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千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル』感想

 『ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル』を観てきました。本当だったら公開初日に行ってたはずなのに…!以下、劇場版だけでなく、『ドライブ』&『鎧武』本編のネタバレも含むのでご注意を。

↓公式サイトです。

仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル

■神と神

 まずは『鎧武』パート『進撃のラストステージ』から。今回の敵は「メガヘクス」。『鎧武』第46話「運命の勝者」にて、主人公葛葉紘汰とヒロイン高司舞が移り住んだ惑星へ突如出現した機械生命体だ。メガヘクス自体も過去にヘルヘイムの森の侵略に遭っており、彼らは「全生命体と惑星を機械化することで脅威に打ち勝った」という設定。最終目的は、知的生命体が繁栄している数多の惑星と「融合」し、より完全な存在へと進化すること。メガヘクスは紘汰と舞の惑星だけでなく、地球をも融合しようと目論む。『鎧武』パートの脚本を担当したニトロプラス鋼屋ジンは、本作の敵に「空から来た災厄」を据えた理由をこう述べている。

――夏の劇場版、テレビシリーズの最終回を経て、今回はその最終回の後日談ということですが、お話作りはどのように?
鋼屋 『鎧武/ガイム』の締めくくりとなる映画に相応しい敵って、どんな存在だろうかと考えていく中で、人類のようにヘルヘイムの侵食を乗り越えた種族が他にもいたとしたら…と。そこで生まれてきたのがメガヘクスです。この種族は紘汰とは真逆で、「個」というものを消滅させる形で生き長らえることを選んだ。でも、果たしてそれは正しいのか、というのがテーマですね。
鋼屋ジン『MOVIE大戦フルスロットル』パンフレットより)

 つまり、神となった紘汰の敵になるのは、同じく神しかいないと。……まぁ確かに、あの最終回の後で『鎧武』の世界の脅威になりうるのは、宇宙人か科学生命体か魔人か神くらいしかいないよな(笑)脚本家鋼屋ジンも、監督柴崎貴行も、ムービー大戦の『鎧武』パートを成立させるのに頭を悩ませたようだ。

鋼屋 ただ、困ったのは最終回の後だと地球側で戦える人がいないんですよ(笑)。いつも虚淵(玄)の作品はそうなんですが、キレイに終わらせるので、戦極ドライバーも最終回までに、念入りに壊していた。そこまでしなくても、というぐらいに…。だから、光実しか変身できないというところから始まります。そのうえで、兄の貴虎にスポットを当てようというのは、わりと自然な流れで決まりましたね。テレビの最終回がミッチを救済する話だったので、今度は貴虎を補完しようと。
鋼屋ジン『MOVIE大戦フルスロットル』パンフレットより)

――最終回の展開を受けているので、いちばん多い時期に比べてキャラも減っているし、何より戦極ドライバーがないという…。
柴崎 それが現実なので、どうすべきかという議論はありました。ただ、パラレル的な設定も、すでに夏の劇場版でやっているでしょう。だから、それをまたやっても仕方ないし、お客さんが観たいのは、あれからみんながどうしているのか、というところだろうと。だから、その方向で組み立てていったんです。呉島兄弟、特に貴虎にスポットが当たるのも自然の流れですね。最終回が光実中心の話になっていたので。
(柴崎貴行『MOVIE大戦フルスロットル』パンフレットより)

 というわけで、『鎧武』パートにてスポットが当たるのは、光実&貴虎、呉島兄弟だゴッド紘汰は、開始数分でメガヘクスにやられちゃうからねw

竜虎相搏つ太陽と月

  「虚淵玄は平成仮面ライダーファン!」と巷で言われているけれど、虚淵玄が一番好きな仮面ライダーは、『クウガ』でも『アギト』でも『龍騎』でも『555』でもなく実は『BLACK』だ。以下、『語ろう!クウガ・アギト・龍騎』より引用。

