読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『語ろう!555・剣・響鬼【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』感想

 念願の『語ろう!555・剣・響鬼【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』(以下、『語ろう!555・剣・響鬼』)がついに発売されたぞ!というわけで感想です。『語ろう!555・剣・響鬼』自体のネタバレはそこまでないけれど、『クウガ』~『鎧武』までの作品のネタバレはわんさか出てくるのでご注意を。あと、今回の記事は若干性差別的な発言や特定人物の批判がいつも以上に出てくる可能性がありますがご容赦ください。散々予防線を張った上でいよいよ本題に踏み込むぞ!長文となってしまいましたが、お付き合いいただければと思います。

■女性はどのように『仮面ライダー』を楽しむのか

 二ノ宮知子の語りから、女性というのはキャラや俳優、すなわち人間を視て作品を楽しむんだなァと改めて思った。キャラは架空世界の人間で、俳優は現実世界の人間ね。人間が「恰好良い!」「可愛い!」「健気!」「可哀想…!」「顔晴ったね…!やった!」と、自分が感情移入した(できる)ものに対して心地良さや面白さを感じると。個人的な話で恐縮だけど、同僚の女性社員で平成仮面ライダー好きがいて、そのコは『電王』と『W』と『OOO』が好きでそれ以外は視たことがないというので『クウガ』~『響鬼』のDVDを貸したことがある。そしたら、『龍騎』と『響鬼』以外は全て突き返してきたのだ!そのコ曰く、「小難しい話は嫌いだから『クウガ』は視たくない」、「人間関係がドロドロしてて陰惨だから『555』は視たくない」、『アギト』にいたっては「要潤が嫌いだから視たくない」というのだ!「じゃあ『龍騎』と『響鬼』はなんで視るのよさ!?」と聞くと、「北岡弁護士や浅倉さんがカッコいいから♪」、「威吹鬼さんや斬鬼さんがカッコいいから♪」という返答が…!これ、捏造じゃなくて事実ですからねwそして『剣』は言わずもがなで、「オンドゥル語が何言ってるのかわからない」「そもそも剣崎と始と白井虎太郎の見分けがつかない」からパイロット版視て切ったそうで。二ノ宮知子も、『剣』は「つまらない」ではなく「わからない」と言っていて、「女性が視ると『つまらない』と感じる以前に『わからない』が先行するのか」と思って彼女の語りのなかでそれが一番印象的だった。男は男で「つまんね~!」「糞!」「ゴミカス!」と罵りながらもなんだかんだで最後まで視ちゃうところがあるんだけど、女性の場合は「これは自分には合わないな」と感じた瞬間の見切りが早い。ちなみにその会社の女性同期は『鎧武』は面白く視れたそうで。よーわからん!

 女性と男性は脳の構造に明確な差異があって、「女性は直感的感覚的に物事を捉える」のに対し、「男性は感情を抱く前に論理的思考を挟む」のだ。例えば、女性ファンはリュウタロスを視て一瞬で「リュウタ可愛い♪」となるのに対し、男のオタクの場合は「そうか、小林靖子が書く台詞とおぐらとしひろの演技と鈴村健一の美声と、韮澤靖のデザインのギャップが女心を擽るのか…!」と一々理屈を考えないといけない。だって、リュウタロスを「可愛い」と思ったことないんだもの俺wタロスズの生みの親である韮澤靖も、「チビッ子を怖がらせようと思って描いたのに、女性から可愛いと言われるとは思わなんだ…!」と首をかしげたそうだからね。

 しかし「キャラは大事」というのはごもっともなことなんよな。『語ろう!555・剣・響鬼』でも、白倉伸一郎井上敏樹、すなわち平成一期仮面ライダーを作った男達自身がそう言及しているし。余談だけど、白倉伸一郎の平成一期を紡いだ脚本家達の分析が的を射ていた。曰く「井上敏樹はシナリオ構造とキャラを重視する」「小林靖子はキャラの関係性を重視する」「米村正二はキャラの関係性から生まれる世界観を重視する」「會川昇は番組の世界観を重視する」とのこと。やっぱ白倉伸一郎は言語化が上手いな。あとは「俳優も大事」で、そういう観点で言うと『アギト』や『龍騎』の頃に新人俳優達の写真集を出したり、トークイベントを開催したりした武部直美の功績も少なからずあったと思われる。まぁ俺は武部直美のこと、あんまし評価してないんだけどね。それに関しては後述。けど役者の目利きはスゲェんだよな。あの田崎竜太も舌を巻いたくらいだからね。

 ちらっと話題に出た、鈴村健一の語りは「過半数の視聴者が感じたであろうこと」の羅列にすぎないなというのがざっくりした感想。最大公約数的なね。けど、『種運命』のシン・アスカを未だ愛していたり、「仮面ライダーに変身できてよかった」というエピソードは微笑ましかった。そうだよな。リュウタロスとして変身できたんだな、鈴村健一。でも自分の中では、「『FF7CC』のザックス・フェア」の人なんよね。鈴村健一は。エアリス(坂本真綾)と末永くお幸せに…!

