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千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『ドライブ』感想:第02話「仮面ライダーとはなにか」(後編)

仮面ライダードライブ』の感想です。以下、ネタバレ注意。

第02話「仮面ライダーとはなにか」
脚本:三条陸 
監督:田崎竜太
*↓東映公式サイト
http://www.toei.co.jp/tv/drive/story/1204331_2223.html

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なんと第02話にして前後編!前回の続きです。

■泊進ノ介

 いくらなんでもやる気出なさすぎだろ!第01話のあの決意は何だったんだ…。

 おそらく、主人公の「やる気のないサボリ魔」というキャラ付けは、仕事中に仮面ライダーとして戦わせるための設定なんだろうけど(「アイツ、またサボってんな~!」→「実は怪人倒してました!」みたいな)、ちと描写がクドいような…。三条陸的には「トラウマを持っていながらも前に進もうとする」という成長物語にしたいようだが、どうも「トラウマを抱えている」部分よりも「やる気がない」「サボリ魔である」という側面ばかりが目立つ。「動き出したくても動けない」じゃあなく、「完全に停(止)まっちゃってる」のがな~。役者経験の浅い竹内涼真君が、その部分を汲み取れていない、というのもあるんだろうけど(別に、新人俳優使うな!とか言ってるわけではない。毎度のことだから。)

■特状課(特殊状況下事件捜査課)

 特状課のメンバー(詩島霧子、沢神りんな、西城究、本願寺純)には特に問題を感じないけど、捜査一課の追田現八郎の「重加速現象の存在を否定している」というキャラ付けは失敗だと思う。自分は第01話の感想で「重加速現象(どんより)自体は認知されているけれど、怪人と仮面ライダーの存在は憶測 / 絵空事の域に留まっている」と書いたけど、どうやら現さんは後者だけでなく前者も認めないらしい…。そ、そんな馬鹿な…!「グローバル・フリーズ」は後に歴史の教科書に載るくらいの事件だし、「どんより(重加速現象)」用のスマホアプリもあるくらいなのに、それでもなお「俺は認めない!信じない!」というスタンスを採られてしまうと、ただの頭のおかしい人としか視聴者に受け止められないのでは…?「怪人が重加速現象を引き起こしてる?馬鹿も休み休み言え!」っていうのならまだわかるけど…(だって、「9.11のテロや3.11の震災は、怪人が引き起こしたものだったんだよ!」って言う奴がいたら、「不謹慎!」「薬飲んでる?」っていう反応になるでしょ?w)

 あと、「仮面ライダードライブと怪人ロイミュードの正体を知ってるのは主人公とヒロインと変身ベルトだけ」という設定は絶対足枷になると思う。捜査一課の現さんはともかく、特状課所属者だけは知っててもよかったのでは…?今後、徐々にみんな知っていくのかもしれないけど。

■刑事ドラマ

 第02話で一番お粗末に感じたのは、「脳細胞がトップギアだぜ」と、事件の真相を掴み、説明するシーン。長台詞の羅列でダーッと進んでいったけど、全然説得力がなかったし、こちらも納得できなかった。とんとん拍子に特状課の面々が事件解決に向かっていく様は、予定調和を通り越して最早茶番。制作発表では「警視庁の刑事を主役にすることで『謎解き』と『事件解決』という『刑事ドラマ』の要素をプラス。子供たちだけでなく、幅広い層が楽しめる作品を目指していく」と謳っていたけれど、その肝である「謎解き」の部分がおざなりだと、大人の視聴者は離れていっちゃうぞ…?

 以下、謎解きのシーンの会話の抜粋。

泊進ノ介「殺人未遂事件っていうのがそもそもの間違いだったんですよ。この人たちは全部外れだ。益田信夫、この人は当たりだった。だからさらわれて顔をコピーされたんだ。」
沢神りんな「人体が目当てだったってこと?」
泊進ノ介「そのとおり。犯人は優れた健康な肉体を求めてる。現場に残されていったのは外れと見なされた人たちばかり。あの赤い肌は、失格の烙印なんだ。」
西城究「ど…どうしてそんなことわかったんだい?」
泊進ノ介「おとといの被害者。あの2人のそばに落ちていたゴミだ。どっちも薬を入れるものだった。1つ目は風邪薬の包み紙。もう一つはアレルギーの薬の台紙の裏地。」
詩島霧子「体調が万全でないと判断した者はその場に放り捨てられた。それが被害者たち?」
泊進ノ介「俺たちが連続殺人だと思っていたのは誘拐事件の食べ残しだったんだ。放っとくと人間がさらわれ続ける!」

 せ…説得力あるかこれ!?確かに、我々視聴者は「怪人が益田信夫の顔をコピーした」「怪人が被害者を赤色化した」「怪人は人間の姿に化けて人間を襲う」という、超人的な力を主人公&ヒロインと一緒に目の当たりにしてるからまだわかるけど、その現場を目撃していない、ましてや「怪人ロイミュードの存在を知らない」第三者が果たして納得するか、これで!?しかも「顔をコピー」とか「赤色化」に関しては何気にスルーだし…。一般人が易々とできることじゃあないでしょ?人間業じゃないもんもう!

