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千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

敵の力と変身ベルトと子供の欲望

 ■敵の力と変身ベルト

 「白倉三原則」というものがあって、これは自分が勝手にそう呼んでるんだけど、要するに「『仮面ライダー』と他のヒーロー物の違いは何なのか?」「何が仮面ライダーたらしめているのか?」という構成要素を、東映白倉伸一郎が『アギト』を制作する際に導出したんですね。それが以下の三つ。
(1)同族同士の争い
(2)親殺し
(3)自己否定

 初代『仮面ライダー』に当てはめると、以下のように説明できる。
(1)同族同士の争い
仮面ライダーとはすなわちバッタの改造人間、言わばバッタ怪人である。
(2)親殺し
⇒ 秘密結社ショッカーを滅ぼすことは、自分の生みの親を倒すことに他ならない。
(3)自己否定
⇒全ての怪人を倒すためには、最終的には自分をも倒さねばならない。
この「悲哀」こそが他のヒーロー物とは一線を画している『仮面ライダー』のオリジナリティであると、白倉伸一郎は分析したわけ。

 上記の理論に則ってか、平成仮面ライダーにおいても、「同族同士の争い」すなわち「敵の力を使って戦う」という要素がフィーチャーされていることが多い。

(01)『クウガ』 … 変身のメカニズムが、怪人のそれと同じである。
(03)『龍騎』  … 怪獣・怪物と契約し、怪人となって戦う。
(04)『555』 … 変身ツールが、怪人が開発したものであり、怪人専用である。
(05)『剣』   … 怪人と融合し、封印した怪人の能力を限定的に再現する。
(07)『カブト』 … 怪人と共同開発したツールで、怪人と同じ能力を得る。
(08)『電王』  … 怪人を自身に憑依させて戦う。
(09)『キバ』  … 主人公が人間と怪人のハーフ(子供)である。
(10)『ディケイド』… 仮面ライダーを倒すべく、カメンライドする。
(11)『W』   … 敵も味方も変身ツール(補助記憶装置)が同じである。
(12)『OOO』 … 怪人の構成要素(核/肉体)のエネルギーを利用する。
(14)『ウィザード』… 自身に内在する怪獣・怪物の魔力を源に魔法を使う。
(15)『鎧武』  … 敵も味方も変身ベルトが同じである。

 『響鬼』は例外かな?『フォーゼ』も、「コズミックエナジー」というパワーソース自体はライダーも怪人も一緒なんだけど、その入れ物(アストロスイッチ/ゾディアーツスイッチ)は別物だから微妙に違うような気がする。『ディケイド』はメタ的に「白倉三原則」を全て満たしているのが凄い。『アギト』は、どちらかと言えば「親殺し」の側面が強いな(元ネタが『サイボーグ009』の『神々との戦い編』だし。)

 『ドライブ』はどうなんだろう?今のところ、仮面ライダードライブが使う「シフトカー」と、怪人ロイミュードが用いる「バイラルコア」は似て非なるものなので、一番近いのは『フォーゼ』だけど果たして?上述の「白倉三原則」を満たすのか否かが、自分が注目している所かな。まぁ三条陸は、『獣電戦隊キョウリュウジャー』における「サンバで変身!」をちゃんと物語に落とし込んだので、その辺はきっちりやってくれると思うんだけど。

■変身ベルトと子供の欲望

 仮面ライダーの企画は変身ベルトから始まる!」というのは昭和の時代も平成になっても変わらない伝統だが、『龍騎』以降から、変身ベルトに「光る!回る!」以外の要素が組み込まれることとなった。つまり、変身ベルトに「別の何かを装填する/翳す」というアイデアが誕生し、その"別の何か(玩具)"には「大人が持ってるけど子供が触らせてもらえないもの」「子供が触ると大人に怒られるもの」がモチーフになっているという。歴代玩具の題材は以下の通り。

