千倍王鷹虎蝗合成獣

平成仮面ライダーの感想・考察サイト。衒学的で悪し様で居丈高な語り口のブログにようこそ。

『仮面ライダードライブ』の第一印象

 制作発表時、『ドライブ』から受けたファーストインプレッションは「完全新生」×「史上最強」。これはつまり、昭和ライダーだったら『アマゾン』と『ストロンガー』、平成ライダーだったら『響鬼』と『カブト』、両方の側面を持っているということ。昭和と平成で時代は違えど、『アマゾン』と『響鬼』、『ストロンガー』と『カブト』には「完全新生」と「史上最強」というコンセプトが共通している。

■「完全新生」~『アマゾン』と『響鬼』の共通点~

 まず何と言ってもビジュアルからして旧作と違う!これまで昆虫モチーフが多かった昭和ライダー達に対し、アマゾンは「斑大蜥蜴(マダラオオトカゲ)」をデザイン元に採用。初期平成ライダー達も、例えば『龍騎』や『555』なんかは仮面ライダーらしからぬマスクを被っているけれど、「複眼・クラッシャー・触角」といった意匠はかろうじて残されている(※『龍騎』の三人の主役ライダーには、「複眼→龍騎」「クラッシャー→ナイト」「触角→ゾルダ」と、初代ライダーの仮面の構成要素を三分割して割り当てられているのよね。)けれど、響鬼にはそれらが一切存在しない!複眼が無ければクラッシャーも無い(触角の代わりに角はあるけど。)元々『変身忍者 嵐』のリメイクとしてスタートした企画が、急遽仮面ライダーの新作としてリスタートせざるを得なかったという実情があるにせよ、『響鬼』の異質さは群を抜いている。

 『アマゾン』と『響鬼』はビジュアル以外にも共通点がある。
(1)「変身!」の掛け声がない。
(2)「ベルト」は単なるアイテムに過ぎない。
(3)「裸」という要素がフィーチャーされている。
(4)必殺技が「キック」でない。
(5)必殺技を使う時、その技名を叫ばない。
(6)「バイク」に乗らない。
 「(3)~(6)」は途中から変わっていったけど、「(1)、(2)」は最後まで貫かれたかな?要するに「(我々が思い描く)仮面ライダーらしからぬ仮面ライダー」、「既成概念を飛び越えた、全く新しい仮面ライダー」というのが、『アマゾン』と『響鬼』の最大の特徴。そしてどちらも、「シリーズがマンネリ化してきたかな?」「人気に陰りが見えてきたかな?」といった矢先に制作されている(昭和なら『X』、平成なら『剣』のことね。)

■「史上最強」~『ストロンガー』と『カブト』の共通点~

 上述しなかったけど、『アマゾン』と『響鬼』にはネガティブな共通点がある。それは、両者共に「短命」だったということ。『アマゾン』はネットチェンジのあおりを受け、全24話で終了。『響鬼』は第29話をもってチーフプロデューサーが更迭されてしまった。今なお「前期響鬼」「後期響鬼」という区別がなされるように、高寺成紀による『響鬼』は全29話で実質の打ち切りとなったと言える(※白倉伸一郎井上敏樹による第30話以降の『響鬼』については今回は割愛。)つまり、シリーズ物において、視聴者が持っている固定観念からあまりにも逸脱したものを作ってしまうと受け入れられなくなってしまう。

 『アマゾン』と『響鬼』の結果を受け、次回作『ストロンガー』と『カブト』は方針の転換が図られた。すなわち、「(昭和 / 平成)仮面ライダーってこうだよね!」という、視聴者及び制作陣が抱いている作風をベースに、「最強」な要素を付加していったのだ。