■『剣』と『鎧武/ガイム』の敗因は何だったのか

 前回の『語ろう!クウガ・アギト・龍騎』と今回の『語ろう!555・剣・響鬼』で、ザビーだった頃の矢車想からキックホッパーになった後の矢車さんくらい語りのテンションが変わっていたのが虚淵玄w『鎧武』についての怨みつらみをネチネチ語ってたね。『鎧武』第45話「運命の二人 最終バトル!」での駆紋戒斗の台詞、「弱者が踏みにじられない世界」は、元の脚本では違う言葉だったらしいですよ皆さん。「弱者が○○○○世界」だったそうで。気になる方は是非『語ろう!555・剣・響鬼』のご購入を。虚淵玄的には、これが一番変更されたくなかった台詞らしいけど、元々の内容に変わったところで、受ける印象はそんなに変わらなかったと思うよ視聴者は。

 『鎧武』って、「會川昇が途中でメインライターにならなかった『剣』」なんだよね。つまりは「今井詔二のまんま突っ走っちゃった『剣』」。違うな、「武部直美主導のまま突き進んでしまった『剣』」だ。『剣』のチーフプロデューサーは日笠淳となっているけれど、前半は寧ろ武部直美と宇都宮孝明が中核を担っていた。当初、日笠淳と今井詔二が構想していたのは「四人の職業仮面ライダーが協力して巨悪と戦う」というものだったんだけど武部直美がそれを一喝。「そんなのは古いわ!最近は『アギト』のように謎伏線鏤めして『龍騎』のようにライダーバトルして『555』のように昼ドラドロドロ展開が受けるのよ!」と言ったのかどうかは知らんが兎に角『剣』は『アギト』と『龍騎』と『555』の良いとこどりを目指した番組となった。その結果は言わずもがなでw『語ろう!555・剣・響鬼』の論客の大半が「前半は…う~ん…!」と言葉を濁す始末w白倉伸一郎にいたっては「平成仮面ライダーのフォーマットは確立した!俺が抜けてももう大丈夫!と思っていたら…自惚れだった…!」とこぼしてたしねw井上敏樹も不満気だったね。「新しいことをやればいいのに変に『アギト』『龍騎』『555』を引きずっていてそこが好かんかった」と。だから序盤の『剣』が「ボドボドダァ!」だったのは、武部直美ってヤツの仕業なんだ…!(Ω{なんだって!?それは本当かい!?))

 會川昇が語っていたけれど、『剣』に途中参加してから意識したことは「昭和の仮面ライダーのテイストを敢えて入れる」ということだったそうだ。改めて思い返してみると、會川昇担当回は主人公に「俺は仮面ライダーだ!」と言わせたり、バイクをフィーチャーした話(ファングとウルフアンデッドの話ね)が多かったね。驚いたのは、それに対して当時サブだった宇都宮孝明に「あなたの書くホンは古臭い!」と批判されたと會川昇が語っていたことだった。あの宇都宮孝明が…!そうか、彼も若かりし頃は高寺成紀気質だったのか…!(実は、高寺成紀は『BLACK』参加時、メインライターだった上原正三に「もっと新しいことを!」と強要しまくって、「じゃあどうすればいいんだよォ!」とキレられたという逸話があるのだw)そんな宇都宮孝明が、バリバリ昭和ライダーテイストの『ウィザード』を作っちゃうんだから、約10年の間に心境の変化があったんだろうなぁ…!多分『キバ』だなw絶対『キバ』だよw断言できるね(笑)

 『剣』の敗因は、『アギト』『龍騎』『555』の「何が受けたのか?」を分析できずに、上っ面だけ真似て作っちゃったところだと思うのよね。よく「『アギト』は謎伏線鏤めが受けた!」「『龍騎』はライダーバトルが受けた!」「『555』は昼ドラドロドロ展開が受けた!」と言われるけれど、でも『アギト』『龍騎』『555』で面白かったのって、「小沢澄子と北條透の舌戦」だったり、「北岡秀一と由良吾郎の掛け合い」だったり、「草加雅人の暗躍」だったと思うのよね。すなわち井上敏樹小林靖子が「人間ドラマをしっかり書いていた」こと、これが人気の勝因だったのだと思う。「謎伏線鏤め/ライダーバトル/昼ドラドロドロ展開」は番組を進行するためのフォーマットにすぎない。そのフォーマットだけを継ぎ接ぎして、人間描写を疎かにしたら、そりゃあ破綻するよ。