(04)『555』 … 携帯電話
(07)『カブト』 … 昆虫
(08)『電王』  … 電子定期券、回数券
(09)『キバ』  … 蝙蝠
(11)『W』   … USBメモリ
(12)『OOO』 … メダル、硬貨
(13)『フォーゼ』 … スイッチ
(14)『ウィザード』… 指輪
(15)『鎧武』  … 錠前、果物と包丁

 特に『フォーゼ』のアストロスイッチやモジュールは上記の条件に合致しているもののオンパレードで、例えばエレキステイツの武器ビリーザロッドには「コンセントプラグ」が付いているし、ファイヤーステイツに変身するためのスイッチは「消火器の安全栓」の形をしている。他にも、カメラ、鋏、スピーカー、発煙筒、懐中電灯、金鎚、蛇口、救急箱、筆、スコップ、冷蔵庫、掃除機、捕虫網など、「子供が触りたくなる」欲求を刺激するものが採用されているわけ。

 で、『ドライブ』を見てて思ったんだけど、「車」ってそれの最たる例だよね。しかも、『鎧武』以前の玩具モチーフが、「ケータイで電話したい!」「昆虫採集したい!」「SuicaPASMOで改札通りたい!」「動物と遊びたい!」「USBメモリをパソコンにさしたい!」「自販機にお金を入れてジュースを買いたい!」「スイッチ(バスの「止まる」やエレベーターのそれなど)を押したい!」「指輪をつけたい!」「包丁で果物切りたい!」など、子供が親にせがめば、「しょうがないわね、今回だけよ?」と許可を得れば使える、実行させてもらえるのに対し、自動車に限らず運転に免許/資格が必要な乗り物は「子供が絶対に扱えない/扱わせてもらえない」ものの筆頭でもある。子供が「車を運転したい」という欲望を満たすためには、精々三輪車に乗ったり遊園地に連れてってもらってゴーカートに乗るくらいしか代替手段がない。子供の「憧れ」というか、訴求力の高さなら歴代トップクラスなんじゃあないかな『ドライブ』。

■「ドライバー」って何?

 『ドライブ』の変身ベルトは「ドライブドライバー」だけど、ドライバーってそもそも何なんだろう?「運転手」というのはなしにしてwそもそも、『ディケイド』以降「○○ドライバー」という名称で統一されたけど(※○○の部分には各ライダー名が入ることが多い)、実はそれより前の作品で"ドライバー"という名が冠されているのは『555』しかない。平成一期(※『ディケイド』と『響鬼』、そして『555』は除く)の変身ベルトの命名規則は以下のようになっている。
(1)カードデッキ(束)を入れるもの=バックル
⇒『龍騎』のVバックル、『剣』のブレイバックルなど。
(2)何かをかざしたり、生物の止まり木になっているもの=ベルト
⇒『電王』のデンオウベルト、『キバ』のキバットベルトなど。
(3)その他(※作品ごとに独自の名前が設定されている)
⇒『クウガ』のアークル、『アギト』のオルタリング、『カブト』のカブトゼクターなど。

 ドライバー(ドライバ)には「駆動装置」「電子回路における電流供給回路」「制御ソフトウェア」という意味があるのか。『555』の変身ベルト場合、流体エネルギー「フォトンブラッド」の供給回路になっているから「ファイズドライバー」というネーミングはなかなか的を射ているわけか。誰が名付け親なのか知らないけど、"ドライバー"という単語を付与した人は凄いな。

 『ディケイド』の変身ベルトを「ディケイドライバー」にしたのは、名前の響きの良さと「験担ぎ」という側面があったのかも。ファイズドライバーは、2009年の時点で最も売れた変身ベルトだったから、それにあやかったと。結果的に、『キバ』での売上不振から『ディケイド』で一気に盛り返したから、以降も縁起を担いで"ドライバー"が使われ続けているのかもしれない。これは単なる憶測に過ぎないんだけど(笑)

[了]