 『W』は「探偵ドラマ」だったけど、その「謎解き」の部分には重きを置かなかった。その説明に説得力を持たせ、視聴者を納得させるのは相当困難だからね。そこで発明したのが主人公フィリップが持つ「地球の本棚」。もう一人の主人公、左翔太郎が舞台の風都で調べるのは「キーワード」まで。謎解きは、全て「地球の本棚」任せである。こうなったらもう視聴者は納得せざるをえない。だって「地球の記憶が全て詰まっている本棚」で調べるなんて言われたら、人知を超えてるし、諦めざるをえないでしょ(笑)しかも、「地球の本棚を持つフィリップに、左翔太郎が風都で調べたキーワードを伝えると、事件解決の糸口が一冊の本に集約される」というのは、我々が「本屋や図書館の検索機に書名や著者名、分類を入力し、目的の本を探す」というプロセスと一致しているので、意外にすんなり受け入れられるのだ(しかもご丁寧にイメージ映像付きだし!)

 これは、昭和の仮面ライダーの脚本を数多く手掛けた、伊上勝の手法に似てるかもしれない。その方法論を、息子たる井上敏樹(!)はこう分析している。

 父の作劇法の第一の特徴はその省略の仕方にある。(中略)たとえば刑事が犯人の隠れ家を探す場合、刑事はいきなりその隠れ家に現れる。なぜそこを突き止めたのかの経緯は一切説明されない。そういった手順を描く事は父にとってつまらない事であり、そのつまらない事を面白くひねろうなどとは考えなかった。そんな暇があるならば、刑事と犯人の直接対決をもっと長く書いたのだ。ただし、どうしても説明が必要な場合はセリフで処理した。しかも恥ずかしげもない思い切りの説明ゼリフで。なぜならそれは説明であり、父は説明を説明と割り切っていたのだ。
井上敏樹伊上勝評伝 昭和ヒーロー像を作った男』より)

 その、「恥ずかしげもない思い切りの説明ゼリフ」に説得力を持たせるための装置が『W』の「地球の本棚」。『W』もまた、「謎解き」の部分よりかは、仮面ライダーWと怪人ドーパントの直接対決を重点的に描いているし。「犯人の正体」「犯人の居場所」「犯人の動機」などは、全て「地球の本棚」が解き明かしてくれる。これはけっこう潔いw『ドライブ』の場合そういった舞台装置が無いから、脚本家は毎回「謎解き」の部分を考えねばならない。これは頭を抱えると思うよ。

 Cパートも気になったな~…。以下、事件解決後のシーンの会話の抜粋。

追田現八郎「誘拐された人間を助け出したけど、こんなのどう調書に書いたらいいんだよ!?」
沢神りんな「そんなことより、怪物を追っ払ったっていう謎の戦士の話のほうが気になるわよね~。」
西城究「ですよね~りんなさん。画像ほしいな~!」
沢神りんな「ほし~。」

 こ…これで済ましちゃうのかよ!なんか雑じゃね!?こういう部分を疎かにしちゃうと、「所詮、仮面ライダーは子供騙しよ…!」とお父さんもお爺さんもそっぽを向いちゃうと思うんだがな~。チビッ子のお母さんとお婆ちゃんは「泊進ノ介クン可愛いわね~!」とその一点だけで見てくれるかもしれんがw『W』の場合は「ガイアメモリ(ドーパント)犯罪」が一般人にも警察にも知れ渡っているから、逆に事件報告の部分は描かなくて済むようになってるんだけど、こういった細かい部分から徐々に歪みが生まれていくと思う。

■平成仮面ライダー

 『ドライブ』でパイロット版を撮った田崎竜太監督は特撮情報誌でこんな発言をしている。

――『鎧武/ガイム』からの続投となりましたが、今回の『ドライブ』で意識されたことは何でしょう?
 自分たちが作った作品のコピーにはしないことです。初期の平成ライダーは昭和から続く『仮面ライダー』の持つ根強いイメージ=既成概念を壊しながらも、その時々の視聴者が求めるヒーロー作品として成立させてきたんですよ。ですが、今度は視聴者の中にも作り手の中にも「平成ライダーはこういうものだ」という「平成ライダーの伝統」のようなイメージが出来上がってしまう。特に作り手側は自分のお気に入りや自信作の焼き直しのような作品を作ってしまうという罠が口を開けます。それでは過去の作品の「縮小再生産」に過ぎません。『仮面ライダードライブ』は『ディケイド』までを1期として平成ライダー2期の6作目です。先ほどお話しした「縮小再生産」にならないよう「平成ライダーの伝統」という既成概念の壁を壊すことを目指しました。
田崎竜太『宇宙船 vol.146』より)

 これは暗に『鎧武』を批判しているものだと思うが(笑)、しかし『ドライブ』もまた過去作品がちらつくんだよな~。具体的には『カブト』と『W』。そして、「この二作品との差異化を図らねば!」ということで、違うこと、真逆のことをやろうとしてるんだけど、どうもそれによって新たな綻びが生じてしまっているように見える。

 『ドライブ』は、下手すると『響鬼』のように路線変更を余儀なくされたり、『カブト』のように迷走する危険性がある。まぁ、まだパイロット版が終わっただけだし、杞憂で終わればいいんですが…。

 セカンドパイロット回は柴崎貴行監督が登板するようで。個人的に好きな監督の一人なので、第03・04話は今から楽しみです。

[了]

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