読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『仮面ライダードライブ』序盤評(中編)

16_ドライブ

  『ドライブ』の年内(2014年分)放送が終わったので、序盤評をば。第01話「俺の時間はなぜ止まったのか」 から、第12話「白い仮面ライダーはどこから来たのか」 までの所感です。前編は『ドライブ』の良い所をメインに語ったけど、中編・後編は悪い所について(思った以上に増えてしまった…!)

※前編はこちらからどうぞ。

『仮面ライダードライブ』序盤評(前編) - 千倍王鷹虎蝗合成獣

■泊進ノ介とベルトさん

 泊進ノ介の主人公像は、三条陸曰く「ストップ&ゴー」ということらしいけど、このキャラ付けって失敗だったんじゃあないの?って思う。だって、親友を負傷させた負い目があるのに「考えるのや~めた」と思考停止したり、信じてた民間人が真犯人だったからといって「こんな時に熱くなんてなれるか!」とタイプワイルドに変身できなかったりと、「ここぞ!」という時にギアが入らないという設定はマイナスにしか働かないと思うんだがな。『鎧武』の主人公、葛葉紘汰も「キャラがブレブレ!」と散々叩かれてたけど、まぁ彼は百歩譲って「まだ子供だから…!」と許すことにしても、泊進ノ介は公職の警察官であり大人であるから、違和感バリバリなのだ。そしてベルトさんなんだけど、今回の『ドライブ』に関して言えば「喋るベルト」というのは失敗だったように思う。三条陸曰く、「『Knight Rider』の時代ならともかく、この21世紀は車が喋るのは当たり前な世の中だから、新鮮味がない!」ということでベルトを喋らせることにしたそうだけど、これによって「今回の仮面ライダー、別に車じゃなくてよくね?」という疑問をますます増すことになってしまったと思うんよね。あと、ベルトさんは逐次世界観設定を説明してくださるのは有難いんだけど、時に冷や水というか、だって、ドラマ映画アニメを見てる時、逐一「ここの演出は○○監督のこういう意図があってだね…」横から解説入ったら、嫌じゃない?(笑)視聴者が考える余地がないというか、興醒めよね。むむむ、なんか「■泊進ノ介とベルトさん」の項はふわふわしているな…!まぁ、これに関しては一年間通して視てから語った方がいいかもしれないな。

■どんより(重加速現象)

 『ドライブ』の世界における「どんより(重加速現象)」の認識がよくわからんくて俺の頭もどんよりだよッ!どうも、第12話まで視た限りだと、「"どんより"は周知の事実だけど、仮面ライダーと怪人の存在は絵空事・憶測の範疇に留まっている」という体(てい)で進行しているようだけど、特状課はいつの間にやら「"どんより"は怪人が引き起こしている!仮面ライダーもいる!」というスタンスになっている(三条陸は狡い男でね、さらっと流しちゃうんだよ、こういうところを!)じゃあ「上層部にどう報告してるんだよ!?」となるけどこの辺は暈かされてるし、一般人(ゲスト)の中には「最初から怪人の存在を知っている者」もいるしで(これは、怪人側が近付いた結果なんだろうけど)、「何がどこまで共通認識なのか」がものっそいアヤフヤで視ててモヤモヤするんよな…!それだったら「怪人が一般人に認知されている」「怪人は人知れず暗躍している」「情報統制が敷かれており、怪人の情報は揉み消されている」と、「認識されている/されていない」でスパッと切り分けてほしい。寧ろ、「細けぇことはいいんだよ!」で貫き通してもらった方が、まだ清々しいよ。実に中途半端。

 戦闘シーンでも「どんより(重加速現象)」が活かされてるとは言えず…!以前も書いたけど、『カブト』のクロックアップだと「普段通りの時の中、超高速で動けるカブト、凄い!」ってなるけど、『ドライブ』の場合は「超低速の時の中、普段通り動けるドライブ…凄いの?」となって、最終的に視聴者の目に映るのは"超高速で動くカブト""普段通り動けるドライブ"ということになって、「ドライブ、別に凄くねぇじゃん!」という帰結になってしまうのだ。なんか「"どんより"が起きてるのか起きてないのか曖昧な戦闘シーン」も多いし(特に魔進チェイサー戦)、「撮影に予算と手間がかかる割に番組の売りとなっていない」印象。一番インパクトがあったのが巨匠のギャグ演出ってどういうことなんだよ…!