 以下、『ストロンガー』と『カブト』の共通点。
(1)デザインモチーフが「カブトムシ」である。
(2)必殺技発動時に、角にエネルギーが集まる。
(3)主人公が大胆不敵ないしは俺様野郎。
(4)決め台詞もしくは自称が存在する。
・ストロンガー ⇒「天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!悪を倒せと俺を呼ぶ!」
・カブト ⇒「天の道を往き、総てを司る!」
(5)「客演」や「他の変身資格者」等、複数の仮面ライダーが登場する。
(6)歴代仮面ライダーの中でも最強クラスのスペックを誇る。

 「子供に人気のカブトムシ!」「必殺技がカッコいい!」「自信たっぷりの主人公!」「心に残る名乗り口上!」「ライダーがいっぱい出てくる!」「そして何より、強い!」正に「史上最強」!これは確実に人気が出て、ヒットするだろう。そう、制作陣は予想していたのだが…。

■「完全新生」×「史上最強」~『仮面ライダードライブ』~

 『ストロンガー』と『カブト』にも上記以外の共通点がある。それは、両者共に「予想に反してヒットしなかった」こと。『ストロンガー』をもって昭和の仮面ライダーは終焉を迎えたし、『カブト』の時点で平成仮面ライダーシリーズ枠が終了してもおかしくなかった(※『電王』によってそれは免れたけど、今回その話は割愛。)

 『アマゾン』と『響鬼』、『ストロンガー』と『カブト』が教えてくれるのは、
・「完全新生」を謳うと「これは仮面ライダーじゃないよね…。」と拒否られる。
・「史上最強」の企画でも、「いつもの仮面ライダーと同じだよね…。」と飽きられる。
ということ。「じゃあどうすればいいんだよ!」と言いたくなるけど、視聴者というのはそういうものだから難儀な話よね。みんなちょっと贅沢なんじゃあないかな(笑)

 そんでもってようやく『ドライブ』の話になるんだけど、「完全新生」でも「史上最強」でも駄目なら「どっちもやればいいじゃん!」というのが『ドライブ』の肝だと思うのよね。マイナスとマイナスの掛け算がプラスになるみたいな。

 まずは『ドライブ』における「完全新生」について。昭和の『アマゾン』も平成の『響鬼』も「原点に立ち返る」ということをやっているのだけれど、『アマゾン』は「孤独(※主人公は野生児で人語を話せない)」に、『響鬼』は「ヒーロー性(※己のエゴのために戦うのでなく、人々のために戦う)」に仮面ライダーの原点を見出した。『ドライブ』が立ち返った原点は「マシン」。初代仮面ライダーが、「バイクの加速による風力エネルギーで変身する」ように、「人間とマシンの共闘を描く」ことで仮面ライダーのルーツに迫るとはチーフプロデューサー大森敬仁の談。

『仮面ライダードライブ』車と刑事、2つの"初"で3世代が楽しめるライダーに - BIGLOBEニュース

仮面ライダー新シリーズ『仮面ライダードライブ』制作発表会見 レポート! | 東映[テレビ]

 次に、『ドライブ』における「史上最強」について。これは半ばこじつけに近いんだけど(笑)「史上最強クラスの布陣」、「史上最強クラスの題材」というか。なんてったって『W』と『キョウリュウジャー』の脚本を手掛けた「三条陸」と、平成仮面ライダーのほとんどのパイロット回を担当した監督「田崎竜太」のコンビだしね。そして企画自体が超安牌w『トミカ』や『ミニ四駆』等、自動車の玩具は売れるということは過去に証明されているし、車に寿司ネタやピザ、ケーキが融合しているわけじゃあないし(オイ)

 設定自体も、『カブト』が一番近いかな?「過去に未曾有の大災害があった(渋谷隕石事件 / グローバル・フリーズ)」、「(加速 / 停止した時の中で)人知れず巨悪と戦う」というのが。あとは、今までの平成仮面ライダーシリーズの問題点を悉く潰しにかかってきている印象がある。これについてはおいおい触れます。

 なんか、ものっそい長くなってしまった…。というわけで、今日から『仮面ライダードライブ』放送開始!一年間追いかけていきましょうか。

[了]