――では、仮面ライダーの本格的な入口は『BLACK』?
虚淵 ええ。『RX』は全部は見てないんですけど、もとの『BLACK』はかなりグッとくるものがありました。BLACKとシャドームーンのどっちが勝ってもゴルゴムの勝ちっていう、あの閉塞感というか、ノーフューチャーぶりにシビれましたね。悪の組織と戦っているつもりでも、そもそも自分が悪の組織の後継者らしいという南光太郎のジレンマ、あれは熱かったです!
 コミック版だと、仮面ライダーは生き残っているんだけど、勝ったのはBLACKなのかシャドームーンなのかわからなくて、「結局、勝ったのはどっちよ?」ってオチになってたじゃないですか。あれはテレビの最終回よりさらにシビれましたね(笑)。
虚淵玄『語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

――虚淵さんの作品でも『ブラスレイター』はデモニアックという怪物になってしまう人間の恐怖や悲劇を描いた作品でしたし、『まどか☆マギカ』にしても魔女になってしまう怖さを描いた物語でした。人間が怪物になってしまう恐怖は、虚淵さんの作品でも非常に重要なテーマになっていますよね。
虚淵 まさにそれこそが、自分が子供の頃に感じた仮面ライダーという作品の醍醐味じゃないかなって気がするんですよ。「いやだ、いやだ」と言いながらもブラックサンになってしまった光太郎から、中学生の自分が感じ取ったものというか。ライダーになるのって嫌なことなんだな、怖いことなんだなっていうのは、自分にとっては『BLACK』の頃から刷り込まれた原点なんでしょうね。
 それを受け入れたうえで戦っていくっていうのが、まずはライダーの基本フォーマットなのかなって思いはありますね。そういう記憶が今も無意識に残っているのかもしれないですね。
虚淵玄『語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】』より)

 『BLACK』のストーリーを超ざっくり説明すると、「悪の秘密結社の後継者争い」だ。つまり、主人公「南光太郎(ブラックサン)」とその親友「秋月信彦(シャドームーン)」(※二人は義兄弟でもある)の、どちらが「暗黒結社ゴルゴム」の支配者「創世王」になるか、というのが物語の骨子。『鎧武』は謂わば、「多人数ライダー版『仮面ライダーBLACK』」なのだ。劇中の、「ヘルヘイムの森に選ばれる」「禁断の果実を手に入れる」といった台詞からもそれが伺えるね。

 虚淵玄は登場人物のネーミングにかなり凝ってたけど、呉島兄弟にもカラクリがあって、
・呉島『光』実/仮面ライダー『龍』玄
・呉島貴『虎』/仮面ライダー斬『月』
と、彼らは変身前と変身後の名前に竜虎相搏つ太陽と月」という構図というか宿命が組み込まれている。つまり、呉島兄弟は平成版南光太郎/ブラックサン」VS「秋月信彦/シャドームーン」なのね。だから、『鎧武』36話「兄弟の決着!斬月VS斬月・真!」の展開はある意味必然だったわけ。

 それにしても、まさか呉島兄弟が最後まで生き残るとは思わなかったなァ…。

■贖罪!そして未来へ

 自分は、呉島光実は絶対に死ぬと思ってたんですよ。というか、メインライターが井上敏樹だったら、絶対殺してたね(笑)だって、『クウガ』のゴ・ジャラジ・ダも「こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーッ!」と吐き気をもよおすくらいの邪悪だよ黒ミッチはwまぁでも、「あえて殺さないというのも、一つの手かな」と、最近は思い始めた。以下、『WARNING FRUIT COCKTAIL』での、虚淵玄の発言。

虚淵 初期のインタビューで答えたことなんですけど、「悪の力を正義に変えていくのが『仮面ライダー』のテーマでしょ」って、自分で言った言葉を反芻しているうちに、光実が持って生まれた"悪人の感性"というのも一つの才能であり、言ってみれば仮面ライダーのベルトのようなもんじゃないのかという気がしてきたんです。だから、その力の使い道を変化させていくというのはアリかなと。光実は子供のキャラクターだったこともあって、その悪人の感性を目的意識をもって使ってるというより、むしろ持て余してるんじゃないかと感じてからは、その才能を別の方向に向けることでちゃんとした仮面ライダーになることこそが「変身」なのではないか?と考えるようになったんです。
虚淵玄仮面ライダー鎧武/ガイム公式完全読本』より)