■特状課(特殊状況下事件捜査課)

 なんだかこのサイトではたびたび『フォーゼ』をディスってる気がするけど(ファンの人がいたらごめんなさい…!)、それは塚田英明の作風と自分の倫理センサーが時折合わなくて、拒否感を示すことが多々あるからで、一話一話の作劇のクオリティが高いことは認めてはいるんですよ。特に、『フォーゼ』の序盤、第01話「青・春・変・身」~第16話「正・邪・葛・藤」まで、いわゆる「ライダー部結成編」は秀逸だったと思う。以下、『フォーゼ』公式読本からの引用。

――でも、その1クールかけてライダー部結成に至る展開こそ、『フォーゼ』のシリーズ構成の妙というか。そのプロセスで各キャラクターに対する理解も深まり、弦太朗のキャラクターも浸透し、最後まで観終わって改めて振り返ると、あの1クール目が相当効いてるなとしみじみ思いました。
塚田 『電王』ってイマジンを前後編で一人ずつ順に描いていったじゃないですか。それでモモタロスを含めて8話分引っ張れるというのは上手いやり方だなと。そこは『電王』を観たときに思っていて、やっぱり戦隊ってそれができないんですよね。5人それぞれに一人ずつ増えていきましたというのをやれば絶対面白いなって思うんだけど、いきなりバーンと全員出してロボもバーンと出してというふうにやらないとあれはダメなものなので。むしろそこは、あくまで弦太朗が主人公の物語であり、別の見方をすると仮面ライダー部というチームが主人公の物語でもある、という組み立てが成立するライダーだからこそできることなんですよ。
(塚田英明『仮面ライダーフォーゼ公式読本 FOURZE GRADUATION』より)

 何気に塚田英明は、『電王』のフォーマットを参考に『W』も『フォーゼ』も作っており、序盤の出来の良さっぷりはずば抜けている。以下、『フォーゼ』の第01話~第12話をまとめてみたので振り返ってみよう。

●第01話「青・春・変・身」第02話「宇・宙・上・等」
・如月弦太朗(主人公)と、城島ユウキ(ヒロイン)の掘り下げ回。
・天ノ川学園がアメリカンハイスクール風な高校であることを描写。
・主人公がトラッシュでヒロインがギーク(オタク)なことを描写。
・番組コンセプトが「宇宙×学園モノ」の掛け算であることを描写。
●第03話「女・王・選・挙」第04話「変・幻・暗・躍」
・風城美羽(クイーン)掘り下げ回。この回でライダー部の部長へ。
・クイーンフェスで彼女が学園のカリスマ的存在であることを描写。
●第05話「友・情・表・裏」第05話「電・撃・一・途」
・神宮海蔵(情報通)の掘り下げ回。友情に懐疑的である事を示唆。
・スラッカー(遊び人)パーティ開催で交友関係が広いことを描写。
●第07話「王・様・野・郎」第08話「鉄・騎・連・携」
・大文字隼(キング)の掘り下げ回。以降パワーダイザー操縦者に。
アメリカンフットボール部の主将かつQB。父親との確執を描写。
●第09話「魔・女・覚・醒」第10話「月・下・激・突」
・野座間友子(ゴス子)掘り下げ回。オカルティックな才能を発揮。
スクールカーストの負の一面とそれに打ち勝ち克服する姿を描写。
●第11話「消・失・月・戸」第12話「使・命・賢・命」
・歌星賢吾(副主人公)掘り下げ回。何気に城島ユウキ回でもある。
・ライダー部メンバー全員大活躍!これをもって、ライダー部完成。

つまり、主要登場人物を描くことが舞台装置である天ノ川学園を描くことになっているし、学園のイベントを描くことが、メインキャラクターを描くことに繋がっているのだ。

 かたや、『ドライブ』の特状課の面々はどうかというと、
・電子物理学者でメカニック担当!…らしいがハンドル剣やドア銃を持ってくるだけで開発している様子は一切見せない沢神りんな。
・ネットワーク研究家でハッキングも可能!…らしいがパソコンカタカタただネットサーフィンしてる風にしか見えない西城究。
・警視庁捜査一課から協力連絡員として派遣されている現役バリバリの刑事!…らしいが「俺はどんよりなんて信じないぞ!」⇒「俺はついに、仮面ライダーの顔を見たんだ!」と立ち位置がよくわからない追田現八郎。
・最早説明不要ッ!全てが占い任せの本願寺純。
と、なんか凄いのか凄くないのか、ただの変人なのかそうでないのか、今一よくわからん!特に現さんのキャラ描写は酷いね。ただの頭のおかしい人にしか見えないよ、あれじゃあ。