 で、『鎧武』の場合はそれプラス、虚淵玄が敬愛してやまない「『クウガ』の暴力」が入っているからまた厄介でw「『クウガ』では神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇聖斗事件)を受けて"殺人鬼"が怪人に設定された」→「『鎧武』では、今子供達にとっての恐怖は何かを考えた結果、"巨大企業"と"震災(3.11)"を敵に据えた」というのは理路整然としていてなかなか美事なんだけど(というか、こういうのって本来ならプロデューサーが考えるもんなんじゃねぇの!?こういった分析スキルは虚淵玄を見習えよ武部直美ッ!)、『鎧武』には圧倒的に足りないものがある!『クウガ』の如きリアリティが皆無なのだ『鎧武』は!もうね、このサイトは『ドライブ』放送開始時から始めた新参ブログだけどね、もし『鎧武』の頃からあったら批判の嵐よ!パイロット版からして突っ込みどころ満載だからね(なんでダンス流行ってんの?インベスゲームのルールは?怪人が暴走する危険性があるのになんで民衆は問題視しないの?警察来ないの?スマホタブレットが普及してるけどユグドラシル情報隠蔽しきれんの?etc…)

 だから、『鎧武』の敗因は、「『剣』の敗因(『アギト』『龍騎』『555』の如き人間ドラマが描けていない)」プラス、「『クウガ』の如きご都合主義の排除・リアリティの追及ができていない」こと。これができてなきゃあ、先の駆紋戒斗の台詞が放たれたところで、視聴者の心には響かないよ。

■『響鬼』の平成仮面ライダーにおける意義は何か

 高寺成紀も、シャドウのリーダーだった頃の矢車想から地獄兄弟長男になった矢車さんくらいテンションがだだ下がりだった…!そりゃあそうだよな。虚淵玄はなんだかんだで『鎧武』を完走できたけど、高寺成紀は『響鬼』途中降板だもんな…!『響鬼』は語りづらいな…!当時は荒れたからなァ~…。今でも争いがあるくらいだし。けど、最近は後半響鬼を擁護する声も増えてきたね。『大魔神カノン』や「ガンプラ破壊事件」などで高寺成紀が自ら株を下げたってのもあるんだろうけどw高寺成紀は東映退社後も平成仮面ライダーシリーズのインタビューに度々顔を出していたけど、こと『響鬼』の話となると口を紡いでいたから、ずっと彼の心情というか、『響鬼』への想いは興味があったのだ。驚いたのは、高寺成紀は『クウガ』だけでなく、『響鬼』に関しても井上敏樹に感謝していたことだった。後半の路線変更案として、安達明日夢を退場させるというのがあって、白倉伸一郎井上敏樹がそれに反対した、というのは知ってたんだけど、「おのれ敏鬼!俺の『響鬼』を滅茶苦茶にしやがって!」と鳴滝みたいに憤ってもおかしくないくらいなのにね(余談だが、『語ろう!555・剣・響鬼』にて、鳴滝の名前の由来が明かされたぞ!)

 『語ろう!555・剣・響鬼』にて、白倉伸一郎井上敏樹が「番組制作にて最も大切なもの」を各々一つずつ挙げていた。白倉伸一郎は「コンセプト」、井上敏樹は「志」だと。これは、自分が平成仮面ライダーを視る時に最重要視しているものなのでなんだか嬉しかった。『響鬼』はコンセプトはアレだったけど、志は高かったのかなと。高すぎたきらいがあるけどwでも、マジョーラの塗料は『カブト』にも採用されたし、ディスクアニマルは平成二期以降のサポートメカ枠につながったし、魔化魍は『電王』以降の巨大戦の先駆けとなった。だからその後の作品の発展には貢献してるのよね。一応。あと、「何をやったらダメなのか」という、反面教師的な側面もありつつw

 『クウガ』『アギト』『龍騎』『555』には、「コンセプトと志がある」という共通点がある。『クウガ』なら「ご都合主義の排除とリアリティの追及」×「非暴力の訴え」。『アギト』なら『サイボーグ009』「神々との闘い編」×「海外ドラマのような群像劇」。『龍騎』なら『13人の仮面ライダー』×「リュウ三部作」『番長惑星』×「9.11」。『555』なら石ノ森章太郎版『仮面ライダー』×「敵側の物語を描く」。といった感じだ。『剣』にはなかったねこういうのw平成二期の作品にはあんましこういった挑戦はない気がする。でも、虚淵玄も「関係者から、絶対に失敗できないプロジェクトだと言われた」と語っていたし、難しいんだろうな、今は。