 『鎧武』パートの冒頭で、女神舞ちゃんがメガヘクスに捕まって幽閉されちゃうんだけど、ちゃんと助けに駆けつけるんですよローズアタッカーに乗って龍玄が!なんかここは、素直に「よかったなミッチ…!」とほっこりしたぜ…!舞ちゃん死なせたのはミッチと言っても過言ではないからね。最後に彼女を救うことができて、贖罪を果たせたのではなかろうか。まぁ本当に舞ちゃんを殺したのは戦極凌馬だけどwプロフェッサーも、メガヘクスに取り込まれて、メカ凌馬としてニーサンの前に立ちはだかる。変身アイテムは『ドラゴン』フルーツエナジーロックシード」で、ここでもまた呉島貴『虎』と「竜虎相搏つ」構造となっているのが上手い。呉島兄弟の共闘は、謂わば仮面ライダーブラックとシャドームーンが手を取り合ったら」という21世紀のシミュレーションなのだ。

 そんなわけで、『鎧武』パートは大変満足な出来だったのでした。鋼屋ジンがホンを書いたからよかったのかな?客観的に登場人物を見れたのが勝因だったのかなと。何気に自分は『鎧武』でも鋼屋ジン脚本回の方が楽しく見れたんだよなァ。虚淵玄担当回よりストレス無く見れた。だから、彼が手掛けた『鎧武』の夏映画『サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!』も個人的には平成仮面ライダーシリーズの劇場版の中で五本指に入るくらい好きなんだけど、コケちゃったね、アレ(汗)なんだかデジャヴな感じだけど気にしない!

■ジュ~シィ~!フゥルスロットルゥ~!

 そんなこんなで三条陸担当分の『MOVIE大戦フルスロットル』パートに移るんだけど、とりあえず紘汰と舞の神様パワーで押し切った感があるねw『電王』や『ディケイド』は、他作品とのクロスオーバーを成立させるための舞台装置として使われるけど、『鎧武』もそれに加わるかも。いざとなったら、神様紘汰にクラック開けてもらえばいいんだよwこれで来年以降のムービー大戦は困らないぜ!

 今回の映画で賞賛すべきは「CGのクオリティが上がっていた」こと。今までのムービー大戦だと、「あ、CGパートに切り替わっちゃった…!日本のCGショボイな~!」とガッカリすることが多かったんだけど、今作はそんなこと微塵も感じなかった。

 『鎧武』本編でも、
・第11話「クリスマスゲームの真実」でのスイカアームズ空中戦
・第20話「世界のおわり はじまる侵略」でのフェムシンムの廃墟
・第23話「いざ出陣!カチドキアームズ!」でのカチドキアームズ無双
・第32話「最強の力!極アームズ!」でのユグドラシルタワー壊滅
・第34話「王の力と王妃復活」でのロシュオのミサイル止め
・第35話「ミッチの箱舟」でのヘルヘイムの森に侵略される世界
・第39話「決死のタワー突入作戦!」での極アームズのウェポン大量召喚
・第45話「運命の二人 最終バトル!」での鎧武とバロンの対決
など、CGを駆使した演出は多々あり、正直本編を視聴している時は虚淵玄、無茶な脚本書くなぁ~!」と呆れてたんだけど、こうして難しい表現に挑戦することで、技術の蓄積が『MOVIE大戦フルスロットル』に繋がったのかと思うと、『鎧武』は決して「失敗」だけではなかったのかなと考えを改めました。

 いや~!今回も柴崎貴行監督はいい仕事してくれたね!スタイリッシュバトルのオンパレードで、怒涛の100分間でした。最終決戦での、泊進ノ介/ドライブ&葛葉紘汰/鎧武の掛け合いも笑わせてもらったwムービー大戦シリーズも本作で6作目だけど、個人的に歴代1位だと思ってます。ほんっと面白かった!未視聴の方は是非ご覧になってください。

 え?『ドライブ』パートの『ルパンからの挑戦状』はどうだったかって?そつなく作ってあったと思います!

 え?『ドライブ』第0話はどうだったかって?これね、まだ見てないんスわ!別途感想記事上げます。

 え?『ドライブ』第10話の感想は無いのかって?ごめんなさい今日書けなかったんや~!今週中には書きます!

[了]

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