 『フォーゼ』だと、例えば「学園の生徒と談笑しているJK」のシーンを入れるだけで「嗚呼、JKは顔が広いんだな」とわかるし、「取り巻きを連れてる大文字先輩」の描写を1カット入れるだけで「嗚呼、大文字さんはこの学園のトップなんだな」と印象付けられるんだけど、特状課の面々は薄いんだよな~!なんか、「ただの賑やかし」「説明役」になっちゃってるというか。

 でも、霧子ちゃんは可愛いと思います(オイ)

■シフトカーとタイヤコウカン

 いくらなんでもシフトカー多すぎだろ…!しかも、今までの平成二期作品だと、

(1)『W』…ハーフチェンジ
⇒風・技・熱・鋼・月・銃と、ガイアメモリが変われば属性(タイプ)も戦闘スタイルも変わる!
(2)『OOO』…コンボチェンジ
⇒鳥類・昆虫・猫科動物・重量級・水棲生物と、属性(タイプ)は豊富かつ、各コンボによって戦闘スタイルが変わる!(ガタキリバコンボなら蟷螂拳など)
(3)『フォーゼ』…モジュールチェンジ/ステイツチェンジ
⇒40種類のアストロスイッチは、一つ一つが独自の属性(タイプ)・戦闘スタイルを持つ!
(4)『ウィザード』…スタイルチェンジ
⇒火・水・風・土と、属性(タイプ)ごとに戦闘スタイルが異なる!(ランドスタイルなら地功拳など)
(5)『鎧武』…アームズチェンジ
⇒属性(タイプ)は言うまでもなく果物で、各アームズごとに専用武器が用意されているため、必然的に戦闘スタイルが変わる!

と、属性(タイプ)と戦闘スタイルに差異化が図られているんだけど、タイヤが変わったとて殺陣に変わり映えがないし、どのタイヤになって攻撃しても敵が受けるリアクションにあまり変化がないのよね。能力バトル漫画を謳っていながら結局はただの殴り合いみたいな、ヘタクソな漫画を読んでいる気分になる。『ドライブ』は。

 ここで、『フォーゼ』の第01話~第12話をもう一度振り返ってみよう。

●第01話「青・春・変・身」第02話「宇・宙・上・等」
・ロケット×ドリルで必殺技。
・レーダー×ランチャーで必殺技。
・チェーンソーは有用な攻撃手段。
・パラシュートで宇宙から帰還。
●第03話「女・王・選・挙」第04話「変・幻・暗・躍」
ホッピングで主人公の男気を描写(役に立たないもンはねェ!)
・マジックハンドでクイーンを救助。
●第05話「友・情・表・裏」第05話「電・撃・一・途」
・ビートとチェーンアレイを捻じ込む(販促)
・エレキステイツ登場(剣には剣を)
●第07話「王・様・野・郎」第08話「鉄・騎・連・携」
・スモークとスパイクとウインチとシザースを捻じ込む(販促)
・パワーダイザーをキングが操縦し大活躍。
●第09話「魔・女・覚・醒」第10話「月・下・激・突」
・フラッシュとカメラとシールドとガトリングを捻じ込む(販促)
・ファイヤーステイツで主人公の男気を描写(俺は全てを受け入れる!)
●第11話「消・失・月・戸」第12話「使・命・賢・命」
・物体操作の能力者に対抗して、ステルス。

と、まぁ半ば強引に捻じ込んだスイッチもあるにはあるけれど(笑)、前述した作劇と絡めたり、「このゾディアーツの能力に対してはこのスイッチだ!」というのがけっこう密に考えられていて、『フォーゼ』はアイテムの登場と出番に必然性があるのだ。「カメラ・シザース・フラッシュあたりは要らなくねw」と思いつつも、これらはちゃんとフードロイド(バガミール・ポテチョキン・フラシェキー)の起動スイッチとしての役割もあるので『フォーゼ』あなどれん…!

 『ドライブ』のシフトカーは「ドラマと連動させる」というのが出来てないんよなぁ。ドリームベガス&ディメンションキャブの話はなかなかウルッときたけど、それくらいじゃない?まぁ平成一期(特に井上敏樹脚本)よりは顔晴ってると思うけどさw三条陸は「販促職人」として崇められることが多いけど、実際は『W』や『フォーゼ』のチーフPたる、塚田英明によるところも大きかったんじゃない?と、『ドライブ』を見てて思いました。

 中編はここまで。後編はいよいよ本題に切り込みます。「車」についてだ…!

[続]

※続きはこちらからどうぞ。

『仮面ライダードライブ』序盤評(後編) - 千倍王鷹虎蝗合成獣