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千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『ドライブ』感想:第02話「仮面ライダーとはなにか」(前編)

仮面ライダードライブ』の感想です。以下、ネタバレ注意。

第02話「仮面ライダーとはなにか」
脚本:三条陸 
監督:田崎竜太
*↓東映公式サイト
http://www.toei.co.jp/tv/drive/story/1204331_2223.html

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 あ、あれ…?なんだかお粗末だぞ…?

 というか、第01話はけっこう楽しく見れたんで、多少の突っ込みどころには目を瞑っていたのだけれど、第02話にしてその「気になってた点」が露骨に表れ始めたので、今回はそこについて重点的に書きます。

■車

 そもそも今回の企画、モチーフが「車」である必要性が無いよね、今のところ…。タイヤコウカンなら自動二輪車だって可能なわけだし、シフトブレスに装填するアイテムも、ミニカー(シフトカー)でなくとも全然問題ない。鳥だって昆虫だって猫科の猛獣だって重量級の動物だって水棲生物だって恐竜だって爬虫類だっていいわけだ。例えば、こんな内容だったら如何だろうか。
(1)敵は機械生命体!重加速現象(どんより)を引き起こして環境破壊を行っている!
(2)昆虫は地球上で最も繁栄に成功している種族!故に重加速現象の影響を受けない!
(3)仮面ライダーは昆虫の力を秘めた機械生命体を使い、大自然を守るべく戦うのだ!
"昆虫の力を秘めた機械生命体"=「シフトバグ」とかそんな感じにすると。うん、ちゃんと原点に立ち返ってるな!(←自画自賛)と、ここまで書いといてアレだけど、これじゃあ『カブト』と被るな…!(オイ)

 どうやら「バイクに乗らず、車を運転する仮面ライダー」というコンセプトを発案したのは東映サイドらしい。大森敬仁チーフプロデューサー(以下、大森P)自ら提案し、ほぼ満場一致で決まったという。大森P曰く『ドライブ』でやりたい事を一言で表現すると「カッコいい車に乗ったカッコいい仮面ライダーが見たい」というもの。つまり、完全に「車ありき」で番組制作が始まってるんだけど、どうもパイロット版を見終えた時点では、「車じゃあなくてバイクでもいいんじゃない?」感が拭えないなぁ…。「凍りつく時間の中動けるものといえば⇒車!」という発想イメージなんだろうけど、バイクだって動くものだし。大森Pは「人間とマシンが共闘する"仮面ライダー"の原点に立ち返り、そのルーツをも描き出す」と謳っているけれど、それも「仮面ライダーが車に乗ること」を正当化させるための方便にしか感じられんのよなぁ…。「電車は子供にとって最も身近な乗り物だから選んだ!」という白倉伸一郎(以下、白倉P)の言い訳の方が、まだ説得力があるよ(笑)

 『電王』の場合、作品に「時間」の要素を盛り込んだことで、モチーフが「電車」である必要性を増すことに成功している。鉄道というのは行先、停車駅、到着・発車時刻、普通・急行・快速・特急列車の運行時間など、いわゆる「ダイヤ」が決まっている。鉄道会社・利用者にとって、乗客の急病、喧嘩や痴漢、接触・人身事故、台風や地震などで遅延が発生することは一大事である。つまり、『電王』における「時の運行を守らねばならない」という設定は、現実世界における「ダイヤは乱してならない」という認識と、本質的に一致してるわけ。「前の駅・今の駅・次の駅」は、「過去・現在・未来」に通じる所があるしね。フィクション作品においてタイムトラベルするための乗物は「船/潜水艦」の形状が選択されることが多いけど、電車の企画を成立させるために「時間旅行」の設定を取り込んだ白倉Pの発想には脱帽するしかない。

 先程、「『ドライブ』の企画はほぼ満場一致で決まった」と書いたけど、"ほぼ"と書いたのは反対した人間がいるから。誰かというと今回メインライターを務める三条陸。「ただ、乗物をバイクから車に変えただけだと、視聴者を掴むには弱い」ということで、三条陸は「喋るベルト」「重加速現象(どんより)」「タイヤコウカン」等などのアイデアを編み出していった。けどまだ弱い!『ナイトライダー』は車が喋るわけだけど、だったら「バイクが喋る」とかでも良かったんじゃあないの?(『キノの旅』のモトラドエルメスみたいに)別に、「こんなの仮面ライダーじゃない!」とか言ってるわけじゃあなくて、車に乗ったっていいんだけど、そこに「必然性」がほしい。じゃあないと、本当に「ただバイクから車に乗り換えた"だけ"」の、新鮮味も面白味もない無味乾燥な作品になってしまうと思うこのままだと。

■トライドロン

 か、カーチェイスのシーンがショボかった…!ここが『ドライブ』一番の売りなんじゃあないのか…?ショボ~ンでしょ(←本願寺風)

 トライドロンの撮影はけっこう大変なようで。以下、パイロット監督田崎竜太のインタビューより。

 昭和の時代ではナンバープレートの付いていない車を公道で走らせることができましたが、最近ではコンプライアンス的にそういったシーンは一切撮れなくなったんです。それでもオートバイはヒーローバイクでもナンバーを取得できたので問題は小さかった。今回のトライドロンはナンバーが取得できず、公道での撮影が一切できないんです。そのため公道に見える私有地で撮影しなければならず、ロケ地探しが大変でした。また撮影現場まで運ぶにもトラックで輸送しなければならない。そのような苦労はありますね。
田崎竜太『宇宙船 vol.146』より)