 『鎧武』は、一応「コンセプトと志」はあるんですよ。石ノ森章太郎版『仮面ライダーBlack』が下敷きになっていて、「ブラックサンVSシャドームーンが如き、創世王を巡る争いを、多人数ライダーでやる」というのが『鎧武』の裏コンセプトだから。志は言わずもがな、虚淵玄の野望というか、執念よね。だから、『鎧武』で評価できるのはそこかな。『剣』はそれがなかったね!會川昇は顔晴ったけどね。

 『響鬼』は本当に語るのが難しいな…!自分自身の中でも答えがまだ出てないんよな…!この話は保留ということで(オイ)『ドライブ』に絡めて書くかもしれないです。

■買おう!『語ろう!555・剣・響鬼

 『語ろう!クウガ・アギト・龍騎』は話題の割に売れなかったと著者の谷田さんは言ってました…!それの反省か反動かはわからないけれど、今回の語り手たちはかなり話題先行型よねw「(株)KADOKAWA」社長井上伸一郎!『のだめ』の二ノ宮知子!「ラジレンジャー」の(そしてリュウタロスの)鈴村健一!『鎧武』の虚淵玄!『ウルトラセブン』のモロボシダンこと森次晃嗣!『555』の乾巧こと半田健人!『剣』の小説『たそがれ』も付いてる會川昇!そして最早説明不要の高寺成紀&白倉伸一郎井上敏樹!凄い面子だw

 でもそれによって『語ろう!クウガ・アギト・龍騎』の「ファン視点の本」というコンセプトと志は失われてしまったね。それが残念なところかな。勿論、『語ろう!555・剣・響鬼』は読んでて勉強になったし、暴露本証言本としての価値は高まったけど、「前半響鬼→後半響鬼」みたいな流れになっちゃったというか。でも、番組制作も本の出版も「金」のためにやっているわけだから、仕方ないのかなとも思った。みんな鬩ぎ合いの中で、各関係者の拮抗の中で物作りをしてるんだなぁ。

 敏鬼は「このシリーズはこれで終わりな気がするよ」と最後に言っていたけれど、可能なら『語ろう!カブト・電王・キバ・ディケイド』を出してほしいなぁ。平成仮面ライダーシリーズも『ドライブ』で16作目になって、多少世間一般に認知はされてきたけれど、それでもやはり「仮面ライダーって子供向けなんでしょ?」という固定観念を持っている人の方が大多数だと思うのよね。未だに「仮面ライダーはバッタの改造人間で~!」と言う人もいるし。もっと、「平成仮面ライダーが好きだ!」という著名人はいっぱいいると思うのよね。例えば、有名な俳優が「俺、最近の仮面ライダー好きなんだよね」とか言ったら、「○○さんが視てるの!?今度視てみようかな~♪」とファンがなるかもしれないじゃない?キムタクが「俺『ONE PIECE』好きなんだよ」と言ったらみんな買うみたいなさ。『語ろう!~』シリーズはそんなポテンシャルを秘めていると思うので、次回作を期待してますよ谷田さん!

■買おう!『語ろう!555・剣・響鬼』(二回目)

 これはクソオタクとしてのアドバイスだけど、この手の特撮関連本というのは、発行部数が少ない故に一度店頭から姿を消すと入手困難になることが多々あるので、もし迷っていたとしたら買った方がいいですよ。以前、欲しかった本を「今日は懐が寒いし、買うのはまた今度にしよう」と思って時が経ったら、絶版になっていたことがあったので…!『仮面ライダーブレイド超全集』に載っていた、『たそがれ』の原文も付いてるから!自分は平成仮面ライダーで一番好きなのは『555』と『ウィザード』だけど、一番好きな最終回は『剣』なのよね。後にも先にも、ライダーで泣いたもはこれが初めてだ…!ラストを視た後、『たそがれ』を読むと涙腺崩壊…!マジで皆さんご購入を!『語ろう!カブト・電王・キバ・ディケイド』のためにも!

[了]

※関連記事です。

『仮面ライダードライブ』2014年まとめ - 千倍王鷹虎蝗合成獣

『仮面ライダードライブ』序盤評 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

『剣』前半の軌跡と手役の錬金術師と後半の奇跡 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

『響鬼』『カブト』魔法の極光と億千万と日緋色金 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

Vシネマ『鎧武外伝 仮面ライダー斬月/バロン』感想 - 千倍王鷹虎蝗合成獣

対決!『鎧武』VS『仮面ライダー』 - 千倍王鷹虎蝗合成獣