそれが転じて今はこんなブログをやっているのだけれど、とあるブログの『ドライブ』第25話「新たなる闘いはなぜ始まったのか」の感想記事に、「特状課があるから、今まで仮面ライダーとしてやってこれたんだって。言ってやりたかったよ。」と泊進ノ介に言わせたり、「刑事と仮面ライダーの二重生活は、やっぱり進兄さんには相当ストレスなんだなあ。俺には分かんねえや。」と詩島剛に言わせるのは、描写の積み重ねがこれまで足りていなかったことの証左でもあり「スタッフの敗北と言える」という趣旨の内容が書かれており、「だっはっは!正にその通りだ!」と舌を巻きました。……で、よくよく考えてみると、仮面ライダーとして戦ってこれたのは警察組織(特状課)の御蔭」というのと、「仮面ライダーとして戦うためには警察組織(捜査一課)が足枷」というのは、コンセプト的に微妙に矛盾しているよね。

 『ドライブ』第13話「私の弟にはなぜブレーキがないのか」でも、詩島剛が「ドライブは、警察であることに利点もあるけど、弱点もあるじゃん?俺のこの立ち位置でないと出来ない事が、いっぱいあるはずさ。」という台詞を吐いているけれど、こうして考えてみると、「ドライブが警察組織にいる」利点ってあまりないよね。ドライブシステムやシフトカーなどの開発・修理に国家予算が使われているわけではないし、何より沢神りんなや西城究は「客員」であって警察官じゃあないしね。

 『ドライブ』は、設定や登場人物が「矛盾」をはらんでいることが非常に多い。
(01)「前へと進む」が「立ち止まる」こともある泊進ノ介。
(02)「強い婦警」だが「庇護される」こともある詩島霧子。
(03)「戦闘の要」だが「諸悪の根源」でもあるベルトさん。
(04)「怪人殲滅を急ぐ」が「巫山戯る」こともある詩島剛。
(05)「人間を悪と見做す」が「人間を守護する」チェイス。
(06)「特状課は役立つ」が「捜査一課は邪魔」な警察組織。
一つ一つは些細な事柄でも、塵も積もれば何とやらで、これらの「矛盾」が積もり積もって、我々を「乗り切れなく」させるのかもしれない。むむむ…!まだこの辺の言説はふわふわしているな…!上記の幾つか、特に「詩島霧子とチェイス」に関しては、今度単発記事を書きますね。多分、『剣』と絡めて書くと思います。

 はい、今回はここまで。蛮野博士については気になりますね~。

[了]

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※剛/マッハにまつわる記事はこちらをどうぞ。

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