 トライドロンの活躍はいつまで見られるだろうか…!平成仮面ライダーは予算の都合で消えていく演出が多いけど(巨大な魔化魍戦…!クロックアップ…!ガタキリバコンボ…!パワーダイザー…!アンダーワールド戦…!)、「現場の都合」で無くなっていくものも多々ある。これは仕方のないことなんだけど、スケジュールや準備・手間の問題で、例えば脚本に「このフォームを使う」「このアイテムを使う」「この技を使う」と書いてあったとしても、現場で別のそれに変わったり、丸々カットされたりすることがあるのです(主に、石田秀範や諸田敏監督回に多い気がする…!)トライドロンも、ただの置物になってしまったり、「後半大破してベルトだけ残る」みたいな展開になる可能性も、無きにしも非ずなのだ…!(そうなったらこれはもう企画の敗北よね。)

 「警察の車両なのに、パトカーっぽくなくていいのか?」という声もあるけど、その辺はあまり気にならないかな。「トライチェイサー2000」も「ビートチェイサー2000」もあんましシロバイっぽくないし…!その辺の説明がちゃんとなされればそれに越したことはないけどね。

■どんより(重加速現象)

 「速さ」は「強さ・優秀さ・凄さ」とイコールである。スポーツは速さを競うものが多い(徒競走、ハードル走、マラソン、競歩、駅伝など)格闘技もギャンブルも「相手を先に倒した者」「相手より先にあがった者」が勝ちという点では速さを競っていると言える。球技(野球、サッカー、バスケ、ラグビー、アメフトなど)も、選手の足の速さが求められる。学問の世界でも、数式の証明、新種生物の発見、前人未到の地に到着、古代文明の解明、発明と特許などは「早い者勝ち」である。誰よりも早くに真理に辿り着いた者のみが賞賛を浴び、それ以外の人間の研究は全て徒労、水泡に帰す。乗物も、よりスピードが出るものが便利とされる(鈍行列車でいくより新幹線に乗った方が目的地に早く着くし、飛行機ならもっと早い。)仕事においても、「デキる人間」「優れた機械」というのは、処理の速度で判断されることが多い(それ以外には正確さとか作業量とかもあるけど)我々は日常生活において、「速いことは強いこと/優れていること/凄いことである」ということを何度も何度も身に沁みて実感させられているのだ。だから『カブト』の仮面ライダー達は「史上最強」なのである。クロックアップによって超高速で動くマスクドライダーは、我々視聴者に有無を言わさせず「史上最強」という事実を突きつけるのだ。

 ところが、『ドライブ』の「どんより(重加速現象)」だと、いまいち仮面ライダードライブの凄さが伝わってこない。「普段通りの時の中、超高速で動ける(『カブト』)」のと、「超低速の時の中、普段通り動ける(『ドライブ』)」だと、最終的な帰結は"超高速で動くカブト"と"普段通り動けるドライブ"ということになって、「ドライブ、別に凄くねぇじゃん!」という印象になってしまう。カブトは確かに加速してるけど、ドライブは結局のところ平常運転のままなのである。これでは「強さ・優秀さ・凄さ」が感じられない!

 「どんより(重加速現象)」の演出も、視聴者が劇中の事象を理解するのに時間を要するのがマイナス。『カブト』のクロックアップの場合、膨張する速度は「静止」として描かれる(『サイボーグ009』の加速装置や、『ジョジョの奇妙な冒険』のザ・ワールド的表現)だから、「画面内で仮面ライダーと怪人以外の物体の動きが止まった=仮面ライダーと怪人だけが加速している」というのが一発でわかる(しかも、『カブト』の場合は音声ガイダンス付きなので、「クロックアップ!」の電子音声が響けば条件反射的に「お、これからカブトが加速するぞ!」というのがわかる。)しかし、『ドライブ』の「どんより(重加速現象)」の場合、
(1)怪人ロイミュードが赤い光の輪を放つ。
(2)それが人間や物を通り抜ける。
(3)徐々に人間や物の動きがゆっくりになっていく。
(4)かと思いきや、動きが元に戻ったり、時には完全に停止したりする。
(5)劇中の人間が「体がゆっくりしか!」「動かない!」などと言う。
と幾つものプロセスを経てようやく視聴者が「…あぁ、今、ゆっくりになっていってんのね。」とわかるような構造になってしまっている。これが『カブト』なら「(1)電子音声が鳴る → (2)周囲の動きが停止」と一瞬である。この、「凍りつく時間」の表現は各回の監督を苦しめるんじゃあないかな。

 「どんより(重加速現象)」での戦闘シーンは、「(1)仮面ライダーが加速してるわけじゃあないから凄さが伝わらない」「(2)加速は表現し易いけど、減速のそれは難しく、視聴者にも伝わりにくい」という、二つの問題を抱えているのだ。

 思った以上に長くなってしまった…!まだまだ気になる点はいっぱいあるので、残りは後編に書きます。

[続]

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